ビットコイン7万ドルの攻防と極度の恐怖心理|ストラテジー社の強気買い増しと規制の分水嶺

2026年2月10日の暗号資産市場は、価格の反発局面における重要な抵抗帯での攻防と、根強い不透明感による心理的な冷え込みが交錯する一日となりました。ビットコイン(BTC)は一時7万ドル(約1,085万円)の大台を回復したものの、さらなる上昇への勢いは限定的となっており、市場全体には2022年のテラショック以来となる極度の恐怖が漂っています。こうした中、米政府による規制の枠組みを巡る非公開会合の開催や、巨額保有企業の追加購入、さらに韓国でのシステム事故への公的調査開始など、今後の市場構造を左右する動きが相次いでいます。

目次

市場心理は「極度の恐怖」水準へ|ビットコインと主要銘柄の価格動向

暗号資産市場全体の時価総額が2.46兆ドル(約381.3兆円)規模で推移する中、投資家の心理状態を示す指数は極めて深刻な水準に達しています。足元の値動きと、専門家による対照的な予測について整理します。

7万1,000ドルの壁と「上昇不能」説

ビットコイン(BTC)は先週の安値から15パーセント超の回復を見せ、一時7万ドル(約1,085万円)台に乗せました。しかし、7万1,000ドル(約1,100万円)付近に存在する強力な売り圧力によって上昇は足止めされています。クリプトクアント(CryptoQuant)の創設者であるキ・ヨンジュ氏は、現在の市場構造では2026年内の大幅な上昇は極めて困難であるという、いわゆる「上昇不能」説を提唱し、警戒を呼びかけています。

バーンスタインによる15万ドル予測の維持

一方で、強気な見通しを崩さない専門家も存在します。資産運用会社のバーンスタイン(Bernstein)は、現在の下落はシステム上の欠陥によるものではなく、あくまで投資家心理の一時的な反映に過ぎないとの見解を示しました。同社のアナリストは、2026年末までにビットコイン価格が15万ドル(約2,325万円)に達するという従来の予測を改めて強調しています。

リップル(XRP)の損益分岐点割り込み

アルトコイン市場でも緊張感が高まっています。リップル(XRP)は1.44ドル(約223円)付近での攻防を続けていますが、オンチェーンデータによれば、保有者の平均取得価格を下回る損益分岐点の割り込みが確認されました。これにより、含み損を抱えた保有者によるパニック売りが加速するリスクが懸念されています。

機関投資家の戦略的拡大|ストラテジー社の追加購入とカストディ強化

市場のボラティリティが高い状況下でも、大手企業や機関投資家は将来を見据えたインフラ構築と資産の積み増しを継続しています。

ストラテジー(Strategy)社による13パーセント高値での買い増し

マイケル・セイラー氏率いるストラテジー(Strategy / ストラテジー)社は、証券取引委員会への提出書類を通じて、1,142BTCを約9,000万ドル(約139.5億円)で追加購入したことを明らかにしました。特筆すべきは、今回の購入単価が約7万8,800ドル(約1,221万円)と推定され、市場価格を約13パーセント上回る、いわゆる「高値掴み」の状態となっている点です。含み損を抱えながらも強引に買い進める同社の姿勢は、市場の議論の的となっています。

リップル(Ripple)社の機関投資家向けカストディ拡充

リップル(Ripple / リップル)社は、スイスのセキュロシス(Securosys / セキュロシス)社およびフィグメント(Figment / フィグメント)社との提携を発表しました。この提携により、機関投資家はリップル社のカストディ基盤を通じて、自前でバリデーターを運用することなくイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)のステーキングを行えるようになります。

ジャンプ・トレーディング(Jump Trading)の予測市場参入

ウォール街の取引大手ジャンプ・トレーディング(Jump Trading / ジャンプ・トレーディング)が、予測市場大手のカルシ(Kalshi / カルシ)およびポリマーケット(Polymarket / ポリマーケット)への出資を検討していることが報じられました。流動性提供と引き換えに株式を取得するこの動きは、伝統的金融の資本が予測市場という新たな領域へ本格流入する兆しと言えます。

