2026年2月16日の暗号資産市場は、価格面での足踏みが続く中で、企業の財務戦略の成否とプラットフォームの進化が際立つ一日となりました。ビットコイン(BTC)は7万ドル(約1,050万円)付近での保ち合いを続けていますが、日本国内ではメタプラネット(Metaplanet)が巨額の評価損を出しつつも本業で過去最高益を達成するなど、強気な保有戦略の裏側にある経営の実態が明らかになりました。また、イーロン・マスク氏率いるエックス(X)が数週間以内の取引機能実装を予告し、著名投資家レイ・ダリオ(Ray Dalio)氏が歴史的な経済サイクルに基づく警告を発するなど、長期的な市場構造の変化を示唆する動きが加速しています。本日の主要ニュースを整理してお届けします。
メタプラネットの過去最高益と上場企業のビットコイン戦略
ビットコインを財務資産として組み込む企業の決算や戦略が、市場参加者の強い関心を集めています。
メタプラネット(Metaplanet)の2025年12月期決算
日本国内でビットコイン蓄積戦略を牽引するメタプラネット(Metaplanet / メタプラネット)は、2025年12月期の通期決算を発表しました。売上高は前年比738.3パーセント増の89.05億円、営業利益は同1,694.5パーセント増の62.87億円となり、過去最高水準を記録しました。一方で、期末のビットコイン価格下落に伴い1,021億8,800万円の時価評価損を計上しており、営業利益の伸びと巨額の評価損が同居する特異な決算内容となっています。同社の株価は一時325円まで下落したものの、決算発表を受けて持ち直しの兆しを見せています。
ストラテジー(Strategy)社の債務耐性と追加購入の示唆
世界最大のビットコイン保有企業である米国のストラテジー(Strategy / ストラテジー / 旧マイクロストラテジー)は、ビットコイン価格が8,000ドル(約120万円)まで下落したとしても、現在の財務構造で債務を十分にカバーできるとの分析を公表しました。マイケル・セイラー(Michael Saylor)会長は、今後3年から6年で転換社債を株式化する計画を明らかにするとともに、市場の急落を好機と捉えた12週連続となる追加購入の可能性を示唆し、揺るぎない強気姿勢を強調しています。
SBIホールディングスによるリップル(Ripple)社株式の明言
国内金融大手のSBIホールディングス(SBI Holdings / エスビーアイ・ホールディングス)を率いる北尾吉孝氏は、同社がリップル(Ripple / リップル)社の株式約9パーセントを保有していることを改めて明言しました。一部で囁かれていた100億ドル規模の評価額については否定したものの、リップル社にとって最大の外部株主としての地位を再確認し、将来的なIPO(新規株式公開)を見据えた連携強化への期待を示しています。
市場分析と投資家センチメントの二極化
価格の停滞感と資金流出のデータが並ぶ一方で、一部の投資家層には「押し目買い」の動きが見られます。
コインベース(Coinbase)CEOによるリテール動向の報告
米取引所最大手のコインベース(Coinbase / コインベース)のブライアン・アームストロングCEOは、ビットコイン価格が史上最高値から約45パーセント下落している現状においても、個人投資家がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の保有数量を増加させていると報告しました。個人取引全体では38パーセントの減少が見られるものの、残っている投資家は長期保有の姿勢を強めており、安値圏での「押し目買い」傾向が鮮明になっています。
ビットコインETPの4週連続流出と相場分析
暗号資産運用大手のコインシェアーズ(CoinShares / コインシェアーズ)によれば、世界の暗号資産上場投資商品(ETP)からの流出が4週連続で続いており、過去4週間での流出総額は37億ドル(約5,550億円)に達しました。市場全体ではリスク回避の動きが強いものの、テクニカル面では7万ドル(約1,050万円)付近での三角保合いを形成しており、この水準を上抜けることができれば7万5,000ドル(約1,125万円)への上昇も視野に入るとの分析も示されています。
レイ・ダリオ(Ray Dalio)氏の「大サイクル」警告
