バンガード5000万人顧客に暗号資産ETF解禁、バンカメ最大4%配分推奨で機関投資家参入加速。XRP ETF史上2番目8億ドル到達、BTC 9.2万ドル回復・ボリンジャーバンド史上最小。SEC イノベーション免除導入、ブラックロックCEOトークン化推進──【12月3日暗号資産市場まとめ】

2025年12月3日、世界第2位の資産運用会社バンガード(Vanguard)が暗号資産を主に保有するETFとミューチュアルファンドの取引を許可し、5000万人超の顧客にアクセスを提供しました。長年の保守的姿勢から転換し、暗号資産市場への巨大な資金流入が期待されます。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は、資産管理サービスの顧客に対しポートフォリオの最大4%を暗号資産などのデジタル資産に配分するように推奨していることがわかりました。ビットコイン現物ETFも投資対象にする計画で、1万5,000人超のウェルスアドバイザーが初めて暗号資産への投資を推奨できるようになります。

XRP現物ETFが上場13日で8億ドル(約1,240億円)超の流入を達成し、ビットコインETFに次ぐ史上2番目の速さを記録しました。ソラナETFを大きく上回るペースで、アナリストは最大1兆円超の市場規模を予測しています。

ビットコインは8万4,500ドル(約1,310万円)まで下落した後に9万2,000ドル(約1,426万円)台を回復し、強気派は10万ドルを再び視野に入れています。ボリンジャーバンド幅が史上最小を記録し、放物線的上昇の前兆との見方があります。

本稿では、バンガードETF解禁、バンカメ配分推奨、XRP ETF快進撃、BTC反発、SEC イノベーション免除、ブラックロックトークン化推進、その他重要動向について解説します。

目次

バンガード5000万人超顧客に暗号資産ETF解禁、9.3兆ドル運用資産から流入期待──保守的姿勢から大転換

世界第2位の資産運用会社バンガード(Vanguard)が12月3日から暗号資産を主に保有するETFとミューチュアルファンドの取引を許可しました。遂に長年の保守的姿勢から転換し、5000万人超の顧客にアクセスを提供します。運用資産額9.3兆ドル(約1,441兆円)を誇る同社の参入により、暗号資産市場への巨大な資金流入が期待されます。

バンガードETF解禁の意義は以下の通りです。第一に、保守的姿勢からの歴史的転換です。バンガードは創業者ジョン・ボーグル氏の哲学を受け継ぎ、低コストのインデックスファンドを提供する保守的な運用会社として知られていました。暗号資産に対しては否定的な姿勢を貫き、ビットコインETFが次々と承認される中でも参入を拒否していました。2024年5月には「投機的で不安定」として暗号資産ETFを顧客に提供しない方針を表明していました。今回の方針転換は、暗号資産市場の成熟と顧客需要の高まりを反映しています。

第二に、5000万人超の顧客基盤です。バンガードは世界で約9.3兆ドルの運用資産を持ち、5000万人超の個人投資家を抱えています。これらの顧客が暗号資産ETFにアクセスできるようになれば、市場への資金流入が大幅に増加します。特に、退職金口座(401k、IRA)での購入が可能になることは、長期投資家の参入を促します。退職金口座は長期保有を前提としており、短期的な価格変動に左右されずに保有し続けるため、市場の安定化に寄与します。

第三に、ブラックロックへの対抗です。世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は、ビットコインETF「IBIT」で大成功を収めています。IBITは運用資産額500億ドル(約7兆7,500億円)を突破し、ETF史上最速の成長を記録しました。バンガードはこれまで暗号資産に消極的でしたが、競合が市場シェアを拡大する中、取り残されるリスクを認識したと考えられます。12月3日からの取引開始は、ブラックロックへの対抗策です。

第四に、取り扱い対象の拡大です。バンガードはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)の現物ETFを取り扱います。ビットコインだけでなく、アルトコインETFも含まれることで、投資家の選択肢が広がります。特にXRPとSOLのETFは最近上場したばかりで、バンガードの参入により流動性が高まります。

第五に、暗号資産の主流化です。バンガードのような保守的な運用会社が暗号資産ETFを解禁することは、暗号資産が投機的資産から主流の投資対象へと移行していることを示しています。機関投資家、年金基金、個人投資家すべてが暗号資産をポートフォリオに組み込む時代が到来しています。

