2025年12月8日、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が米国のステーブルコイン規制緩和について警告を発し、金融不安定化のリスクを指摘しました。欧州中央銀行(ECB)に金融政策の見直しを求め、欧州の金融主権維持を主張しています。ステーブルコイン市場は3,000億ドル(約46兆5,000億円)超に急拡大しており、米国の規制緩和が欧州に与える影響への懸念が高まっています。
一方、トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略では、暗号資産への言及がゼロでした。AI(人工知能)・量子技術を重視する一方、「暗号資産大統領」を公言してきた経緯との整合性をめぐり議論が起きています。暗号資産推進を掲げるトランプ政権の優先順位が明確になりました。
暗号資産市場ではビットコインが一時9万ドル(約1,395万円)割れで3.4億ドル(約527億円)規模の大量清算が発生しました。クジラ(大口投資家)による協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2,000ドル(約31万円)の乱高下が見られました。FOMC(米連邦公開市場委員会)利下げ観測と円キャリートレード巻き戻しが市場を揺さぶっています。
フランスの大手銀行BPCE(ビーピーシーイー)が約200万人の顧客向けに暗号資産取引サービスを開始します。ビットコインなど4銘柄が銀行アプリで売買可能になり、欧州での銀行による暗号資産参入が加速しています。
本稿では、マクロン警鐘とトランプ戦略、FOMC控えBTC不安定、BPCE参入と韓国規制強化、XRP ETF動向、老舗メーカーDeFi戦略、その他重要動向について解説します。
マクロン仏大統領、米ステーブルコイン規制緩和に警鐘『金融不安定化リスク』──トランプ国家安全保障戦略は暗号資産言及ゼロ、欧米対立鮮明
フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が米国のステーブルコイン規制緩和について警告を発し、金融不安定化のリスクを指摘しました。欧州中央銀行(ECB)に金融政策の見直しを求め、欧州の金融主権維持を主張しています。一方、トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略では、暗号資産への言及がゼロで、AI・量子技術を優先する方針が鮮明になりました。欧米の暗号資産政策における対立が浮き彫りになっています。
マクロン警鐘とトランプ戦略の意義は以下の通りです。第一に、マクロン大統領の警告内容です。マクロン大統領は、米国がステーブルコイン規制を緩和することで、金融システムの不安定化を招く可能性があると警告しました。具体的には、(1)ドル建てステーブルコインの急拡大により、欧州の金融主権が脅かされる、(2)規制が不十分なステーブルコインが金融危機を引き起こす可能性がある、(3)米国主導のステーブルコイン市場が欧州の金融政策の有効性を低下させる、という3つのリスクを指摘しています。
第二に、ステーブルコイン市場の急拡大です。ステーブルコイン市場は3,000億ドル(約46兆5,000億円)超に急拡大しており、その大半が米ドル建てです。テザー(Tether)のUSDT(約1,400億ドル、約21兆7,000億円)、サークル(Circle)のUSDC(約420億ドル、約6兆5,100億円)など、米国企業が市場を支配しています。欧州では、ユーロ建てステーブルコインの普及が遅れており、金融主権への懸念が高まっています。
第三に、欧州の対応策です。マクロン大統領は、欧州中央銀行(ECB)に金融政策の見直しを求め、デジタルユーロの開発加速や欧州独自のステーブルコイン規制枠組みの整備を主張しています。欧州はMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制を施行し、ステーブルコイン発行者に厳格な要件を課していますが、米国の規制緩和により競争力で劣る可能性があります。
