2025年12月16日、暗号資産市場は急激な調整局面を迎えました。ビットコインは直近24時間で一時約80万円下落し、8万5,000ドル(約1,318万円)まで急落しました。米上院で市場構造法案の審議が2026年へ先送りされることが決定されたことに加え、米雇用統計発表を控えた投資家の警戒感が高まったことが主な下落要因です。ロングポジションで5億ドル(約775億円)超の清算が発生し、流動性の薄さと脆弱なリスクセンチメントの中で大規模な清算連鎖が起きました。
中国新疆ウイグル自治区で暗号資産マイニング施設の大規模停止が報じられ、ビットコインのハッシュレートが1日で約10%急落しました。40万台のマシンが停止したとの推定もあり、2021年の全国取り締まり後、地下で復活していたマイニング活動に再び規制の動きが見られます。
一方、日本では前向きな動きがありました。SBIホールディングス(SBI Holdings)とスターテイル・グループ(Startale Group)が日本の金融規制に準拠した円建てステーブルコインの共同開発で覚書(MOU)を締結しました。信託型3号電子決済手段として2026年度第1四半期(2026年6月)のローンチを目指します。
JPモルガン(JPMorgan)がイーサリアム上で同社初のトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)をローンチし、ペイパル(PayPal)がSparkと提携して年利4.25%のPYUSD貯蓄商品を開始するなど、伝統金融機関の暗号資産参入が加速しています。
本稿では、市場急落とクジラ動向、日本円ステーブルコイン開発、企業BTC戦略、規制動向、金融機関参入について解説します。
市場急落『BTC 8.5万ドル・ロング5億ドル超清算・中国マイニング停止でハッシュレート10%急落』クジラ売り圧継続も『シャーク』買い増し──アクティブアドレス1年ぶり低水準、ETF6割含み損
ビットコインは直近24時間で一時約80万円下落し、8万5,000ドル(約1,318万円)まで急落しました。最高値12万6,200ドル(約1,957万円)から30%下落しており、ロングポジションで5億ドル(約775億円)超の清算が発生しました。中国新疆でマイニング施設の大規模停止が報じられ、ハッシュレートが1日で約10%急落しました。一方、オンチェーンデータは機関投資家や富裕層が積極的に買い増している状況を示しています。
市場急落の詳細は以下の通りです。第一に、ビットコイン8.5万ドルへの急落です。ビットコインは12月15日から16日にかけて急落し、重要な9万ドル(約1,395万円)のサポートを失った後、8万5,600ドル(約1,327万円)まで下落しました。米上院銀行委員会がビットコインなど暗号資産の市場構造を定める「市場構造法案」の採決を来年に先送りしたことが下落の要因の一つです。超党派による協議が継続中であり、規制整備の遅れが市場の不透明感を高めました。また、米雇用統計が12月16日に発表されることを受け、投資家の警戒感が高まったことも下落要因です。雇用統計の結果次第で、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策見通しが変化する可能性があります。
第二に、ロングポジションで5億ドル超の清算です。暗号資産市場では、流動性の薄さと脆弱なリスクセンチメントの中で大きく偏ったロングポジションが強制的に解消されたことで、過去24時間でレバレッジの急激な巻き戻しが発生しました。ロングポジション(価格上昇を見込んだ買いポジション)で5億ドル(約775億円)超の清算が発生し、清算連鎖により下落が加速しました。レバレッジ取引では、一定の証拠金率を下回ると強制的にポジションが決済(清算)されます。価格下落により多数のロングポジションが清算され、さらなる売り圧力となりました。個人投資家は押し目買いを続けている一方で、大口保有者(クジラ)はこうした需要を利用してポジションを手放しており、下落圧力は依然として強い状況です。