第六に、市場への影響です。バンガードの解禁により、ビットコインETFへの資金流入が加速する可能性があります。11月は約35億ドル(約5,425億円)の純流出となりましたが、12月は流入に転じる可能性があります。バンガードの顧客は長期投資家が多く、短期的な価格変動に左右されずに保有し続けるため、市場の安定化に寄与します。

バンク・オブ・アメリカ、最大4%暗号資産配分推奨──1.5万人ウェルスアドバイザーが投資推奨可能に

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は、資産管理サービスの顧客に対しポートフォリオの最大4%を暗号資産などのデジタル資産に配分するように推奨していることがわかりました。ビットコイン現物ETFも投資対象にする計画で、1万5,000人超のウェルスアドバイザーが初めて暗号資産への投資を推奨できるようになります。

バンカメ推奨の意義は以下の通りです。第一に、ポートフォリオの1-4%配分です。バンカメは富裕層顧客に対し、ポートフォリオの1%から最大4%を暗号資産に配分するように推奨しています。従来、大手金融機関は暗号資産への投資を推奨していませんでしたが、市場の成熟とETFの登場により、姿勢を転換しました。4%という配分比率は、リスク資産としては適度な水準です。

第二に、1万5,000人超のウェルスアドバイザーです。バンカメは全米に1万5,000人超のウェルスアドバイザーを抱えており、富裕層の資産運用を支援しています。これらのアドバイザーが暗号資産への投資を推奨できるようになることで、富裕層の資金が暗号資産市場に流入します。富裕層は投資額が大きく、市場への影響は甚大です。

第三に、ビットコインETFへのアクセスです。バンカメの富裕層顧客がビットコインETFへアクセス可能となり、直接取引所で購入する必要がなくなります。ETFは証券口座で取引でき、カストディリスクがなく、税務処理も簡単です。富裕層にとって、ETFは最も便利な投資手段です。

第四に、機関投資家の姿勢変化です。バンカメは米国最大級の金融機関であり、同社が暗号資産への投資を推奨することは、ウォール街全体の姿勢変化を示しています。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、JPモルガン(JPMorgan)なども暗号資産事業を拡大しており、大手金融機関が競って参入しています。

第五に、市場への影響です。バンカメの推奨により、富裕層の資金が暗号資産市場に流入すれば、価格上昇の原動力となります。特に、ビットコインETFへの流入が加速する可能性があります。

XRP ETF史上2番目の速さで8億ドル到達、13取引日でBTC超えペース──最大1兆円市場規模予測

XRP現物ETFが上場13日で8億ドル(約1,240億円)超の流入を達成し、ビットコインETFに次ぐ史上2番目の速さを記録しました。ソラナETFを大きく上回るペースで、アナリストは最大1兆円超の市場規模を予測しています。

XRP ETF快進撃の意義は以下の通りです。第一に、史上2番目の速さです。XRP ETFは11月13日に上場し、13取引日で8億ドル超の流入を達成しました。ビットコインETFは上場初日に10億ドル(約1,550億円)超の流入を記録し、史上最速でしたが、XRPは2番目の速さです。ソラナETFは上場後数日で数千万ドルの流入にとどまっており、XRPの人気が際立っています。

第二に、リップル社の決済ネットワークへの期待です。XRPはリップル(Ripple)社が開発する国際送金ネットワークで使用される暗号資産です。従来の国際送金システムSWIFTと比べて、高速・低コストで送金できるため、金融機関からの需要が高まっています。リップル社はシンガポール金融管理局から主要決済機関ライセンスの拡大承認を取得し、XRPとRLUSDを活用した決済サービスを強化しています。

第三に、SEC訴訟の解決見通しです。リップル社は米SEC(証券取引委員会)から訴訟を受けていましたが、2024年8月に一部勝訴し、XRPは証券ではないとの判断が下されました。訴訟リスクが低減したことで、機関投資家が安心して投資できるようになりました。

第四に、最大1兆円市場規模予測です。アナリストは、XRP ETFが最終的に1兆円(約65億ドル)超の市場規模に達すると予測しています。現在の8億ドルから8倍以上の成長余地があります。