第四に、トランプ国家安全保障戦略の内容です。トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略では、暗号資産への言及がゼロでした。AI(人工知能)・量子技術を重視する一方、「暗号資産大統領」を公言してきた経緯との整合性をめぐり議論が起きています。国家安全保障戦略は、政権の優先事項を示す重要文書であり、暗号資産が含まれなかったことは、暗号資産が国家安全保障上の優先事項ではないことを示唆しています。
第五に、トランプ政権の暗号資産政策との矛盾です。トランプ大統領は「暗号資産大統領」を自称し、選挙期間中に暗号資産業界から2,600万ドル(約40億円)超を集めました。規制緩和、税制改革、機関投資家参入促進など、多面的な施策を進めています。しかし、国家安全保障戦略で言及されなかったことは、暗号資産推進が経済政策の一環であり、安全保障上の優先事項ではないことを意味します。AIや量子技術は、中国との技術覇権競争において重要であり、優先順位が高いとされています。
第六に、欧米の対立構図です。マクロン大統領の警告とトランプ政権の国家安全保障戦略は、欧米の暗号資産政策における対立を浮き彫りにしています。米国は規制緩和により、ステーブルコイン市場の拡大とイノベーション促進を図っています。一方、欧州は金融安定性と金融主権の維持を優先し、厳格な規制を維持しています。この対立は、今後の国際的な暗号資産規制協調に影響を与える可能性があります。
FOMC控えBTC不安定、大口協調売り3.4億ドル清算──ハッシュリボン反転で底打ちサインも、円キャリー巻き戻しが焦点
暗号資産市場ではビットコインが一時9万ドル(約1,395万円)割れで3.4億ドル(約527億円)規模の大量清算が発生しました。クジラ(大口投資家)による協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2,000ドル(約31万円)の乱高下が見られました。一方でマイナー降伏を示すハッシュリボン反転で底打ちサインも点灯しています。FOMC利下げ観測と円キャリートレード巻き戻しが市場を揺さぶっています。
FOMC控えBTC不安定の状況は以下の通りです。第一に、9万ドル割れと大量清算です。ビットコインは12月8日早朝に一時8万8,000ドル(約1,364万円)を割り込み、3.4億ドル(約527億円)規模の大量清算が発生しました。レバレッジ取引のロング(買い)ポジションが強制決済され、下落が加速しました。週末の薄い板で、大口投資家が売却すると価格が急落しやすい環境でした。
第二に、クジラによる協調売りの可能性です。オンチェーンデータによると、週末に複数の大口アドレスが同時にビットコインを売却した形跡があります。協調売りの可能性が浮上しており、意図的に価格を押し下げて買い戻す戦略が取られた可能性があります。週末の2,000ドル(約31万円)の乱高下は、クジラの売買が主導したとの見方が強まっています。
第三に、ハッシュリボン反転による底打ちサインです。一方で、マイナー降伏を示すハッシュリボン指標が反転し、底打ちサインが点灯しています。ハッシュリボンは、ビットコインのハッシュレート(採掘速度)の移動平均線を用いた指標で、マイナーが降伏(採掘を停止)した後に反転すると、価格の底打ちを示す傾向があります。過去の事例では、ハッシュリボン反転後に価格が上昇するケースが多く、今回も底打ちの可能性が指摘されています。
第四に、FOMC利下げ観測です。12月17-18日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.25%の利下げが実施される可能性が高まっています。市場は利下げを織り込み始めていますが、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の利下げペースや経済見通しに注目が集まっています。利下げが実施されれば、リスク資産であるビットコインにとって追い風となります。一方、利下げ見送りやタカ派的な発言があれば、ビットコインは売られる可能性があります。