第三に、中国マイニング施設停止とハッシュレート急落です。中国新疆ウイグル自治区で暗号資産マイニング施設の大規模停止が報じられました。ビットコインマイニング装置メーカー、カナン(Canaan)の元共同会長ジャンピン・コン(Jianping Kong)氏は、ビットコインのハッシュレートが日曜に約10%低下し、新疆のマイニングファーム停止が原因だと指摘しました。40万台のマシンが停止したとの推定もあります。当局が2週間前に警告しており、2021年の全国取り締まり後、地下で復活していたマイニング活動に再び規制の動きが見られます。VanEck(ヴァンエック)のデジタル資産調査責任者マシュー・シーゲル(Matthew Sigel)氏によれば、ビットコインの30日単純移動平均(SMA)ハッシュレートは2024年以来の大幅な低下となりました。
第四に、クジラの売り圧力継続とシャーク投資家の買い増しです。ビットコインは8万6,000ドル(約1,333万円)を下回り、個人投資家が押し目買いを続ける一方で、流動性の不均衡が拡大しています。大口保有者(クジラ)はこうした需要を利用してポジションを手放しており、約27.8億ドル(約4,308億円)規模のクジラによる売りが、押し目買いを圧倒しています。一方、オンチェーンデータは「シャーク(Shark)」と呼ばれる機関投資家や富裕層(10-1,000BTC保有)が積極的に買い増している状況を示しています。ビットコインは直近の高値12万6,200ドル(約1,957万円)から30%下落していますが、シャーク投資家は13年ぶりの最速ペースでBTCを蓄積しています。市場では7万ドル(約1,085万円)台までのさらなる下落を懸念する声も出ていますが、機関投資家の買い増しが下値を支える可能性があります。
第五に、アクティブアドレス1年ぶり低水準とマイナー収益圧迫です。ビットコインのアクティブアドレスが66万件と1年ぶりの低水準に落ち込み、マイナー収益も減少しています。Glassnode(グラスノード)によると、ETF承認後に取引がオンチェーン(ブロックチェーン上)からETF経由にシフトしており、手数料の低迷が続けば長期的なネットワークセキュリティに懸念が生じる可能性があります。ビットコイン現物ETFの登場により、投資家はETFを通じてビットコインに投資できるようになり、オンチェーン取引が減少しました。オンチェーン取引が減少すると、トランザクション手数料も減少し、マイナーの収益が圧迫されます。長期的には、マイナーの収益減少がネットワークのセキュリティ低下につながる懸念があります。
第六に、ビットコインETFの6割が含み損です。分析企業Checkonchain(チェックオンチェーン)の報告によると、現在市場全体で約1,000億ドル(約15兆5,000億円)規模の未実現損失が発生しており、特に現物ETFへの投資家の6割が含み損を抱えている状況です。2022年以来の厳しい局面を迎えている可能性が指摘されています。ビットコイン現物ETFは1月に承認され、大量の資金が流入しましたが、価格が12万6,200ドルから8万5,000ドルへ下落したことで、多くの投資家が含み損を抱えています。
第七に、日銀利上げ観測が下落を強める可能性です。日本銀行が12月19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる観測が強まっています。ビットコインの反発は日中レンジ高値付近での売りに抑えられる状況が続いており、日銀による利上げ観測が、ビットコインやアルトコインの下落をさらに強める可能性があります。円キャリートレードの巻き戻しが加速すれば、暗号資産市場からの資金流出が続きます。
第八に、グラスノード分析ではBTCがアルトコインをアウトパフォームです。オンチェーン分析プラットフォームのグラスノードによると、過去最高値から下落したにもかかわらず、ビットコインはほかの暗号資産セクター(AIトークン、ミームコインなど)を依然として上回っており、資本と投資の流れはビットコインを選好し続けています。アルトコインは大幅に下落しており、ビットコインへの資金集中が進んでいます。
日本円ステーブルコイン『SBIとスターテイル共同開発2026年6月発行』国際決済・トークン化市場狙う──Visa銀行向け支援開始、PayPal PYUSD年利4.25%貯蓄商品、リップルRLUSDマルチチェーン展開
SBIホールディングスとスターテイル・グループが日本の金融規制に準拠した円建てステーブルコインの共同開発で覚書を締結しました。信託型3号電子決済手段として2026年度第1四半期(2026年6月)のローンチを目指します。国際間決済とトークン化市場を狙っています。決済大手Visaが「ステーブルコイン・アドバイザリー・プラクティス」を立ち上げ、銀行や企業のステーブルコイン戦略構築を支援します。