規制の転換点|米政府の非公開会合と韓国当局の調査

各国当局の動きも活発化しており、特にステーブルコインの利回りや、過去に発生したシステム事故への対応が焦点となっています。

ホワイトハウスによる市場構造法案の非公開会合

米ホワイトハウスは2月10日、暗号資産市場構造法案の今後を左右する非公開会合を開催しました。最大の争点は、ステーブルコインに付随する利回り(イールド)をどう扱うかという点にあります。政府は2月末までに超党派の合意形成を目指しており、法案成立に向けた重要な局面を迎えています。

連邦準備制度理事会(FRB)の2026年末目標

連邦準備制度理事会(FRB / 連邦準備制度理事会)のウォーラー理事は、非伝統的金融機関向けの「簡易版マスターアカウント」制度を2026年末までに確定させる方針を表明しました。これにより、暗号資産企業が米国の決済システムへアクセスするための道筋が具体化する可能性があります。

韓国当局によるビッサム(Bithumb)への立ち入り調査

韓国の金融監督院は、先般発生したビッサム(Bithumb / ビッサム)による62万BTCの誤配布問題を受け、本格的な調査を開始しました。当局は同社の台帳システムに構造的な問題があると見ており、IT事故に対する罰則強化を含む規制の見直しを進める方針です。

技術革新とエコシステムの課題|MegaETHの起動とAI決済の減速

ブロックチェーンの技術面では、超高速な処理能力を持つネットワークの誕生と、一方で一部のトレンドの冷え込みが確認されています。

リアルタイムL2「MegaETH(メガイーサ)」のメインネット公開

イーサリアムのレイヤー2プロジェクトであるメガイーサ(MegaETH / メガイーサ)が、パブリックメインネットを正式に公開しました。10万TPS(秒間取引件数)を超える処理能力を目指しており、すでにAave(アーベ)やOpenSea(オープンシー)など50以上の主要アプリが稼働を開始しています。

AIエージェント間決済の急激な減速

2025年末に爆発的なブームを見せたAIエージェント間の決済規格「x402」の利用件数が、ピーク時の8パーセントにまで急減しました。一時は1日73万件を超えていたトランザクション数が激減したことで、AI経済の自律化というナラティブが一過性の流行に過ぎなかったのではないかという懸念が広がっています。

量子計算機への備えと回収手法の提案

ビットメックス・リサーチ(BitMEX Research / ビットメックス・リサーチ)は、将来的な量子コンピュータの脅威によって凍結される可能性のあるビットコインを回収するための手法を提案しました。コインシェアーズ(CoinShares / コインシェアーズ)の分析によれば、実質的な脅威は少なくとも10年以上先の話ですが、理論的な解決策が提示されたことは長期的な安心材料となります。

国内動向|メルカリの収益増とトランプ一族との会談

日本国内のプレイヤーも、グローバルな政治・経済の動きと連動しながら事業を拡大しています。

メルカリの暗号資産事業が17パーセント増益

フリマ大手メルカリ(Mercari / メルカリ)が発表した決算によれば、同社の暗号資産取引サービスによる収益が前年同期比で17パーセント増加しました。ビットコインでの買い物機能などが奏功し、一般消費者層への普及が着実に進んでいることが示されました。

JPYC代表とエリック・トランプ氏の面会

日本円ステーブルコインを発行するJPYC(ジェイピーワイシー)社の岡部代表が、エリック・トランプ氏およびトランプ財団関係者と会談したことを公表しました。将来的な米ドルと日本円ステーブルコインの直接交換など、米国新政権との連携強化に期待が寄せられています。

おわりに

本日の市場は、価格の戻りを試す強気な動きと、過去の暴落の記憶に震える弱気な心理が真っ向からぶつかり合う一日となりました。ストラテジー社の高値での買い増しは、ある種の執念とも取れますが、それだけビットコインの希少性に賭けている裏返しでもあります。一方で、AI決済の急減やビッサムの調査など、業界が抱える課題も浮き彫りになりました。

投資家の皆様におかれましては、短期的な価格変動や指数が示す恐怖に惑わされることなく、制度の整備状況や、メガイーサのようなインフラの進化といった本質的な部分に目を向け続けることが肝要です。明日からも激動の市場が続くと予想されますが、共に冷静に事実を見極めてまいりましょう。

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