第五に、円キャリートレード巻き戻しのリスクです。日本銀行(日銀)の追加利上げ観測が高まっており、円キャリートレード(低金利の円で資金調達し、高利回り資産に投資する戦略)の巻き戻しが懸念されています。日銀が12月19日の金融政策決定会合で利上げを実施すれば、円キャリートレードの巻き戻しが発生し、リスク資産であるビットコインが売られる可能性があります。逆に、利上げ見送りとなれば、円キャリートレードが継続し、ビットコインへの資金流入が続きます。
第六に、Glassnode(グラスノード)とK33リサーチの分析です。Glassnodeの最新の週次レポートは、現在の市場状況が2022年の弱気相場の初期段階と類似していると指摘しています。一方、K33リサーチのアナリストは、ビットコインの最近の下落は不吉に感じられるかもしれないが、急激な調整が12月の反発の舞台を整えると分析しています。アナリスト間でも見方が分かれており、市場は重要な転換点にあります。
フランスBPCE銀行200万人向け暗号資産取引開始──韓国はアップビット事件受け無過失損害賠償責任導入、銀行参入と規制強化の両面
フランスの大手銀行BPCE(ビーピーシーイー)が約200万人の顧客向けに暗号資産取引サービスを開始します。ビットコイン、イーサリアム、ソラナ、USDCの4銘柄が銀行アプリで売買可能になります。欧州での銀行による暗号資産参入が加速しています。一方、韓国金融当局は、アップビット(Upbit)の445億ウォン(約50億円)不正アクセス事件を受け、取引所に無過失損害賠償責任を導入する方針を発表しました。銀行参入と規制強化という両面の動きが見られます。
BPCE参入と韓国規制強化の意義は以下の通りです。第一に、BPCE銀行の暗号資産サービス内容です。BPCEは、数百万人の顧客が銀行アプリ内でBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、SOL(ソラナ)、USDC(米ドル連動ステーブルコイン)を直接売買できるようにします。顧客は、既存の銀行口座から資金を移動し、暗号資産を購入できます。銀行アプリ内で完結するため、利便性が高く、暗号資産取引の敷居が下がります。
第二に、欧州銀行の暗号資産参入加速です。BPCEは、フランス第2位の銀行グループで、約200万人の顧客を抱えています。同行の参入により、欧州での銀行による暗号資産サービス提供が加速します。欧州では、MiCA(Markets in Crypto-Assets)規制が施行され、銀行が暗号資産サービスを提供しやすい環境が整備されています。スイスのUBS、ドイツのコメルツ銀行なども暗号資産サービスに参入しており、欧州銀行の動きが活発化しています。
第三に、韓国の無過失損害賠償責任導入です。韓国金融当局は、アップビット(Upbit)の445億ウォン(約50億円)不正アクセス事件を受け、暗号資産取引所に無過失損害賠償責任を導入する方針を発表しました。無過失損害賠償責任とは、取引所に過失がなくても、ハッキングや不正アクセスにより顧客が損失を被った場合、取引所が賠償する責任を負うという制度です。
第四に、2段階立法による規制強化です。韓国は2段階立法で規制強化を進めます。第1段階では、無過失損害賠償責任の導入、課徴金の引き上げ(売上高3%まで)、取引所の財務健全性要件の強化などを実施します。第2段階では、さらに厳格な規制を導入する予定です。アップビット事件が規制強化の契機となりました。
第五に、銀行参入と規制強化の両面性です。欧州では銀行参入が加速する一方、韓国では規制強化が進むという対照的な動きが見られます。欧州は、規制枠組みを整備した上で、銀行参入を促進し、暗号資産市場の健全な発展を目指しています。一方、韓国は、ハッキング事件を受けて、投資家保護を最優先し、規制を強化しています。地域によって暗号資産政策のアプローチが異なることが鮮明です。
XRP現物ETF、運用資産10億ドルに迫る──13日連続流入継続、暗号資産ETF史上最長記録更新中
金融データプラットフォーム「SoSoValue(ソソバリュー)」が公開した12月5日時点のデータによると、米国で上場されている主要なXRP現物ETFの総純資産残高は8億6,132万ドル(約1,335億円)に達し、市場の節目となる10億ドル(約1,550億円)に迫る勢いです。XRP ETFは13日連続流入を継続しており、暗号資産ETF史上最長記録を更新中です。