日本円ステーブルコインと関連動向の詳細は以下の通りです。第一に、SBIとスターテイルの円建てステーブルコイン共同開発です。日本の金融大手SBIホールディングスと、Web3インフラ企業スターテイル・グループは、完全規制対応の日本円建てステーブルコインを共同開発する覚書(MOU)を締結しました。このステーブルコインはトークン化資産市場と国際決済をターゲットにしています。2026年度第1四半期(2026年6月)の発行を目指し、信託型3号電子決済手段として金融規制に準拠します。SBIグループ内で「発行から流通」までを一括提供する体制の構築を目指します。日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインの発行・流通が法的に整備されました。ステーブルコインは「3号電子決済手段」として分類され、銀行、資金移動業者、信託会社が発行できます。SBIは信託銀行を保有しており、信託型ステーブルコインを発行できる体制を整えています。
第二に、国際決済とトークン化市場をターゲットとする戦略です。SBIとスターテイルが開発する円建てステーブルコインは、以下の用途をターゲットにしています。(1)国際間決済:海外送金や貿易決済において、円建てステーブルコインを利用することで、従来のSWIFT経由の送金に比べて迅速・低コストで決済できます。(2)トークン化資産市場:不動産、株式、債券などの資産をトークン化し、ブロックチェーン上で取引する際の決済手段として利用します。(3)DeFi(分散型金融):日本円建てのステーブルコインをDeFiプロトコルで利用し、レンディング、イールドファーミングなどを実現します。スターテイル・グループは、ポルカドット(Polkadot)やアスター(Astar)などのブロックチェーン開発で知られており、技術面でのサポートを提供します。
第三に、Visa銀行向けステーブルコイン事業支援開始です。決済大手Visaが「ステーブルコイン・アドバイザリー・プラクティス(Stablecoin Advisory Practice)」を立ち上げました。銀行や企業のステーブルコイン戦略構築を支援します。Visaは、ステーブルコインが決済エコシステムの重要な要素になると位置付けており、銀行や企業がステーブルコインを発行・利用する際の戦略立案、規制対応、技術実装などをサポートします。既に複数の銀行や企業と協議を進めており、ステーブルコイン市場の拡大を加速させます。Visaは2021年からステーブルコインUSDC決済のパイロットプログラムを実施しており、ステーブルコイン分野での経験を蓄積しています。
第四に、PayPal PYUSD年利4.25%貯蓄商品です。ペイパルがSparkと提携し、年利4.25%のPYUSD貯蓄商品「PYUSD Savings Vault」を開始しました。10億ドル(約1,550億円)の預金目標を掲げています。ペイパルの子会社Paxos(パクソス)が連邦信託銀行免許の条件付き承認を取得しており、規制面での優位性も確保しています。PYUSDはペイパルが発行する米ドル連動型ステーブルコインで、決済や送金に利用されています。年利4.25%の貯蓄商品により、投資家はPYUSDを預けて利息を得ることができます。これは、銀行預金の利息(米国では約5%程度)に匹敵する水準であり、ステーブルコインの実用性を高めます。Sparkは分散型金融プロトコルで、MakerDAOのエコシステムの一部です。ペイパルとSparkの提携により、DeFiと伝統金融の融合が進んでいます。
第五に、リップルRLUSDのマルチチェーン展開です。リップルラボ(Ripple Labs)は、米ドル連動型ステーブルコインRLUSD(Ripple USD)をイーサリアムのレイヤー2(L2)ブロックチェーンへ拡大するパイロットプログラムを開始しました。ワームホール(Wormhole)と連携してマルチチェーン展開を進めます。正式な全面展開は来年の規制承認後となる予定です。RLUSDは当初、XRPレジャー(XRP Ledger)とイーサリアムメインネットで発行されましたが、イーサリアムL2(Arbitrum、Optimism、Baseなど)への拡大により、より多くのユーザーがアクセスできるようになります。ワームホールはクロスチェーンブリッジプロトコルで、異なるブロックチェーン間での資産移動を可能にします。リップルはワームホールと連携し、RLUSDを複数のチェーンで利用可能にする戦略です。
