2025年12月25日、日本の暗号資産市場で画期的な動きが相次ぎました。SBI VCトレードとアプラスが米ドル建てステーブルコイン「USDC」を活用した店舗決済の実証実験を2026年春に開始すると発表しました。大阪・関西万博のデジタルウォレット成果を発展させ、QRコード決済でインバウンド顧客向けに新たな決済モデルを創出します。国内唯一の電子決済手段等取引業者であるSBI VCトレードと、豊富な加盟店ネットワークを持つアプラスが協力し、ステーブルコイン決済の社会実装を加速させます。
さらに、Komlock lab(コムロック・ラボ)と東証上場のTDSEがAIエージェントによる自律決済の実証実験を開始しました。日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、AIが人間を介さず決済する「Agentic Commerce(エージェンティック・コマース)」の実現を目指します。アステリアは企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表し、ウォレット管理やガス代負担など企業利用の課題を解消します。2026年1月よりβ版提供開始予定です。
金融政策では、日銀の植田和男総裁が25日の講演で利上げ継続方針を表明しました。政策金利は既に30年ぶりの0.75%水準に達しており、今後の追加利上げによる円キャリートレード巻き戻しが暗号資産市場に与える影響が注目されています。ビットコイン現物ETFは4日連続で資金流出が続き、23日の資金フローは約294億円(約1.9億ドル)の純流出となりました。米国が最大のビットコイン売り手となり、機関投資家の資金流出はクリスマス期間中も継続しています。
日本企業では、東証プライム上場のKLabが「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」を始動させ、ビットコインと金を6:4の割合で保有する方針を発表しました。前日報道のBybit世界暗号資産ランキングでは、シンガポールと米国がリードし、日本は47位となりました。
本稿では、日本のステーブルコイン決済実証実験の進展、日銀利上げと市場への影響、BTC市場動向と価格予想、日本企業の金BTC併用戦略、量子コンピュータと暗号資産、その他重要トピックについて解説します。
日本のステーブルコイン決済実証実験の進展──SBI×アプラスUSDC店舗決済・AIエージェント自律決済JPYC活用・JPYCゲートウェイ企業向けサービス開始
日本の暗号資産市場で画期的な動きが相次いでいます。SBI VCトレードとアプラスがUSDC店舗決済の実証実験を2026年春に開始し、Komlock labとTDSEがAIエージェントによる自律決済実証を開始しました。アステリアは企業向けJPYCゲートウェイを発表し、ステーブルコイン決済の社会実装が加速しています。
ステーブルコイン決済実証実験の詳細は以下の通りです。第一に、SBI VCトレードとアプラスUSDC店舗決済です。SBI VCトレード(SBI VCトレード株式会社)とアプラス(株式会社アプラス、新生銀行グループ)が25日、米サークル(Circle)社が発行する米ドル建てステーブルコイン「USDC」を用いた店舗決済の実証実験を2026年春に開始すると発表しました。実証実験の概要は以下の通りです。(1)時期:2026年春開始予定。(2)決済方法:QRコード決済。顧客がスマートフォンのウォレットアプリでQRコードを読み取り、USDC で支払います。(3)対象:インバウンド顧客(訪日外国人観光客)を主なターゲットとしています。(4)加盟店:アプラスの豊富な加盟店ネットワークを活用します。具体的な店舗は未発表ですが、小売店、飲食店、宿泊施設などが想定されます。(5)精算:加盟店は円建てで精算されるため、暗号資産の価格変動リスクを負いません。
SBI VCトレードは、国内唯一の電子決済手段等取引業者として、ステーブルコイン事業を推進しています。2024年11月、大阪・関西万博に向けたデジタルウォレット「Osaka Digital Wallet(オオサカ・デジタル・ウォレット)」の実証実験に参加しました。今回の実証実験は、万博での成果を発展させたものです。アプラスは、新生銀行グループのペイメント事業会社で、全国約40万の加盟店ネットワークを持ちます。クレジットカード決済、ローン事業などを展開しています。