著名投資家のレイ・ダリオ(Ray Dalio / レイ・ダリオ)氏は、現在の世界情勢を自著の「大サイクル(Great Cycle)」論に基づき分析し、債務問題や地政学的リスクの高まりからビットコインの相対的な価値が高まっていると指摘しました。一方で、個人投資家の過度な熱狂が暴落の予兆になる可能性についても言及しており、マクロ経済の大きな転換点における警戒を呼びかけています。
次世代プラットフォームとインフラの進展
大手企業の参入と新たな決済手段の誕生により、業界のスーパーアプリ化とトークン化が進んでいます。
エックス(X)の暗号資産・株式取引機能の実装
イーロン・マスク氏が運営するエックス(X)のプロダクト責任者は、タイムラインから直接株式や暗号資産のデータを確認し、売買できる「スマート・キャッシュタグ」機能を数週間以内に実装することを予告しました。アプリ内で金融取引が完結するスーパーアプリ化が加速し、一般ユーザーの市場参入のハードルがさらに下がることが期待されています。
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)の技術者募集と戦略
米金融大手のモルガン・スタンレー(Morgan Stanley / モルガン・スタンレー)は、資産のトークン化に精通したエンジニアの募集を開始しました。独自ウォレットの提供やETF(上場投資信託)の申請、さらに傘下のEトレードでの現物取引開始など、デジタル資産を中核事業に組み込む戦略を一段と本格化させています。
香港OSLによる米ドルステーブルコインのローンチ
香港のOSLグループ(OSL Group / オーエスエル・グループ)は、新たな米ドル建てステーブルコイン「USDGO」を正式に発表しました。アジア圏における決済プラットフォームとしての利便性を向上させ、規制に準拠した透明性の高いデジタルドルとしての普及を目指しています。
規制環境の課題とセキュリティへの警鐘
大量採用に向けた道筋が整理される一方で、プライバシーやセキュリティの問題が浮き彫りになっています。
CZ氏によるプライバシー欠如への指摘
バイナンス(Binance / バイナンス)創設者のCZ(チャンポン・ジャオ)氏は、暗号資産決済の普及を妨げる最大の障壁は「プライバシーの欠如」であると指摘しました。オンチェーン上ですべての報酬額が可視化される現状が、企業の給与支払い導入などの大きな足かせになっていると警告しています。
AIエージェント向けマルウェアへの警戒
仮想通貨取引所のビットゲット(Bitget / ビットゲット)などは、AIアシスタントのマーケットプレイスであるクローハブ(ClawHub / クローハブ)において、秘密鍵を盗み出す悪意のあるプラグインが発見されたとして注意を呼びかけています。AIと暗号資産の融合が進む中で、新たな形態のサイバー攻撃への対策が喫緊の課題となっています。
その他の注目トピック
- オランダの未実現利益課税案:オランダ下院は、暗号資産を含む資産の未実現利益に対して36パーセントの税率を課す新税案を可決し、波紋を広げています。
- グレイスケール(Grayscale)のAAVE ETF申請:資産運用大手のグレイスケール(Grayscale / グレイスケール)は、既存のAAVE信託をETFへ転換するための申請を証券取引委員会(SEC)に行いました。
- 25億円のポケモンカード:インフルエンサーのローガン・ポール氏が所有していた希少なカードが約25億円で落札され、ポリマーケット(Polymarket)での予測も加熱しました。
- BGIN Block 14開催:3月に東京・渋谷で、国際標準の観点から暗号資産規制を議論する重要な会議が開催されることが決まりました。
おわりに
本日の市場は、ビットコインが心理的節目である7万ドルの壁を前に苦戦する一方で、企業の業績や大手プラットフォームの動向からは、水面下で着実に次のステージへの準備が整いつつあることが伺える一日でした。メタプラネットの決算が示す通り、価格変動による表面上の評価損に惑わされず、本業での成長と長期的な資産形成を両立させる姿勢は、これからの投資家にとっても一つの指針となるでしょう。
エックス(X)の取引機能実装や著名な投資家たちの警告など、市場を取り巻く情報は常に多層的です。目先のチャートに一喜一憂することなく、レイ・ダリオ氏が説くような大きなサイクルの視点を持ち、冷静に事実を繋ぎ合わせていくことが求められます。明日も、皆さまの判断を助ける確かな情報を丁寧にお届けしてまいります。
相場の不透明感は続きますが、インフラの進化は決して止まりません。共にその先を見据えていきましょう。