企業BTC戦略『ストラテジー2週連続10億ドル購入・保有67万BTC』『アメリカン・ビットコイン1000BTC追加』メタプラネット株10%急落も底打ちサインか──企業保有総額108万BTC超、エルサルバドルも購入
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジー社が、2週連続で約10億ドル(約1,550億円)規模のビットコイン購入を実施しました。保有量は67万1,268BTC(約5兆7,000億円)に拡大しました。トランプ関連のアメリカン・ビットコイン(American Bitcoin)が12月に1,000BTC以上を追加購入し、上場企業上位100社の保有総額は108万BTC超に達しました。メタプラネット株は前日比10.30%の大幅反落となりましたが、チャート上で長期的なサポートラインと重なっており、底打ちサインの可能性があります。
企業BTC戦略の詳細は以下の通りです。第一に、ストラテジー2週連続10億ドル規模購入です。マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏率いるストラテジーは、2週連続で1万BTC超を取得し、ビットコイン保有量を67万1,268BTCに拡大しました。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、同社は2025年12月8日から14日にかけて、10,645BTCを平均約9万3,000ドル(約1,441万円)で購入しました。購入総額は約9億8,000万ドル(約1,519億円)です。前週も約10億ドル規模の購入を実施しており、2週連続で大規模な買い増しを行っています。ビットコインの価格下落局面を押し目買いの好機と捉え、積極的に買い増しする戦略を継続しています。セイラー会長は「ビットコインは長期的に最も優れた価値保存手段」との見解を改めて表明しており、価格下落に動じず買い増しを続ける姿勢を示しています。
第二に、アメリカン・ビットコイン1,000BTC追加購入です。トランプ関連のアメリカン・ビットコインが12月に1,000BTC以上を追加購入しました。暗号資産市場が不安定な状況にあり、ビットコイン関連株が下落する中でも、企業によるビットコイン購入は続いています。アメリカン・ビットコインは、企業のビットコイン保有競争でプロキャップ・ファイナンシャル(Procap Financial)を抜きました。トランプ氏の当選後、暗号資産に対する政策期待が高まっており、トランプ関連企業もビットコイン買い増しを加速させています。
第三に、企業保有総額108万BTC超です。上場企業上位100社のビットコイン保有総額は108万BTC超(約9兆1,800億円)に達しました。企業のビットコイン財務戦略が加速しています。ストラテジー(67万BTC)、マラソン・デジタル・ホールディングス(Marathon Digital Holdings、約4.4万BTC)、ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms、約1.7万BTC)、コインベース(Coinbase、約1万BTC)、テスラ(Tesla、約1万BTC)など、多数の企業がビットコインを保有しています。企業によるビットコイン買い増しが、価格下落局面での下値を支えています。
第四に、メタプラネット株10%急落も底打ちサインかです。東京証券取引所におけるメタプラネット(3350)の株価が前日比10.30%の大幅反落となり、392円で取引を終了しました。この価格水準はチャート上で長期的なサポートライン(下値支持線)として機能してきた節目と重なっており、底打ちの可能性が指摘されています。メタプラネットは来週12月22日に臨時株主総会を開催し、200億円超の資金調達に関する議案が審議される予定です。株主総会での承認が得られれば、ビットコイン買い増しが加速し、株価の反発が期待されます。一方、株価の10%急落は、投資家の警戒感の高まりを示しています。ビットコイン価格の下落に伴い、メタプラネット株も連動して下落しました。
第五に、エルサルバドルも購入継続です。エルサルバドルもビットコインの購入を継続しています。同国は2021年にビットコインを法定通貨に採用し、継続的にビットコインを購入しています。価格下落局面でも買い増しを続けており、国家レベルでのビットコイン財務戦略を推進しています。ストラテジー、アメリカン・ビットコイン、エルサルバドルなど、「クジラ(大口保有者)」による10億ドル分のビットコイン購入発表が相次いでおり、価格は2週間ぶりの安値8万5,000ドル付近まで下落しましたが、大口買いが下値を支えています。