この実証実験の意義は、以下の通りです。(1)インバウンド需要の取り込み:訪日外国人観光客は、自国の通貨を円に両替する手間が省けます。ステーブルコインを使えば、為替手数料が抑えられます。(2)決済手数料の削減:クレジットカードやQRコード決済(PayPayなど)は、加盟店に数%の手数料がかかります。ステーブルコイン決済は、より低コストになる可能性があります。(3)ステーブルコイン決済の社会実装:前日報道の通り、ネットスターズも羽田空港でUSDC決済実証を開始しています。日本各地でステーブルコイン決済の実証実験が進んでいます。(4)規制整備の追い風:日本では、2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインの発行・流通が可能になりました。規制整備が進んだことで、企業が参入しやすくなっています。
第二に、AIエージェント自律決済実証実験です。Komlock lab(コムロック・ラボ)と東証上場のTDSE(株式会社テクノデジタル、旧テクノスデータサイエンス・エンジニアリング)がAIエージェントによる自律決済の実証実験を開始しました。日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、AIが人間を介さず決済する「Agentic Commerce(エージェンティック・コマース)」の実現を目指します。実証実験の概要は以下の通りです。(1)AIエージェント:AIが自律的に判断し、商品やサービスを購入します。人間が指示を出さなくても、AIが必要なものを自動で調達します。(2)JPYC決済:AIエージェントがJPYCを使って決済を行います。ブロックチェーン上でトランザクションが記録されます。(3)ユースケース:企業のサプライチェーン管理(在庫が減ったら自動発注)、個人のサブスクリプション管理(AIが最適なプランを選択)、IoTデバイスの自動決済(スマート冷蔵庫が食材を自動注文)などが想定されます。
Agentic Commerceの意義は、以下の通りです。(1)完全自動化:人間が介在せずに商取引が完結します。効率性が大幅に向上します。(2)AI×ブロックチェーン:AIの判断能力とブロックチェーンの透明性・改ざん耐性を組み合わせます。(3)新しい経済圏:AIエージェント同士が取引する「マシン・エコノミー」が形成される可能性があります。Komlock labは、ブロックチェーン技術を活用したセキュリティソリューションを提供する企業です。TDSEは、データサイエンスやAI技術を専門とする東証上場企業です。両社の技術を組み合わせることで、AIエージェント自律決済の実現を目指しています。
第三に、アステリアJPYCゲートウェイです。アステリア株式会社(東証プライム上場、ノーコード/ローコード開発ツール「Asteria Warp」などを提供)は、企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表しました。2026年1月よりβ版提供開始予定です。JPYCゲートウェイの機能は以下の通りです。(1)ウォレット管理:企業がJPYCを管理するウォレットを簡単に作成・運用できます。秘密鍵の管理など、複雑な操作を自動化します。(2)ガス代負担:ブロックチェーン取引には「ガス代(手数料)」が必要ですが、JPYCゲートウェイがガス代を代行負担します。企業は暗号資産の知識がなくても利用できます。(3)既存システム連携:100以上の既存システム(会計ソフト、ERPなど)と連携可能です。企業は既存の業務フローにJPYCを統合できます。(4)入出金管理:JPYCの入出金を一元管理し、レポートを自動生成します。
JPYCゲートウェイの意義は、以下の通りです。(1)企業利用の課題解消:これまで、企業がステーブルコインを利用する際、ウォレット管理やガス代負担が課題でした。JPYCゲートウェイはこれらの課題を解消します。(2)社会実装の加速:企業が簡単にJPYCを利用できるようになることで、ステーブルコイン決済の社会実装が加速します。(3)マーケティングインセンティブ:企業がXキャンペーンでJPYCを配布したり、顧客にポイント代わりにJPYCを付与したりするユースケースが拡大します。アステリアは、Asteria Warpなどのノーコード/ローコード開発ツールで知られており、既存システムとの連携に強みを持っています。JPYCゲートウェイは、アステリアの技術力を活かしたサービスです。
