2026年2月21日の暗号資産市場は、米国の規制当局による劇的な方針転換と、市場インフラの更なる拡充が重なり、将来的な流動性拡大への期待と短期的なボラティリティへの警戒が入り混じる一日となりました。米証券取引委員会(SEC)によるステーブルコイン関連の規制緩和や、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)による連続取引の解禁など、伝統的金融機関の参入を阻んでいた壁が次々と取り除かれています。一方で、大口投資家による大規模な資金移動も観測されており、価格の分水嶺を巡る攻防が続いています。本日の主要な動向を整理してお伝えします。
規制とインフラの変革:SECの緩和措置とCMEの24時間取引
本日の最も重要なニュースは、米国の規制環境がステーブルコインと機関投資家に対して極めて寛容な方向に動き出したことです。これは、市場の構造そのものを変える可能性を秘めています。
SECによるステーブルコイン資本規制の劇的緩和
米証券取引委員会(SEC)の取引・市場部門は、2026年2月19日付の新ガイダンスにおいて、ブローカー・ディーラーが保有する決済用ステーブルコインに対する自己資本の「ヘアカット(資産価値の差し引き)」率を、これまでの事実上の100%から2%へと大幅に引き下げました。これまではステーブルコインを保有する際に、その全額に近い資本を別途積み増す必要がありましたが、この緩和により金融機関にとってステーブルコインの取り扱いコストが激減します。
CME Group(CMEグループ)が24時間365日の取引を開始へ
世界最大級のデリバティブ取引所であるCME Group(CMEグループ)は、2026年5月29日から暗号資産の先物およびオプション取引において、24時間年中無休の連続取引を開始すると発表しました。規制当局の承認を前提としていますが、これまで週末の市場閉鎖時に発生していた「価格の窓(ギャップ)」を埋めるという特有の現象に終止符を打つ可能性があります。
ステーブルコイン関連ETF「IQMM」の歴史的な船出
ステーブルコインの準備金要件を満たす資産に投資する米国の新たなETF(上場投資信託)である「IQMM」が取引初日に約170億ドル(約2.6兆円)の出来高を記録し、過去最高を更新しました。プロシェアーズが提供するこのインフラは、規制に準拠した形でステーブルコイン市場にアクセスしたい機関投資家の膨大な需要を証明する形となりました。
市場動向とクジラの動き:売り圧と蓄積の交錯
ビットコインの価格推移においては、大口投資家(クジラ)の行動が市場の不安定さを象徴しています。大規模な売り準備と、一方で進む長期的な蓄積という対照的な動きが見られます。
大口投資家による取引所への流入と警戒
クリプトクアント(CryptoQuant)の分析によれば、クジラによる取引所へのビットコイン流入が増加しており、これが主要な売り圧力となっていることが指摘されています。特に注目を集めたのは、Garrett Jin(ギャレット・ジン)氏という著名なクジラが、今週再び5,000BTC(約3.4億ドル/約510億円相当)をBinance(バイナンス)へ入金したことです。価格の節目でのこうした移動は、大規模な売却準備と見なされ、市場に緊張感を与えています。
長期的な蓄積と需給の変化
短期的な売り圧力が懸念される一方で、中長期的な蓄積も着実に進んでいます。ビットコインのクジラは、数ヶ月にわたる市場の下落局面にもかかわらず、2025年12月以降に合計23万6,000BTCを積み増しました。大口投資家が価格の底堅い場面で新たなポジションを構築していることは、将来の上昇に向けたエネルギーの蓄積とも捉えられます。
価格の分水嶺と「パワーロー理論」の危機
ビットコインの長期推移を予測する「パワーロー(Power Law)理論」が、2026年末に重大な局面を迎えると分析されています。この予測によれば、理論上の下限値は12月末に約6万8,000ドル(約1,020万円)まで上昇しますが、もしビットコイン価格がこの水準を割り込めば、長年維持されてきた成長モデルが破綻することになります。足元では最高裁判所の関税無効判決を受け、一時6万8,000ドル(約1,020万円)台まで反発する場面も見られました。