規制動向『SEC委員長・金融監視システム警告』『市場構造法案2026年先送り』『SEC執行案件60%緩和』ナスダック23時間取引提案──FRB議長人事タカ派ウォーシュ氏台頭
米SEC(証券取引委員会)委員長が暗号資産タスクフォース円卓会議で、過度な規制により暗号資産が史上最強の金融監視システムになる恐れがあると警告しました。国家安全保障とプライバシー保護のバランスを強調し、トランプ政権の方針と一致する姿勢を示しました。米上院銀行委員会が暗号資産の市場構造を定める「市場構造法案」の採決を来年に先送りしました。SECはトランプ政権下で暗号資産関連の執行案件の約60%を事実上緩和したと報じられています。
規制動向の詳細は以下の通りです。第一に、SEC委員長の金融監視システム警告です。SEC委員長が暗号資産タスクフォース円卓会議で、過度な規制により暗号資産が史上最強の金融監視システムになる恐れがあると警告しました。ブロックチェーン技術は全ての取引を記録するため、過度な規制により政府が全ての取引を監視できる体制になる可能性があります。委員長は国家安全保障とプライバシー保護のバランスを強調し、適度な規制が必要だと訴えました。トランプ政権は暗号資産業界に対して友好的な姿勢を示しており、SEC委員長の発言もその方針と一致しています。
第二に、市場構造法案2026年先送りです。米上院銀行委員会がビットコインなど暗号資産の市場構造を定める「市場構造法案」の採決を来年に先送りしました。超党派による協議が継続中です。市場構造法案は、暗号資産の法的位置付け、取引所の規制、カストディ業者の規制、投資家保護などを定める包括的な法案です。共和党と民主党の間で意見の相違があり、合意に至っていません。採決の先送りにより、規制の不透明感が継続し、市場の不安材料となっています。
第三に、SEC執行案件60%緩和です。金融規制当局は2025年に暗号資産企業に対する複数の訴訟を取り下げ、トランプ氏と関係のある企業に対しては「現在、1件も積極的に追及していない」と報じられています。SECはトランプ政権下で暗号資産関連の執行案件の約60%を事実上緩和しました。バイデン政権下では、SECは暗号資産業界に対して厳格な法執行を行い、多数の企業を訴訟しました。トランプ政権への移行に伴い、SECは姿勢を軟化させ、訴訟を取り下げるケースが増えています。規制緩和により、暗号資産業界の成長が加速する可能性があります。
第四に、ナスダック23時間取引体制提案です。ナスダック(Nasdaq)が1日23時間の株式取引体制を米SECに提案しました。暗号資産の24時間取引が投資家の期待を変化させたことを背景に、2026年後半の導入を目指します。NYSE(ニューヨーク証券取引所)も22時間取引の承認を取得済みです。暗号資産市場は24時間365日稼働しており、投資家はいつでも取引できます。株式市場も取引時間を延長することで、暗号資産市場に対抗します。取引時間の延長により、世界中の投資家がアクセスしやすくなり、流動性が向上します。
第五に、FRB議長人事でタカ派ウォーシュ氏台頭です。CNBCによると、FRB議長候補として有力視されていたケビン・ハセット(Kevin Hassett)氏に対し、トランプ大統領に近い高官らから反対の声が出ています。トランプ氏は13日、ケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)元FRB理事が候補リストのトップに浮上したと述べました。ウォーシュ氏はタカ派として知られており、FRB議長に就任すれば利下げペースが鈍化し、流動性供給が減少する可能性があります。ビットコインは「流動性の関数」とも言われており、ウォーシュ氏の議長就任はネガティブ材料となります。一方、ハセット氏は暗号資産支持派として知られており、同氏の候補からの後退は市場にとってネガティブです。
金融機関参入『JPモルガンETH上MMFトークン化』『メタマスクBTC対応』『ブータン・カンバーランドDRW提携』投資商品1,340億円純流入──アークがコインベース・サークル買い増し