第四に、JPYCの普及状況です。前々日報道の通り、JPYCの実質流通量は3.6億円へ急伸し、10日間で20%増加しました。累計発行額は5億円を突破し、口座開設数は1万件に達しています。資さんうどんがPayPay停止を決断したことで、手数料ゼロのJPYCに注目が集まっています(前日報道)。企業導入が進めば、JPYCは30兆円規模への拡大を目指しています。
日銀利上げ継続と市場への影響──植田総裁が方針表明30年ぶり0.75%水準、円キャリートレード巻き戻しリスク、BTC市場への影響注目
日銀の植田和男総裁が25日の講演で利上げ継続方針を表明しました。政策金利は既に30年ぶりの0.75%水準に達しており、今後の追加利上げによる円キャリートレード巻き戻しが暗号資産市場に与える影響が注目されています。
日銀利上げの詳細は以下の通りです。第一に、植田総裁の発言です。日銀の植田和男総裁が25日の講演で、利上げを継続する方針を表明しました。現在の政策金利は0.75%で、30年ぶりの高水準です。1995年以来の高水準に達しています。植田総裁は、以下の理由で利上げを継続するとしています。(1)インフレ抑制:日本のインフレ率が目標の2%を超えており、物価上昇を抑制するため。(2)円安是正:円安が進行しており、輸入物価の上昇を招いているため。(3)金融政策の正常化:長年続いた異次元緩和からの脱却を進めるため。
第二に、円キャリートレードとはです。円キャリートレードとは、低金利の円で借り入れて、高金利の通貨や資産に投資する取引です。例えば、円で借り入れて米ドルに投資し、金利差(日本の金利は低く、米国の金利は高い)で利益を得ます。暗号資産市場でも、円で借り入れてビットコインなどに投資する円キャリートレードが行われています。日本の金利が上昇すると、円キャリートレードの魅力が低下します。投資家は円建ての借入を返済するため、保有資産(米ドル、ビットコインなど)を売却します。これを「巻き戻し」と呼びます。
第三に、暗号資産市場への影響です。円キャリートレードの巻き戻しは、暗号資産市場にネガティブな影響を与える可能性があります。(1)売り圧力:投資家がビットコインなどを売却するため、価格が下落します。(2)流動性の低下:市場から資金が流出し、流動性が低下します。(3)ボラティリティの上昇:急激な資金移動により、価格変動が激しくなります。過去の事例では、2024年8月に日銀がサプライズ利上げを行った際、円キャリートレードの巻き戻しが発生しました。株式市場が暴落し、暗号資産市場も大きく下落しました。ビットコインは一時的に約10%下落しました。今回の利上げ継続方針により、同様の巻き戻しリスクが懸念されています。
第四に、市場の反応です。植田総裁の発言を受けて、市場では以下の反応が見られています。(1)円高進行:利上げ期待から、円が買われています。(2)株式市場の調整:日経平均株価が下落しています。(3)暗号資産市場の警戒:ビットコインは87,000ドル(約1,348万円)台で膠着しており、様子見の姿勢が強まっています。ただし、植田総裁の利上げペースは緩やかと予想されており、急激な巻き戻しは発生しない可能性もあります。日銀は、市場の反応を見ながら慎重に政策を進めると見られています。
第五に、今後の展望です。日銀の利上げ継続方針により、以下のシナリオが考えられます。(1)緩やかな利上げ:日銀が慎重に利上げを進める場合、円キャリートレードの巻き戻しは緩やかになります。暗号資産市場への影響は限定的です。(2)急速な利上げ:インフレが加速し、日銀が急速に利上げを進める場合、大規模な巻き戻しが発生する可能性があります。暗号資産市場は大きく下落するリスクがあります。投資家は、日銀の政策動向を注視し、リスク管理を徹底する必要があります。
BTC市場動向と価格予想──現物ETF 4日連続流出294億円・米国が最大売り手・価格予想二極化16万ドル vs 37,000ドル・Grayscale史上最高値更新予想
ビットコイン現物ETFは4日連続で資金流出が続き、23日の資金フローは約294億円(約1.9億ドル)の純流出となりました。米国が最大のビットコイン売り手となり、機関投資家の資金流出はクリスマス期間中も継続しています。一方、価格予想は二極化しており、Presto Research(プレスト・リサーチ)は16万ドル(約2,480万円)到達を予想し、悲観論では37,000ドル(約573万円)との見方もあります。