XRP ETF動向の分析は以下の通りです。第一に、10億ドル目前の状況です。XRP ETFの総純資産残高は8億6,132万ドル(約1,335億円)に達し、10億ドルの節目に迫っています。11月14日の上場以来、わずか3週間でこの規模に達しており、市場の関心の高さを示しています。ビットコインETFが10億ドルに到達するのに数カ月かかったことを考えると、XRP ETFの成長ペースは異例です。
第二に、13日連続流入の記録です。XRP ETFは上場後13営業日連続で純流入を記録し、暗号資産ETF史上最長記録を更新しています。ビットコインETFでさえ、上場後に数日の流出を経験していますが、XRP ETFは一度も流出していません。この記録は、XRPへの投資家需要の強さを証明しています。
第三に、価格との乖離です。ただし、XRP現物ETFが好調にもかかわらず、XRP価格は約20%下落し、2ドル(約310円)付近で推移しています。ETFへの流入が価格上昇につながらないという現象は、機関投資家や大口保有者による売却が影響していると考えられます。ETFで買われる一方、現物市場で売られるという需給の歪みが生じています。
第四に、保有層の変化です。ETFの登場により、機関投資家や個人投資家がXRPに投資しやすくなりました。従来、XRPは暗号資産取引所でしか購入できませんでしたが、ETFにより証券口座で購入可能になりました。この変化により、保守的な投資家層もXRPに投資しやすくなり、保有層が多様化しています。
第五に、リップル社の動向です。リップル(Ripple)社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、バイナンス・ブロックチェーン・ウィークで、ビットコインは2026年に18万ドル(約2,790万円)に達すると予測しました。暗号資産市場全体への強気姿勢を示しています。リップル社はシンガポール金融管理局から主要決済機関ライセンスの拡大承認を取得し、XRPとRLUSDを活用した決済サービスを強化しています。
老舗トイレメーカーASAHI EITO、調達30億円DeFi全振り「トレジャリー戦略」の全貌──「ビットコインは買わない」ユニーク戦略
創業300年を超える歴史を持つ衛生陶器メーカーを中核とするASAHI EITOホールディングス(アサヒエイトホールディングス)が、暗号資産トレジャリー事業(DAT:Digital Asset Treasury)に参入しました。同社は11月に約30億円を調達し、その全額をDeFi(分散型金融)に投資する「DeFi全振り」戦略を発表しました。「ビットコインは買わない」という他社とは異なるユニークなアプローチです。
ASAHI EITOのDeFi全振り戦略の意義は以下の通りです。第一に、「ビットコインは買わない」方針です。多くのDAT企業がビットコインを購入する中、ASAHI EITOは「ビットコインは買わない」という方針を明確にしています。代わりに、DeFiプロトコルに資金を投資し、利回りを獲得する戦略を採用します。ステーブルコインを活用したレンディング、流動性提供、イールドファーミングなど、多様なDeFi戦略を組み合わせます。
第二に、30億円調達の詳細です。ASAHI EITOは、第三者割当増資により約30億円を調達しました。この資金の全額をDeFiに投資します。具体的な投資先や戦略は明らかにされていませんが、リスク管理を徹底しながら、高利回りを追求するとしています。創業300年の老舗企業が、最先端のDeFiに全額投資するという決断は異例です。
第三に、DeFi投資のメリットとリスクです。DeFi投資のメリットは、高利回りが期待できることです。ステーブルコインレンディングでは年利5-15%、流動性提供では年利10-30%の利回りが得られるケースもあります。一方、リスクも大きく、スマートコントラクトのバグ、ハッキング、プロトコルの破綻などにより資金を失う可能性があります。ASAHI EITOは、リスク管理を徹底するとしていますが、DeFi市場の変動性は高く、慎重な運用が求められます。