世界最大級の銀行JPモルガンが、イーサリアム上で同社初のトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)をローンチしました。適格投資家に利回りを得る機会を提供します。イーサリアム最大級のウォレット、メタマスク(MetaMask)がビットコインのネイティブサポートを発表し、法定通貨での購入、ネットワーク送金、他の暗号資産との交換機能が利用できるようになりました。ブータンが暗号資産マーケットメーカーのカンバーランドDRW(Cumberland DRW)と複数年にわたる覚書を締結しました。
金融機関参入の詳細は以下の通りです。第一に、JPモルガンイーサリアム上MMFトークン化です。運用資産4兆ドル(約620兆円)を誇るグローバル銀行JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は、イーサリアム上でトークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)を立ち上げました。適格投資家(機関投資家や富裕層)に利回りを得る機会を提供します。MMFは短期国債やコマーシャルペーパーなどの短期債券に投資するファンドで、安全性が高く、流動性に優れています。MMFをトークン化し、ブロックチェーン上で発行することで、24時間365日取引でき、即時決済が可能になります。JPモルガンは以前からブロックチェーン技術に積極的で、独自のブロックチェーン「Onyx(オニキス)」を開発し、企業間決済などに利用しています。今回のMMFトークン化により、伝統金融とブロックチェーンの融合が一段と進みました。
第二に、メタマスクビットコイン対応です。イーサリアム最大級のウォレット、メタマスクがビットコインのネイティブサポートを発表しました。法定通貨(ドルなど)での購入、ネットワーク送金、他の暗号資産との交換機能が利用できるようになりました。メタマスクは月間アクティブユーザー数3,000万人以上を誇る人気ウォレットですが、これまでイーサリアムとEVM(イーサリアム仮想マシン)互換チェーンのみに対応していました。ビットコイン対応により、ユーザーは一つのウォレットでビットコインとイーサリアムの両方を管理できるようになります。メタマスクは、ソラナ(SOL)など他のチェーンにも対応を拡大しており、マルチチェーンウォレットへの進化を進めています。
第三に、ブータン・カンバーランドDRW提携です。ブータンは、暗号資産マーケットメーカーのカンバーランドDRWと複数年にわたる覚書(MoU)を締結し、ゲレフ・マインドフルネス・シティ(GMC、Gelephu Mindfulness City)におけるデジタル資産インフラ構築で協力していくと発表しました。ブータンは水力発電の余剰電力を利用してビットコインマイニングを行っており、政府保有のビットコインは約1万BTC(約8.5億ドル、約1,318億円)と推定されています。GMCは、ブータンが建設を計画している新都市で、デジタル資産やブロックチェーン技術を活用したスマートシティを目指しています。カンバーランドDRWは流動性提供、取引インフラ構築、カストディサービスなどをサポートします。
第四に、暗号資産投資商品1,340億円純流入です。暗号資産投資企業CoinShares(コインシェアーズ)は、デジタル資産投資商品全体の先週における資金フローは約1,340億円(約8.6億ドル)の純流入だったと報告しました。ビットコインなどの原資産別のデータも公開しています。投資家心理は改善傾向にあり、3週連続の資金純流入となりました。米国が主導しており、ビットコインとイーサリアムが最大の配分を占める一方、ショート・ビットコイン商品(価格下落で利益を得る商品)は資金純流出となりました。機関投資家の買いが継続しており、市場の下支えとなっています。
第五に、アークがコインベース・サークル買い増しです。キャシー・ウッド(Cathie Wood)氏のアーク・インベスト(ARK Invest)は12月15日、コインベース(Coinbase)、ブリッシュ(Bullish)、サークル(Circle)などの暗号資産関連株を約6,000万ドル(約93億円)分買い増しました。暗号資産株が下落する中でも、アークは積極的に買い増しする姿勢を示しています。アークは、暗号資産の長期的な成長を見込んでおり、価格下落を買い増しの好機と捉えています。
その他重要トピック──2025年ブロックチェーン人気ランキング、北朝鮮偽Zoom詐欺3億ドル被害、ビットワイズHYPE ETF申請、JPYCをECサイトで使う裏技