BTC市場動向の詳細は以下の通りです。第一に、BTC現物ETF 4日連続流出です。ビットコインの米国現物ETFは、23日の資金フローが約294億円(約1.9億ドル)の純流出で、これで4日連続の純流出となりました。クリスマス休暇の影響が指摘されています。4日連続の流出により、総額は約825億円(約5.3億ドル)に達しています。米国が最大のビットコイン売り手となり、機関投資家の資金流出はクリスマス期間中も続きました。ETF流出の要因は、以下が考えられます。(1)クリスマス休暇:機関投資家が休暇に入り、取引が減少しています。年末のポジション調整(利益確定や損失確定)が行われています。(2)利上げ懸念:日銀の利上げ継続方針により、円キャリートレード巻き戻しが懸念されています。(3)マクロ経済の不透明感:米国経済の先行き不透明感から、リスクオフの動きが強まっています。
第二に、価格予想二極化です。ビットコインの価格予想は、強気派と弱気派で大きく分かれています。Presto Researchは、2026年にビットコインが16万ドル(約2,480万円)に到達する可能性があると予想しています。根拠は以下の通りです。(1)規制整備:トランプ政権下で規制が明確化され、機関投資家の参入が加速します。(2)ETFの普及:ビットコイン現物ETFが定着し、長期的な資金流入が継続します。(3)半減期効果:2024年4月の半減期効果が顕在化し、供給が減少します。(4)企業の財務戦略:ストラテジー、メタプラネットなど企業によるビットコイン購入が継続します。
一方、悲観論では、ビットコインが37,000ドル(約573万円)まで下落する可能性が指摘されています。根拠は以下の通りです。(1)需要の枯渇:前々日報道のクリプトクオント分析の通り、実需の「需要の空白」が確認されています。(2)流動性の低下:市場から資金が流出し、流動性が枯渇しています。(3)マクロ経済の悪化:世界経済の減速により、リスク資産から資金が流出します。(4)円キャリートレード巻き戻し:日銀の利上げにより、大規模な巻き戻しが発生する可能性があります。現在のビットコイン価格は87,850ドル(約1,361万円)前後で推移しており、強気派と弱気派の綱引きが続いています。
第三に、Grayscale史上最高値更新予想です。資産運用会社Grayscale(グレイスケール)は、最新レポート「2026 Digital Asset Outlook: Dawn of…」において、ビットコインは来年前半に史上最高値を更新すると予想しています。Grayscaleの見解は以下の通りです。(1)規制の追い風:トランプ政権が暗号資産推進姿勢を明確にしており、規制整備が進みます。(2)機関投資家の本格参入:ETFの定着により、機関投資家の参入が本格化します。(3)マクロ経済の回復:2026年末までに米国経済が成長局面を迎えると、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が予測しています(後述)。経済回復がリスク資産にポジティブです。Grayscaleは、ビットコインが2026年前半に史上最高値(12万6,200ドル、約1,956万円)を更新し、さらに上昇する可能性があると見ています。
第四に、テクニカル・オンチェーン指標が底形成示唆です。ビットコインは、約2カ月前に記録した約12万6,200ドルの史上最高値から35%超下落した後、テクニカル指標とオンチェーン指標の組み合わせから、局所的な底を形成しつつある可能性があります。底形成のシグナルは以下の通りです。(1)RSI(相対力指数):売られ過ぎ水準に達しています。(2)MVRV比率:市場価値と実現価値の比率が低下し、割安感が出ています。(3)取引所への純流入:投資家が取引所からビットコインを引き出しており、長期保有の姿勢が見られます。これらの指標は、短期的な底打ちを示唆していますが、確定的ではありません。今後の経済指標や政策動向によって、さらに下落する可能性もあります。
第五に、クラーケンIPOが追い風にです。来年に予定される暗号資産取引所クラーケン(Kraken)の新規株式公開(IPO)は、伝統的金融(TradFi)の投資家から新たな資金流入を呼び込む可能性があります。ファンドCEOは「ビットコイン強気相場はまだ中盤」と指摘しています。クラーケンIPOの意義は以下の通りです。(1)暗号資産業界の成熟:大手取引所のIPOは、業界が成熟していることを示します。(2)機関投資家の参入:株式市場を通じて、機関投資家が暗号資産業界に投資しやすくなります。(3)市場の活性化:IPOによる資金調達で、クラーケンがサービスを拡充し、市場が活性化します。
