ビットコイン6.7万ドルの攻防と制度化への加速|国内証券大手の参入とAIウォレットの誕生

2026年2月12日の暗号資産市場は、価格面では調整局面が続く一方で、金融インフラとしての制度化と技術革新が歴史的なスピードで進んだ一日となりました。ビットコイン(BTC)は6万7,000ドル(約1,038万円)台で上値の重い展開となっていますが、日本国内では金融庁がハッキング対策として「責任準備金」制度を新設する方針を示すなど、投資家保護の枠組みが劇的に進化しています。また、ブラックロック(BlackRock)によるDeFi分野への本格参入や、AIエージェント専用のウォレット公開など、次世代の金融エコシステムが形を現し始めています。本日の主要ニュースを整理してお届けします。

目次

国内金融市場の地殻変動|金融庁の新制度と証券大手の本格参入

日本国内の暗号資産市場は、規制の明確化と大手金融機関の参入によって、新たなフェーズへと突入しています。

金融庁による「責任準備金」制度の新設と規制緩和

金融庁は2月12日に開催された金融審議会の議事録を公表し、暗号資産交換業者に対してハッキング対策としての「責任準備金」制度を新設する方針を明らかにしました。この制度案では、万が一の流出に備えた保険加入も容認されるほか、暗号資産を金融商品取引法の規制対象に含める検討が進められています。特筆すべきは、銀行による投資目的での暗号資産保有を認める方向性が示されたことであり、これにより国内の機関投資家マネーが市場へ流入する道筋が整いつつあります。

野村・大和ら大手証券による交換業参入の動き

国内証券大手である野村ホールディングス、大和証券グループ、SMBC日興証券などが、暗号資産交換業への参入を視野に動いていることが報じられました。野村ホールディングス傘下のレーザー・デジタル(Laser Digital)は2026年中にも金融庁への登録申請を行う方針であり、既存の株式や債券ビジネスに加えてデジタル資産をポートフォリオの柱に据える戦略を本格化させています。

TORICOとSBI VCトレードの提携と企業の暗号資産保有

東証グロース上場のTORICO(トリコ)は、日本最大のイーサリアム(ETH)保有企業を目指し、SBI VCトレードとの提携を発表しました。同社は短期目標として6,000ETHの保有を掲げており、オプション取引などを活用した高度な財務戦略(トレジャリー戦略)を展開する方針です。SBI VCトレード側も、今後企業による暗号資産保有が一般化するとの見解を示し、法人向けの担保貸付サービスなどの拡充を検討しています。

市場分析|ビットコイン価格の停滞と強気派の長期展望

価格面では厳しい局面が続いていますが、専門家による長期的な見通しは依然として前向きな姿勢が目立ちます。

ビットコイン6.7万ドルの攻防とマクロ経済の影響

ビットコイン(BTC)は7万ドル(約1,085万円)の壁に阻まれ、反落後は6万7,000ドル(約1,038万円)付近での保合いが続いています。米国の1月雇用統計が予想を大幅に上回ったことで、米連邦準備制度(Fed)による利下げ期待が後退し、リスク資産である暗号資産には下押し圧力がかかっています。一方で、JPモルガン(JP Morgan)は機関投資家主導の資金流入が回復を牽引するとし、2026年の市場に対して前向きな見解を表明しました。

ストラテジー(Strategy)社の「永久保有」宣言

ビットコイン保有最大手のストラテジー(Strategy / ストラテジー)社を率いるマイケル・セイラー会長は、ビットコインを売却する計画は一切なく、今後も永久に買い続ける意向を強調しました。同氏は今後4年から8年でビットコインのパフォーマンスがS&P500を上回ると予測しており、資金調達の手法を優先株発行へと軸足を移すことで、株価変動リスクの緩和を図る新方針を示しています。

イーサリアム(ETH)の反発期待とゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)

ファンドストラット(Fundstrat)のトム・リー氏は、イーサリアム(ETH)が過去の下落局面においても常にV字回復を遂げてきたことを指摘し、今回も急回復に向かう可能性が高いと予測しています。また、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs / ゴールドマン・サックス)の保有資産内訳から、同社がイーサリアムに対してビットコインと同等、あるいはそれ以上に強気な姿勢を持っている可能性が浮上し、注目を集めています。

次世代インフラの誕生|AIウォレットとブラックロック(BlackRock)のDeFi進出

暗号資産の利用形態を根本から変えるような技術革新が相次いで報告されています。

コインベース(Coinbase)のAIエージェント専用ウォレット

コインベース(Coinbase / コインベース)は、自律的に意思決定しオンチェーン取引を実行できるAIエージェント向けの仮想通貨ウォレットインフラ「Agentic Wallets」を発表しました。これにより、AIエージェントが自ら仮想通貨で支払い、利息を獲得し、取引を行う「マシンエコノミー」の実用化が加速します。決済大手のストライプ(Stripe / ストライプ)もこれに呼応し、レイヤー2のベース(Base)上でマシン向け決済システムのプレビュー版を公開しています。

ブラックロック(BlackRock)によるDeFiへの機関投資家誘致

世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock / ブラックロック)は、約21億ドル(約3,255億円)規模のトークン化米国債ファンド「BUIDL」を分散型取引所のユニスワップ(Uniswap)に導入することを決定しました。セキュリタイズ(Securitize / セキュリタイズ)との提携により、機関投資家がオンチェーンで直接トークン化された国債を取引できるようになり、ウォール街のDeFi(分散型金融)進出を象徴する出来事となりました。

レイヤーゼロ(LayerZero)とシタデル(Citadel)の連携

相互運用性プロトコルのレイヤーゼロ(LayerZero / レイヤーゼロ)は、グローバル金融市場向けに特化したブロックチェーン「Zero」を発表しました。これにはシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities / シタデル・セキュリティーズ)などが連携しており、伝統的な金融市場の流動性をオンチェーンへ統合する試みが進んでいます。

その他主要トピック

  • バイナンス(Binance)のSAFU基金転換完了:世界最大の取引所バイナンス(Binance / バイナンス)は、ユーザー保護基金の10億ドル相当をビットコインへ転換する作業を完了し、中核準備資産としての保有を確定させました。
  • エスプレッソ(Espresso)のエアドロップ:エスプレッソ(Espresso / エスプレッソ)財団がESPトークンのローンチを発表し、総供給量の10パーセントをエアドロップで配布する計画を公開しました。
  • FTX元CEOの再審請求:サム・バンクマン=フリード氏は、司法省が重要な証人を脅迫したと主張し、再審請求を提出しました。
  • ソフトバンク株のオンチェーン化?:一部の分散型取引所において、ソフトバンク株のティッカーが取得されたとの情報があり、日本株のオンチェーン取引の可能性が浮上しています。

おわりに

本日は価格の停滞感とは裏腹に、金融インフラとしての大きな進歩が見られた一日でした。特に日本国内における「責任準備金」制度の検討や大手証券の参入は、数年後には暗号資産がごく当たり前の金融商品として定着している未来を強く予感させるものです。ブラックロックやコインベースが見せているAIとDeFiの融合も、私たちの想像を超えるスピードで現実のものとなろうとしています。

価格変動に惑わされず、こうした「構造の変化」を捉え続けることが、変化の激しいこの市場で生き残るための最良の戦略です。皆さんは今のこの変化をどう捉えていますか。明日もまた、確かな事実をどこよりも丁寧に紐解いてお届けします。共に冷静に、この市場の進化を見守っていきましょう。

  • URLをコピーしました!
目次