CoinGecko(コインゲッコー)が2025年ブロックチェーン人気ランキングを発表しました。ソラナが2年連続トップとなるも関心度は12ポイント減少しました。XRPレジャーが初のトップ10入りを果たし、Sui(スイ)とBNB Chain(BNBチェーン)のシェアが大幅に拡大しました。ソラナはDEX取引量やNFT取引で圧倒的なシェアを持ちますが、関心度の低下は競合チェーンの台頭を示しています。XRPレジャーはリップル社のステーブルコインRLUSD発行などにより注目が高まりました。
サイバーセキュリティを専門とする非営利団体セキュリティ・アライアンス(SEAL、Security Alliance)は、北朝鮮系ハッカーが偽のZoom通話を利用した詐欺を仕掛けていると警告しました。被害はすでに3億ドル(約465億円)以上に達しています。偽のZoomリンクをクリックさせ、マルウェアを感染させる手口です。暗号資産業界関係者は、不審なZoomリンクに注意する必要があります。
ビットワイズ(Bitwise)が16日、ハイパーリキッド(Hyperliquid)ETFの修正登録届出書を提出し、ティッカーシンボルと運用手数料を設定しました。ブルームバーグのアナリストは、通常こうした動きは上場が近いことを示すと指摘しています。ハイパーリキッドは分散型永続契約(Perpetual Contracts)取引所で、高速・低手数料が特徴です。ETF上場により、機関投資家のアクセスが容易になります。
日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、ECサイトでの日常的な買い物が可能であることが実証されました。暗号資産決済ソリューションを提供する「Tria(トリア)」のカードを利用することで、TikTok Shopなどのプラットフォームで手数料・遅延なしに決済できます。JPYCの実用化が進んでいます。
おわりに
2025年12月16日は、暗号資産市場が急激な調整局面を迎えた一日となりました。ビットコインは一時約80万円下落し、8万5,000ドル(約1,318万円)まで急落しました。米上院で市場構造法案の審議が2026年へ先送りされ、米雇用統計発表を控えた投資家の警戒感が高まったことが主な下落要因です。ロングポジションで5億ドル超の清算が発生し、大規模な清算連鎖が起きました。中国新疆でマイニング施設の大規模停止が報じられ、ハッシュレートが1日で約10%急落しました。40万台のマシンが停止し、2021年の全国取り締まり後、地下で復活していたマイニング活動に再び規制の動きが見られます。
一方、オンチェーンデータは「シャーク」と呼ばれる機関投資家や富裕層が13年ぶりの最速ペースで買い増している状況を示しています。ストラテジーは2週連続で約10億ドル規模のビットコイン購入を実施し、保有量は67万1,268BTCに拡大しました。アメリカン・ビットコインも1,000BTC追加購入し、企業保有総額は108万BTC超に達しました。クジラによる大規模な買い増しが、価格下落局面での下値を支えています。
日本では、SBIホールディングスとスターテイル・グループが円建てステーブルコインの共同開発で覚書を締結しました。2026年度第1四半期(2026年6月)のローンチを目指し、国際間決済とトークン化市場をターゲットにしています。JPモルガンがイーサリアム上でMMFをトークン化し、ペイパルがPYUSD年利4.25%貯蓄商品を開始するなど、伝統金融機関の暗号資産参入が加速しています。
規制面では、SEC委員長が過度な規制により暗号資産が金融監視システムになる恐れがあると警告し、SECはトランプ政権下で執行案件の約60%を緩和しました。ナスダックが23時間取引体制を提案し、暗号資産の24時間取引が株式市場にも影響を与えています。
メタプラネット株は10%急落しましたが、長期的なサポートラインと重なっており、底打ちサインの可能性があります。来週22日の臨時株主総会で200億円超の資金調達が承認されれば、反発が期待されます。
市場急落、企業買い増し継続、日本円ステーブルコイン開発、金融機関参入加速という4つの大きな流れが見られました。短期的には調整圧力が強いものの、機関投資家の買い増し、企業のBTC戦略継続、規制緩和、金融機関参入という構造的な変化は継続しています。価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。