日本企業の金BTC併用戦略──KLabデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略、ビットコイン:金=6:4割合で保有、リスク分散と成長期待両立
東証プライム上場のKLab(クラブ、モバイルオンラインゲーム開発)が12月25日、「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」に基づき、ビットコインと金を6:4の割合で保有する方針を発表しました。この戦略は、リスク分散と成長期待を両立させる画期的なアプローチです。
KLabの戦略詳細は以下の通りです。第一に、デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略の概要です。KLabは12月5日に「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」を公表していましたが、25日に具体的な保有比率を明らかにしました。ビットコイン:金=6:4の割合で保有します。ビットコインは「デジタルゴールド」、金は「リアルゴールド」と位置付けています。両方を保有することで、リスクを分散しつつ、成長機会を捉えます。
第二に、6:4の比率の意味です。ビットコイン60%:金40%という比率は、以下の考え方に基づいています。(1)ビットコインの成長性:ビットコインは高いリターンが期待できる一方、ボラティリティ(価格変動)が大きいです。60%の配分で、成長機会を最大限に活かします。(2)金の安定性:金は安定した価値保存手段で、ボラティリティが低いです。40%の配分で、リスクを抑制します。(3)相関の低さ:ビットコインと金は、価格の相関が低い(同じ方向に動かない)ため、分散効果が高いです。片方が下落しても、もう片方が安定していれば、ポートフォリオ全体の損失が抑えられます。
第三に、他社との比較です。これまで、日本企業の暗号資産財務戦略は、以下のパターンがありました。(1)ビットコイン専門:メタプラネット、エスクリプトエナジーなど。(2)イーサリアム専門:TORICO、ビットマイン、トレンド・リサーチなど。(3)ビットコイン+イーサリアム:Def consultingなど(一部企業)。KLabの「ビットコイン+金」という組み合わせは、日本企業として初めてのアプローチです。暗号資産と伝統的な貴金属を組み合わせることで、新しいポートフォリオ戦略を提示しています。
第四に、KLabの狙いです。KLabがデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略を採用した理由は、以下が考えられます。(1)リスク管理:ゲーム業界は競争が激しく、収益が不安定です。財務資産を分散することで、企業全体のリスクを管理します。(2)株主価値の向上:ビットコインと金を保有することで、企業価値が向上し、株価が上昇する可能性があります。(3)長期的な資産保全:インフレに強い資産(ビットコイン、金)を保有することで、長期的に資産を保全します。(4)話題性:ユニークな戦略により、市場の注目を集め、企業のブランド価値を高めます。
第五に、市場の反応です。KLabの発表に対する市場の反応は、今後注視されます。メタプラネットやTORICOのように株価が急騰する可能性もあれば、ビットコインと金の両方を保有することで「中途半端」と見られる可能性もあります。投資家がどのように評価するかが注目されます。
第六に、今後の展望です。KLabのデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略が成功すれば、他の企業も同様のアプローチを採用する可能性があります。「ビットコイン vs イーサリアム」だけでなく、「ビットコイン+金」「イーサリアム+金」など、多様な組み合わせが登場するかもしれません。日本企業の暗号資産財務戦略が、さらに多様化する可能性があります。
量子コンピュータと暗号資産の共存──専門家が可能性指摘、楽観論と懸念論交錯、ソラナ・イーサリアムが量子耐性技術実装開始、5-10年移行期間必要
量子コンピューティングが暗号資産業界に与える影響について、楽観論と懸念論が交錯する中、専門家は「共存」の可能性を指摘しています。ビットコインベテラン投資家やマイクロストラテジー会長は量子が暗号資産を強化すると主張する一方、開発者は5~10年の移行期間が必要と警告しています。ソラナやイーサリアムなど主要ブロックチェーンは既に量子耐性技術の実装を開始しています。