第四に、老舗企業の挑戦意義です。創業300年の老舗衛生陶器メーカーが、DeFiに全額投資するという決断は、日本企業の暗号資産戦略に新しい選択肢を提示します。メタプラネットやKLabがビットコイン・金を購入する戦略を採用する一方、ASAHI EITOはDeFiに特化した戦略を採用しました。今後、他の日本企業がどのような戦略を採用するか注目されます。
第五に、市場への影響です。ASAHI EITOの発表により、日本企業のDAT戦略が多様化する可能性があります。ビットコイン購入一辺倒だった市場に、DeFi投資という新しいアプローチが加わりました。今後、ビットコイン、金、DeFiなど、多様な戦略を採用する企業が増える可能性があります。
その他の重要動向──英国暗号資産法的定義、決済DePIN SyFu提携、ビットコインキャッシュ好調、ビットテンソル半減期、Anthropic AI攻撃実証
英国でデジタル資産を法的に定義する法案が国王の裁可を受け正式に成立しました。これによりビットコインやイーサリアムなどの暗号資産が、物理的な「モノ」や法的な「権利」とは異なる独立した財産カテゴリーとして英国法下で明確に位置づけられました。暗号資産の法的地位が明確になることで、所有権紛争の解決、相続、破産手続きなどにおいて、暗号資産の扱いが明確になります。市場に追い風となる可能性があります。
決済データ活用プロジェクトSyFu(シーフー)が、オープンバンキングプラットフォームFinverse(フィンバース)と提携しました。香港、シンガポールなどアジア5カ国の約40金融機関と接続し、日常の支払いデータをトークンやNFTに変換できる仕組みを構築します。欧州とアジアで世界規模のネットワークを確立し、決済データDePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)の普及を目指します。
ビットコインキャッシュ(BCH)が年初来で約40%上昇し、年内「最も好調な」レイヤー1になりました。クリーンな供給構造と投資家需要の再燃を追い風に、2025年に主要レイヤー1をすべて上回るパフォーマンスを記録しています。ビットコイン、イーサリアム、ソラナなど主要銘柄が調整する中、ビットコインキャッシュの堅調な推移が注目されています。
ビットテンソル(Bittensor)初のトークン半減期が12月14日に予定されています。AI特化型ネットワークがビットコイン型の固定供給モデルを採用する中、TAOの発行量が半減します。ビットテンソル初の4年サイクルで、ネットワーク成熟の節目となります。半減期後の価格動向に注目が集まっています。
Anthropic(アンソロピック)社が、AIによるスマートコントラクト攻撃を実証しました。2025年12月1日、Claude OpusなどのAIモデルを開発するAnthropic社は、AIエージェントを用いたスマートコントラクトの脆弱性検出能力に関する報告を発表しました。460万ドル(約713億円)相当の脆弱性を発見し、ゼロデイ攻撃(未知の脆弱性を狙った攻撃)の自動化が可能であることを実証しました。AIがハッカーツールとして悪用される可能性が示され、セキュリティ対策の重要性が高まっています。
ウィズダムツリー(WisdomTree)が、オプション収益戦略をオンチェーン化し、新たなトークン化ファンドを投入しました。資産運用会社のEPXCファンドは、現金担保付きプット売り戦略をトークン化しており、伝統的市場商品とブロックチェーンのより深い統合を示しています。トークン化ファンドの多様化が進んでいます。
ソラナ(Solana)DEX(分散型取引所)「ジュピター(Jupiter)」が「伝染リスクゼロ」と主張したことについて、競合Kamino(カミノ)などが再担保の実施を指摘し批判しました。ソラナ財団プレジデントは両者に協力を呼びかけています。ソラナエコシステム内の論争が表面化しています。
トランプ大統領支援者アンディ・ビール(Andy Beal)氏所有のモネ銀行(Monet Bank)が暗号資産特化型金融サービスに参入します。トランプ政権下での規制緩和により、エレボール銀行(Elevault Bank)やN3XTなど暗号資産対応銀行が相次いで誕生する中、資産60億ドル(約9,300億円)の小規模地域銀行がデジタル資産の保管・融資を提供開始します。