第五に、価格への影響です。ただし、XRP現物ETFが好調にもかかわらず、XRP価格は約20%下落し2ドル(約310円)付近で推移しています。この現象は機関投資家や大口保有者による売却が原因と考えられます。ETFへの流入が価格上昇につながるかどうかは、今後の動向次第です。

ビットコイン9.2万ドル回復、V字反発鮮明──ボリンジャーバンド幅史上最小、放物線的上昇の前兆か

ビットコインは8万4,500ドル(約1,310万円)まで下落した後に9万2,000ドル(約1,426万円)台を回復し、仮想通貨アナリストの間で再び強気な見方が広がっています。ボリンジャーバンド幅が史上最小を記録し、放物線的上昇の前兆との見方があります。ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、XRPは12%急騰しました。

ビットコイン反発の背景は以下の通りです。第一に、V字回復です。ビットコインは12月1日に8万4,000ドルまで急落しましたが、わずか2日間で9万2,000ドルまで回復しました。約8,000ドル(約124万円)、9.5%の反発です。4時間足チャートで「ゴールデンクロス」が点灯し、目線は上方向への回復にシフトしました。

第二に、ボリンジャーバンド幅史上最小です。ビットコインは、古典的なボラティリティ指標であるボリンジャーバンドの幅が史上最小値を記録する中、放物線的な上昇に向かっている可能性があります。ボリンジャーバンド幅が縮小すると、その後大きな値動きが発生する傾向があります。2023年後半にも同様のシグナルが出現し、その後ビットコインは大きく上昇しました。

第三に、清算の巻き戻しです。12月1日の急落で約6億4,600万ドル(約1,001億円)のレバレッジポジションが清算されましたが、反発により約5億ドル(約775億円)のショート(売り)ポジションも清算されました。ショートカバーが反発を加速させました。

第四に、9万3,000ドルからのブレイクアウト可能性です。ビットコインは8万ドルから8万3,000ドルのサポートゾーンから力強く反発し、11月28日のスイングハイである9万3,100ドル付近で取引されています。ここを上抜ければ、10万ドルへの道が開けます。テクニカル分析では、9万4,000ドル突破が鍵とされています。

第五に、グレースケールの見解です。グレースケール(Grayscale)は、2025年のビットコインの下落は新たなサイクル頂点ではなく局所的な底に近いと指摘し、2026年のカギは米連邦準備制度の政策と米国の暗号資産関連法案だとしました。ビットコインは四年サイクルを終え、2026年に史上最高値を更新する可能性があるとしています。

SEC アトキンス委員長「イノベーション免除」導入表明、議会立法なしでも規制前進可能──資金調達環境改善重視

米SEC(証券取引委員会)のポール・アトキンス委員長が暗号資産セクター向けの「イノベーション免除」導入を表明しました。新たな法律を待たずにイノベーションを促進する方針で、2005年以降改革されていない開示規制の包括的見直しも発表しました。議会による新たな立法がなくとも、SECはデジタル資産規制を前進させることができると述べ、2026年に向けた業界への見通しを示しました。

アトキンス委員長の方針は以下の通りです。第一に、イノベーション免除の導入です。イノベーション免除とは、新興企業が証券法の一部規制を免除される制度です。従来、暗号資産企業は証券法の厳格な規制により、資金調達や事業展開が困難でした。イノベーション免除により、一定の条件を満たせば、登録免除で資金調達できるようになります。

第二に、議会立法を待たない姿勢です。従来、暗号資産規制には議会による新たな立法が必要とされていましたが、アトキンス委員長は、SECの既存権限で規制を前進させることができると述べました。これにより、立法の遅延を待たずに、迅速に規制整備が進む可能性があります。

第三に、開示規制の包括的見直しです。2005年以降改革されていない開示規制を包括的に見直すとしています。現行の開示規制は、従来の金融商品を前提としており、暗号資産やトークンには適合しません。見直しにより、暗号資産企業が適切に情報開示できる環境が整います。

第四に、資金調達環境の改善です。アトキンス委員長は、資金調達環境の改善を重視しています。暗号資産スタートアップは、厳格な規制により、米国での資金調達が困難でした。イノベーション免除により、適切な投資家保護を維持しながら、資金調達が容易になります。