量子コンピュータと暗号資産の詳細は以下の通りです。第一に、量子コンピュータの脅威とはです。量子コンピュータは、従来のコンピュータをはるかに超える計算能力を持ちます。暗号資産は、公開鍵暗号(ECDSA、楕円曲線デジタル署名アルゴリズム)によって保護されています。量子コンピュータは、この暗号を破る可能性があります。具体的には、秘密鍵を公開鍵から逆算できるようになり、ビットコインなどが盗まれるリスクがあります。
第二に、楽観論です。ビットコインベテラン投資家やマイクロストラテジー(現ストラテジー)のマイケル・セイラー(Michael Saylor)会長は、量子コンピュータが暗号資産を強化すると主張しています。楽観論の根拠は以下の通りです。(1)量子耐性技術の開発:量子コンピュータに耐性のある新しい暗号技術(ポスト量子暗号)が開発されています。ブロックチェーンは、これらの技術を実装できます。(2)移行期間の十分さ:実用的な量子コンピュータが登場するまでに、5~10年以上かかると予想されています。その間に、ブロックチェーンを量子耐性にアップグレードできます。(3)量子技術の活用:量子コンピュータは、ブロックチェーンの性能を向上させる可能性もあります。量子乱数生成器(QRNG)を使って、より安全な鍵を生成できます。
第三に、懸念論です。一部の開発者や専門家は、量子コンピュータの脅威を深刻に受け止めています。懸念論の根拠は以下の通りです。(1)技術進化の速さ:量子コンピュータの開発は急速に進んでおり、予想より早く実用化される可能性があります。(2)移行の困難さ:すべてのブロックチェーンを量子耐性にアップグレードするには、膨大な時間とコストがかかります。コンセンサスを得るのが難しく、分裂(ハードフォーク)のリスクもあります。(3)古いアドレスの脆弱性:長期間使われていないビットコインアドレス(サトシ・ナカモトの保有分など)は、量子コンピュータによって盗まれる可能性があります。
第四に、主要ブロックチェーンの対応です。ソラナ、イーサリアムなど主要ブロックチェーンは、既に量子耐性技術の実装を開始しています。(1)イーサリアム:イーサリアム財団は、量子耐性暗号(例:SPHINCS+、Dilithium)の研究を進めています。将来のアップグレードで実装する計画です。(2)ソラナ:ソラナも、量子耐性暗号の導入を検討しています。ポスト量子暗号アルゴリズムのテストを行っています。(3)ビットコイン:ビットコインコミュニティでも、量子耐性に関する議論が活発化しています。ただし、コンセンサスを得るのに時間がかかる可能性があります。
第五に、5-10年移行期間です。専門家は、量子コンピュータが実用化されるまでに5~10年の猶予があると見ています。この期間に、以下の対応が必要です。(1)量子耐性暗号の標準化:NIST(米国国立標準技術研究所)が、ポスト量子暗号の標準を策定しています。(2)ブロックチェーンのアップグレード:各ブロックチェーンが、量子耐性暗号を実装します。(3)ユーザーの移行:ユーザーが、古いアドレスから新しい量子耐性アドレスに資産を移動します。この移行期間が十分であれば、量子コンピュータと暗号資産は「共存」できると専門家は指摘しています。
第六に、今後の展望です。量子コンピュータは、暗号資産にとって脅威であると同時に、技術革新の機会でもあります。量子耐性技術を実装することで、暗号資産のセキュリティがさらに強化されます。量子コンピュータを活用した新しいブロックチェーン技術が登場する可能性もあります。投資家は、量子コンピュータの動向を注視しつつ、長期的な視点で暗号資産に投資する必要があります。
その他重要トピック──Bybit世界ランキング日本47位・マルチコインWLD 46億円投入疑惑・Aaveガバナンス対立継続・デリバティブ取引高85.7兆ドル・EU DAC8発効
前日報道のBybit(バイビット)2025年世界暗号資産ランキングでは、シンガポールと米国がリードし、日本は47位となりました。マルチコイン・キャピタル(Multicoin Capital)がワールドコイン(WLD)に約46億円(3,000万ドル)を投入した疑いが浮上しています。Aaveのガバナンス対立が継続し、2025年のデリバティブ取引高は約85.7兆ドル(約1京3,284兆円)へ急拡大しました。