JPYC株式会社がアライドアーキテクツ株式会社(Allied Architects)と連携を開始しました。JPYC社が提供する円建ステーブルコイン「JPYC」とアライドアーキテクツのマーケティングソリューションを組み合わせ、新しい顧客体験の実現を目指します。
米家計のリボルビング信用(リボ払い)残高が増加しており、「リボ地獄」がビットコインに影響を与える可能性が指摘されています。FRBの報告によれば、クレジットカードを含むリボルビング信用の残高が増加しており、家計の資金繰りが悪化しています。投資資金の枯渇により、暗号資産市場への資金流入が減少する恐れがあります。
FRBが12月1日に135億ドル(約2兆950億円)の資金供給を実施しました。翌日物レポ市場における資金供給は、金融システム内のドル流動性と、現代の暗号資産市場との密接な関係性を浮き彫りにする重要なシグナルとなっています。流動性供給がビットコイン価格に与える影響が注目されています。
おわりに
2025年12月8日は、フランスのマクロン大統領が米国のステーブルコイン規制緩和に警鐘を鳴らし、欧米の暗号資産政策における対立が鮮明になった重要な日となりました。ステーブルコイン市場が3,000億ドル超に急拡大する中、米国主導の市場拡大が欧州の金融主権を脅かすとの懸念が高まっています。マクロン大統領は欧州中央銀行に金融政策の見直しを求め、デジタルユーロの開発加速や欧州独自の規制枠組み整備を主張しています。一方、トランプ政権の国家安全保障戦略では暗号資産への言及がゼロで、AI・量子技術を優先する方針が明確になりました。暗号資産推進を掲げるトランプ政権においても、国家安全保障上の優先順位は低いことが示されました。
FOMC控えビットコインは不安定な展開が続き、大口投資家による協調売りの可能性が浮上しています。9万ドル割れで3.4億ドル規模の大量清算が発生し、週末の薄い板で2,000ドルの乱高下が見られました。一方で、ハッシュリボン反転により底打ちサインも点灯しており、市場は重要な転換点にあります。FOMC利下げ観測と円キャリートレード巻き戻しが市場を揺さぶる中、12月17-18日のFOMCと12月19日の日銀金融政策決定会合が焦点となります。
フランスBPCE銀行の200万人向け暗号資産取引開始は、欧州での銀行参入が加速していることを示しています。一方、韓国はアップビット事件を受けて無過失損害賠償責任を導入し、規制強化を進めています。銀行参入と規制強化という両面の動きが見られ、地域によって暗号資産政策のアプローチが異なることが鮮明です。
XRP ETFが10億ドルに迫り、13日連続流入で暗号資産ETF史上最長記録を更新中です。わずか3週間でこの規模に達しており、市場の関心の高さを示しています。一方、価格は下落しており、ETF流入と価格の乖離が生じています。保有層の変化が進んでいます。
老舗トイレメーカーASAHI EITOの調達30億円DeFi全振り戦略は、日本企業のDAT戦略に新しい選択肢を提示しました。「ビットコインは買わない」というユニークなアプローチで、DeFiに特化した戦略を採用しています。今後、ビットコイン、金、DeFiなど、多様な戦略を採用する企業が増える可能性があります。
英国暗号資産法的定義、決済DePIN SyFu提携、ビットコインキャッシュ好調、ビットテンソル半減期、Anthropic AI攻撃実証、ウィズダムツリートークン化ファンド、ジュピター論争、モネ銀行参入、JPYC提携、米家計リボ地獄、FRB流動性供給など、多様な動きがありました。
マクロン警鐘とトランプ戦略、FOMC控えBTC不安定、BPCE参入と韓国規制強化、XRP ETF動向、ASAHI EITO DeFi戦略という5つの大きな流れが、暗号資産市場の構造変化を示しています。欧米の政策対立、市場の不安定性、銀行参入と規制の両立、ETF市場の成長、企業戦略の多様化という本質的な変化を冷静に見極め、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。