第五に、ゲンスラー前委員長との対比です。ゲンスラー前SEC委員長はブルームバーグのインタビューで、ビットコインを除くすべての暗号資産を「極めて投機的」と評価し、退任後も投資家保護の重要性を強調しました。規制の観点からビットコインのみをコモディティとして区別する姿勢を維持しています。これに対し、アトキンス委員長は、イノベーション促進と投資家保護のバランスを重視しています。

ブラックロック フィンクCEO「トークン化が伝統金融と暗号資産の橋渡し」──規制整備提言、RWA市場拡大

ブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンクCEOとロブ・ゴールドスティーンCOOが、トークン化が暗号資産業界と伝統的金融をつなぐ「橋」になると主張し、同分野へのコミットメントを一層強めています。かつて暗号資産懐疑派だったフィンクCEOが、現実資産(RWA)トークン化の可能性を様々な観点から解説しました。トークン化の2つの大きな利点や規制当局の役割などにも言及しています。

ブラックロックのトークン化推進の意義は以下の通りです。第一に、フィンクCEOの姿勢転換です。フィンクCEOは2017年にビットコインを「マネーロンダリングの指標」と批判していましたが、現在は暗号資産とトークン化を積極的に推進しています。2024年1月にビットコイン現物ETF「IBIT」を上場し、大成功を収めました。IBITは運用資産額500億ドル(約7兆7,500億円)を突破し、ETF史上最速の成長を記録しました。

第二に、トークン化の2つの利点です。フィンクCEOは、トークン化には2つの大きな利点があるとしています。一つは、取引の効率化です。株式、債券、不動産などの資産をトークン化すれば、24時間365日取引可能になり、決済も即座に完了します。従来の金融システムでは、決済に数日かかることがありましたが、トークン化により即時決済が可能になります。もう一つは、少額投資の実現です。不動産や美術品などの高額資産をトークン化すれば、小口に分割して販売できます。個人投資家でも、1,000円から投資できるようになります。

第三に、RWA市場の拡大です。RWA(現実資産)トークン化市場は急速に拡大しています。ブラックロックは「BUIDL」というトークン化ファンドを運用しており、米国債をトークン化して提供しています。BUIDLは運用資産額10億ドル(約1,550億円)を突破し、最大のトークン化ファンドとなっています。RWA市場は2028年に2兆ドル(約310兆円)規模へ成長すると見込まれています。

第四に、規制整備の提言です。フィンクCEOは、規制当局がトークン化市場の整備に重要な役割を果たすべきだと提言しています。適切な規制整備により、投資家保護と市場の健全性が確保されます。

クラーケンがBacked買収、トークン化株式xStocks半年で100億ドル突破──RWA市場2028年2兆ドル見込み

暗号資産取引所クラーケン(Kraken)がスイスのBacked Finance買収を発表しました。トークン化株式サービス「xStocks」は半年で取引高100億ドル(約1兆5,500億円)を突破しています。RWA市場は2028年に2兆ドル(約310兆円)規模へ成長見込みです。

クラーケン買収の意義は以下の通りです。第一に、トークン化株式への参入です。Backed Financeは、米国株をトークン化して取引できるサービスを提供しています。クラーケンはこの買収により、暗号資産だけでなく、トークン化株式も取り扱うことになります。投資家は、暗号資産と米国株を同じプラットフォームで取引できます。

第二に、xStocksの急成長です。トークン化株式サービス「xStocks」は、2025年前半にローンチされ、わずか半年で取引高100億ドルを突破しました。テスラ、アップル、エヌビディアなどの人気株をトークン化して提供しており、暗号資産投資家からの需要が高まっています。

第三に、24時間365日取引です。従来、米国株は平日の取引時間に限定されていましたが、トークン化により24時間365日取引可能になります。日本の投資家も、時差を気にせずに米国株を取引できます。

第四に、RWA市場の成長見込みです。RWA市場は2028年に2兆ドル規模へ成長すると見込まれています。株式だけでなく、債券、不動産、美術品など、あらゆる資産がトークン化されます。クラーケンは、この成長市場を取り込むために、早期参入しました。