その他重要トピックの詳細は以下の通りです。第一に、Bybit世界ランキング日本47位です。Bybitは2025年世界暗号資産ランキングで、79カ国をユーザー浸透度、取引利用度、制度整備度、文化的浸透度の観点から相対的に評価しました。シンガポールと米国が上位にランクインし、日本は47位となりました。また国別の一人当たりGDPから分析したところ、投資主導型と実用主導型の二つの採用パターンが明確となりました。日本が47位に留まった理由は、以下が考えられます。(1)規制の厳格さ:日本の暗号資産規制は世界的に見ても厳格で、取引所の参入障壁が高いです。(2)税制の不利さ:暗号資産の利益は雑所得として最大55%課税されます(2028年から分離課税20%に改正予定)。(3)文化的浸透度の低さ:日本では暗号資産が投機対象として見られがちで、日常的な利用が少ないです。一方、シンガポールや米国は、規制が明確で税制が有利であり、暗号資産の文化的浸透度も高いです。
第二に、マルチコインWLD 46億円投入疑惑です。マルチコイン・キャピタルと関連するウォレットが24日、ワールドコイン(WLD)6,000万トークンを約46億円(約3,000万ドル)で購入した疑いが浮上しました。オンチェーンデータ分析サービスが報告しました。WLD価格は史上最高値から95%下落中です。マルチコインがWLDに大量投資した理由は不明ですが、以下の可能性があります。(1)底値買い:WLDが大幅に下落しており、割安と判断した。(2)プロジェクトへの信頼:ワールドコイン(World、サム・アルトマン氏が創業)のビジョンに共感している。(3)長期投資:短期的な価格変動ではなく、長期的な成長を見込んでいる。ただし、WLDは95%下落しており、リスクの高い投資です。
第三に、Aaveガバナンス対立継続です。前日報道の通り、大手DeFiプロトコルAave(アーヴェ)で深刻なガバナンス対立が発生しています。年15億円超(約1,000万ドル)の収益配分とブランド資産の所有権をめぐり、DAO(分散自律組織)とAave Labsが対立しています。Snapshot投票では反対が過半数を占め、DeFi業界のガバナンス課題を浮き彫りにしています。Aaveのトークン価格は過去1週間で約20%下落しました。ガバナンス対立の解決には時間がかかる見込みです。
第四に、デリバティブ取引高85.7兆ドルです。コイングラス(Coinglass)のレポートによれば、暗号資産のデリバティブ取引高は2025年に約85.7兆ドル(約1京3,284兆円)へと急増し、1日平均では約2,645億ドル(約41兆円)に達しました。デリバティブ取引(先物、オプション、永久先物など)の急拡大は、以下の要因によるものです。(1)機関投資家の参入:機関投資家がヘッジ手段としてデリバティブを活用しています。(2)レバレッジ取引の人気:個人投資家がレバレッジをかけて利益を追求しています。(3)取引所の競争:バイナンス、OKX、Bybitなどが競争し、取引高が増加しています。デリバティブ市場の拡大は、暗号資産市場の成熟を示していますが、同時にレバレッジリスクも高まっています。
第五に、EU DAC8発効です。EUの新たな税務透明性法DAC8(Directive on Administrative Cooperation 8)が2026年1月1日に発効します。暗号資産サービスプロバイダー(VASP)は同日からEU居住ユーザーの取引データ収集を開始し、2027年9月までに最初の報告が必要となります。DAC8の目的は、以下の通りです。(1)税務透明性の向上:暗号資産取引を税務当局が把握し、脱税を防ぎます。(2)国際協力:EU加盟国間でデータを共有し、税務執行を強化します。DAC8の影響は、以下が予想されます。(1)コンプライアンスコストの増加:取引所はデータ収集・報告のシステムを構築する必要があります。(2)プライバシーへの懸念:ユーザーの取引データが政府に報告されることに、プライバシー上の懸念があります。(3)規制の世界的な広がり:EUに続き、他の地域でも同様の規制が導入される可能性があります。
