JPYC発行・XRP ETF・金融庁制度検討 | 2025年10月26日の暗号資産ニュースまとめ

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市場全体・マクロ動向

この日、暗号資産市場の全体的な動向を左右するマクロ要因が複数報じられた。  

まず、金価格が2020年以来最大の下落幅を記録し、リスク回避資産としての信頼性に疑問が生じる中、代替資産としてのビットコイン(BTC)への資金流入が注目された。特に機関投資家の間では、金から暗号資産への分散投資が再評価されており、オンチェーンデータでもステーブルコインからBTCへの流入が確認されている。

一方、金融庁は銀行による暗号資産投資の解禁に向けた制度整備を本格的に検討していると報じられた。これは資金決済法や銀行法の改正を視野に入れた動きであり、ステーブルコインの保有・発行に関するルール整備とも連動している。銀行が直接暗号資産を保有・運用できるようになれば、国内市場の流動性と信頼性が大きく向上する可能性がある。

また、米中首脳会談が10月30日に予定されており、暗号資産市場にも影響を与える可能性がある。関税政策やテクノロジー輸出規制に関する合意が形成されれば、リスク資産全体にポジティブな影響が及ぶと見られている。加えて、来週のFOMCでは利下げや量的引き締め(QT)の停止が議論される見通しであり、金融緩和への期待が高まっている。

ビットコイン(BTC)は現在、1700万円前後で推移しており、明確な方向性を欠く展開が続いている。これは2024年4月の半減期を通過した後の調整局面と見られており、オンチェーン指標では長期保有者の売り圧力が減少している一方、短期トレーダーの回転が活発化している。市場は次の材料待ちの状態であり、制度・地政学・企業動向のいずれかが突破口になる可能性がある。

さらに、量子コンピュータによる暗号解読リスクに関する議論も活発化した。特に、BTCの楕円曲線暗号(ECDSA)に対する耐性や、量子耐性を持つ新しい暗号技術への移行が業界内で検討されている。このテーマは中長期的な制度設計や技術革新に直結するため、今後の議論の行方が注目される。

これらの動きは、価格変動そのものよりも、制度・地政学・マクロ経済といった「前提条件」が市場の方向性を左右する局面に入っていることを示している。

制度・企業戦略

この日、暗号資産の制度化と企業戦略に関する動きが複数報じられた。  

まず、日本発のステーブルコイン「JPYC」が、10月27日に正式発行される見込みであると報道された。これは資金決済法に基づき認可された初の円建てステーブルコインであり、日本の暗号資産制度における重要な転換点となる。発行元のJPYC社は、岡部典孝氏の主導のもと、数年にわたり制度整備と実証実験を重ねてきた。今回の発行は、国内金融機関や企業によるステーブルコイン活用の道を開く可能性がある。

一方、アジア太平洋地域(APAC)では、企業による暗号資産トレジャリー(DAT)戦略に対する懸念が広がっている。ブルームバーグによると、複数の主要証券取引所が企業の暗号資産保有に否定的な姿勢を示しており、特に香港やシンガポールでは規制上の懸念が強まっているという。ただし、日本は例外的にDAT戦略に対して比較的寛容な姿勢を維持しており、JPYCの発行とも連動する形で、企業によるデジタル資産活用が進む可能性がある。

企業戦略の面では、リップル社によるプライムブローカー「ヒドゥン・ロード(Hidden Road)」の買収完了が報じられた。新ブランド「リップル・プライム」として再出発することで、リップルは機関投資家向けの流動性提供や資産管理サービスを強化する方針を示している。これは、XRPの価格形成や流通に直接影響するだけでなく、暗号資産と伝統的金融の橋渡しを担う動きとして注目される。

さらに、ブラッド・ガーリングハウスCEOが「価値のインターネット」構想の再加速を表明したことが材料視され、XRP価格は最大35%の上昇余地があるとの見方が示された。テクニカル指標でも強気のシグナルが点灯しており、短期的な価格上昇への期待が高まっている。

また、米国ではXRP現物ETF「XRPR」が市場デビューから1カ月で運用資産残高1億米ドルを突破したと報じられた。これは米国初のXRP ETFであり、制度的な認知と投資家の関心の高さを示す指標となっている。ETFの拡大は、暗号資産の価格安定性や流動性向上に寄与する可能性があり、今後の他銘柄への波及も期待される。

これらの動きは、暗号資産が単なる投機対象から、制度的に認知された金融インフラの一部へと進化しつつあることを示している。特にステーブルコインとETFの拡大、企業による戦略的買収は、制度と市場の両面で暗号資産の定着を加速させる要因となっている。

取引所・流動性

この日、暗号資産取引所の流動性とユーザー動向に関する注目ニュースが複数報じられた。

まず、主要な中央集権型取引所(CEX)における現物取引高が2025年Q3に反転上昇したと報じられた。これは2025年初頭から続いていた取引量の減少傾向が一時的に止まり、BTCの価格上昇と連動する形で投資家の関心が回復したことを示している。特に米国市場では、ETFの拡大や制度整備の進展により、CEXの役割が再評価されつつある。この流動性回復の背景には、機関投資家による再参入の兆しもある。オンチェーンデータでは、複数の大口アドレスがCEXにBTCを送金している動きが確認されており、これは担保設定や流動性供給を目的とした動きと見られる。

また、ステーブルコインの取引量も増加傾向にあり、USDTやUSDCの流通量が一部取引所で急増している。これは、価格変動への備えとしてのポジション調整や、アルトコインへの乗り換え準備といった複数の目的が絡んでいると見られる。

一方、CoinPostが国内外の主要取引所を比較した「暗号資産取引所ランキング」を発表した。IEO対応や主要銘柄の取扱状況、ユーザー評価などを基準としており、投資家の取引所選択の参考情報として注目される。

このように、取引所の流動性とユーザー動向は、価格形成だけでなく市場の健全性を測る重要な指標となっている。特にCEXの取引高回復は、分散型金融(DeFi)とのバランスを再構築する動きとも言え、今後の制度整備や企業戦略と連動する可能性がある。

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