ネットワークの健全性と主要アルトコインの情勢
ビットコインのマイニング環境の回復や、イーサリアムの将来計画など、技術的な側面でも重要な進展がありました。
採掘難易度の大幅上昇とハッシュレートの回復
ビットコインの採掘難易度が約15%上昇し、144.4Tに達しました。これは、米国の冬の嵐の影響で一時的に低下していたハッシュレート(採掘速度)が急激に回復したことを受けての調整です。ネットワークのセキュリティが再び強固な状態に戻ったことを示しており、7万ドル(約1,050万円)回復に向けたポジティブな要因の一つとして挙げられています。
イーサリアムの2026年ロードマップとXRPの資金流入
Ethereum(イーサリアム)財団は、2026年に向けた「スケール」「UX改善」「L1の堅牢化」を柱とするプロトコル計画を公開しました。一方、XRP(XRP)はボラティリティが2024年の大幅上昇前と同等の低水準まで低下しています。しかし、センチメントは5週ぶりの高水準にあり、ビットコインやイーサリアムから流出した機関投資家のマネーがXRPへ集中しているという、興味深い資金循環が報告されています。
テザーUSDTの供給減少とMiCA規制の影響
ステーブルコイン最大手のTether(テザー)が発行するUSDTの供給量が、2月に約15億ドル(約2,250億円)減少しました。これは2022年のFTX崩壊以来、最大の月間減少率となります。欧州のMiCA規制の本格化に伴う資金移動や、大口保有者による償還の加速が背景にあると考えられ、USDTの一強体制に変化の兆しが見え始めています。
社会・政治的動向と企業への波紋
暗号資産はもはや独立した市場ではなく、米国の政治や韓国の規制当局の動向と密接に関係しています。
トランプ政権関連企業「WLFI」への民主党の追求
米下院民主党議員41名が、トランプ大統領に関連する暗号資産プロジェクトWorld Liberty Financial(ワールド・リバティ・フィナンシャル:WLFI)の連邦銀行認可申請について、財務長官に説明を要求しました。外国人投資家の関与や、独立した規制が維持されるかについて厳しい監視の目が向けられています。
韓国Bithumb(ビッサム)の「ゴーストコイン」事件
韓国の取引所Bithumb(ビッサム)が約62兆ウォン(約6.8兆円)相当のビットコインを誤配布した問題で、金融当局が計6回もの検査を行いながらシステム欠陥を見逃していたことが国会で追及されました。こうした管理体制の不備は、依然として業界全体のガバナンスにおける大きな課題であることを露呈しています。
著名人による反論と将来予測
Metaplanet(メタプラネット)の Gerovich(ゲロヴィッチ)社長は、SNS上での自社の財務戦略や不透明性に対する批判に対し、全ての購入は公表済みであると全面的に反論しました。一方で、ドナルド・トランプ大統領の次男であるEric Trump(エリック・トランプ)氏は、ビットコインが100万ドル(約1.5億円)に達するという強気な予測を堅持しています。
おわりに
本日は、SECによる資本規制の大幅緩和やCMEの24時間取引決定など、制度面で「歴史的な雪解け」とも呼べる出来事が重なりました。短期的なクジラの売り圧力という波風はありますが、深層海流のような伝統的金融マネーの流入は確実に加速しています。
特にステーブルコインETFの莫大な出来高は、デジタル資産が本格的に主要なアセットクラスとして認められ始めたことを象徴しています。価格の変動に一喜一憂しがちな時期ですが、こうしたインフラの劇的な変化こそが、次の大きな飛躍の土台になるはずです。
皆さんも、目先の数字だけでなく、その裏側で着々と進む「お金の再定義」のプロセスに注目してみてください。明日も価値ある情報をお届けします。
投資に関する注意事項 本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を意図するものではありません。暗号資産は価格変動が激しく、元本を割り込むリスクがあります。投資にあたっては、必ず最新の公式情報を確認し、自己判断と自己責任でお願いいたします。