第六に、その他のトピックです。(1)イーロン・マスク:2026年末までに米経済急成長予測:マスク氏が米国経済は早ければ2026年12月までに大きな成長局面を迎える可能性があると予測し、ビットコインコミュニティでは市場の再上昇に期待が集まっています。(2)暗号資産業界M&A 86億ドルに:2025年、暗号資産関連の合併・買収(M&A)の取引総額が過去最高となる86億ドル(約1兆3,330億円)規模に達しました。親暗号資産姿勢のトランプ政権が追い風となっています。(3)トークン化の進展:クラーケン幹部は「あらゆるものがマネーに」と指摘し、ドラゴンフライ幹部はソラナとイーサリアムがトークン化競争で共存すると予想しています。Standard Chartered(スタンダード・チャータード)はブロックチェーンベースのトークン化預金ソリューションを開始しました。(4)キルギスがバイナンスでソム連動ステーブルコイン上場:キルギスが暗号資産推進を強化しており、バイナンスがソム(キルギスの通貨)連動ステーブルコインを上場しました。(5)トランプ関連USD1ステーブルコイン:バイナンスの利回りプログラム受け、トランプ関連ステーブルコイン「USD1」の時価総額が約1億5,000万ドル(約232億円)増加しました。(6)2025年NFT市場:NFT(非代替性トークン)は取引量の減少、文化的な位置付けの見直し、実社会での活用に重心を移す動きによって再形成されました。価格低迷の中で実用性とカルチャーへ移行しています。(7)新規トークンの85%が暴落:2025年の暗号資産市場において新規トークンの立ち上げ(TGE)戦略が大きな曲がり角を迎えており、新規トークンの85%が暴落し「TGEが天井」となる現実が明らかになっています。
おわりに
2025年12月25日、日本の暗号資産市場で画期的な動きが相次ぎました。SBI VCトレードとアプラスがUSDC店舗決済の実証実験を2026年春に開始し、Komlock labとTDSEがAIエージェント自律決済実証を開始しました。アステリアは企業向けJPYCゲートウェイを発表し、ステーブルコイン決済の社会実装が加速しています。これらの動きは、日本が暗号資産決済のフロントランナーとして台頭していることを示しています。インバウンド需要の取り込み、決済手数料の削減、AIとブロックチェーンの融合など、多様なユースケースが実現しつつあります。
金融政策では、日銀の植田和男総裁が利上げ継続方針を表明し、政策金利は既に30年ぶりの0.75%水準に達しています。円キャリートレード巻き戻しのリスクが暗号資産市場に影を落としており、投資家は慎重な姿勢を維持しています。ビットコイン現物ETFは4日連続で資金流出が続き、米国が最大のビットコイン売り手となっています。クリスマス休暇の影響もあり、市場は様子見ムードが強まっています。
一方、価格予想は二極化しており、Presto Researchは16万ドル到達を予想し、Grayscaleは2026年前半に史上最高値更新を予想しています。悲観論では37,000ドルまで下落する可能性も指摘されています。テクニカル・オンチェーン指標は局所的な底形成を示唆しており、短期的には反発の可能性もあります。クラーケンIPOが2026年に予定されており、機関投資家からの新たな資金流入が期待されています。
日本企業では、KLabが「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」を始動させ、ビットコインと金を6:4の割合で保有する方針を発表しました。リスク分散と成長期待を両立させる画期的なアプローチで、日本企業の暗号資産財務戦略がさらに多様化しています。メタプラネット(ビットコイン専門)、TORICO(イーサリアム専門)、KLab(ビットコイン+金)と、各社が独自の戦略を展開しています。
量子コンピュータと暗号資産の関係では、専門家が「共存」の可能性を指摘しています。ソラナやイーサリアムが量子耐性技術の実装を開始しており、5~10年の移行期間で対応が進む見込みです。量子コンピュータは脅威であると同時に、技術革新の機会でもあります。
その他、Bybit世界ランキングで日本が47位に留まったこと、マルチコインがWLDに46億円投入した疑惑、Aaveのガバナンス対立継続、デリバティブ取引高が85.7兆ドルへ急拡大したこと、EU DAC8が2026年1月1日に発効することなど、重要な動きが続いています。
市場は、日本のステーブルコイン決済実証実験という光明と、日銀利上げ・ETF流出という暗雲が交錯する状況です。短期的には円キャリートレード巻き戻しと流動性低下に警戒が必要ですが、長期的には規制整備、実用化の進展、企業の財務戦略多様化により市場が成熟に向かっています。投資家は、短期的な価格変動に一喜一憂せず、ファンダメンタルに基づいた長期的な視点を持つことが重要です。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行ってください。素晴らしいクリスマスと良い年末をお過ごしください。