欧州10銀行がユーロステーブルコイン発行へ、2026年後半開始予定──BNPパリバ・ING参加、キバリス設立

ING(アイエヌジー)やBNPパリバ(ビーエヌピー・パリバ)など欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行を計画中です。新会社キバリス(Kybaris)を設立し2026年後半の発行を目指します。10行が設立した組織は、2026年後半のステーブルコイン発行に向け、オランダ中央銀行からの規制承認取得を進めています。

欧州ステーブルコインの意義は以下の通りです。第一に、ユーロ圏初の銀行連合ステーブルコインです。欧州では、米ドルステーブルコインUSDTやUSDCが広く使われていますが、ユーロ建てステーブルコインは普及していません。10銀行が連合してユーロステーブルコインを発行することで、ユーロ圏内での決済が便利になります。

第二に、規制準拠です。欧州連合(EU)は、2025年12月に施行される暗号資産市場規制(MiCA)により、ステーブルコイン発行者に厳格な規制を課します。10銀行は、MiCAに準拠したステーブルコインを発行するため、オランダ中央銀行からの規制承認取得を進めています。

第三に、銀行の信頼性です。テザー(Tether)やCircle(サークル)などの民間企業が発行するステーブルコインと異なり、銀行連合が発行するステーブルコインは、銀行の信頼性が裏付けになります。銀行は厳格な規制を受けており、破綻リスクが低いため、投資家の信頼を得やすいです。

第四に、2026年後半の発行予定です。2026年後半という発行時期は、MiCA施行後約1年半後です。規制承認取得と技術開発に必要な期間を考慮した現実的なスケジュールです。

バイナンス イー・ハー氏が共同CEO就任、リチャード・テン氏と二頭体制──暗号資産業界最も影響力のある女性

バイナンス(Binance)は共同創業者イー・ハー(Yi He)氏を共同CEOに任命し、リチャード・テン(Richard Teng)氏と並ぶ正式な経営トップへと引き上げました。元CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、CZ)氏と共同設立した実業家であるイー・ハー氏は、暗号資産業界で最も影響力のある女性とされています。

イー・ハー氏就任の意義は以下の通りです。第一に、共同CEO体制です。バイナンスは、リチャード・テン氏とイー・ハー氏の二頭体制となります。テン氏は2023年11月にCZ氏の後任としてCEOに就任し、規制対応とコンプライアンス強化を進めてきました。イー・ハー氏は、カスタマーサービスとコミュニティ構築を担当してきました。二頭体制により、それぞれの強みを活かして経営を進めます。

第二に、暗号資産業界で最も影響力のある女性です。イー・ハー氏は、2017年にCZ氏とバイナンスを共同設立しました。中国出身で、以前はテレビキャスターやモデルとして活動していました。暗号資産業界に参入後、急速に頭角を現し、現在は業界で最も影響力のある女性とされています。

第三に、バイナンスの成長戦略です。バイナンスは、世界最大の暗号資産取引所ですが、規制当局からの圧力に直面してきました。2023年11月にCZ氏が米司法省と和解し、43億ドル(約6,665億円)の罰金を支払いました。イー・ハー氏の共同CEO就任は、規制対応とコンプライアンス強化を進めながら、成長戦略を推進する意図があります。

その他の重要動向──カルシCNN提携、CME恐怖指数、チェーンリンクETF、イーロンX Money、野村J-Ships、JPYC拡大

米予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)がCNN(シーエヌエヌ)と提携し公式予測市場パートナーになりました。カルシのリアルタイムデータがCNN番組全体に統合され、政治的・文化的イベントの確率情報を報道に活用します。ソラナ上でのトークン化予測市場も開始しました。バイナンス傘下Trust Wallet(トラスト・ウォレット)も、予測市場にアクセスできる機能をローンチしました。

米CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPを対象とした暗号資産ベンチマーク指数を導入しました。ビットコインのボラティリティを追跡する指数は株式市場のVIX(恐怖指数)に相当し、機関投資家のリスク管理ツールとなります。

暗号資産チェーンリンク(LINK)の初の現物ETFが12月3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始しました。グレースケールがGLNKとして上場し運用資産は1,700万ドル(約26億円)超となっています。

イーロン・マスク(Elon Musk)氏のX Money(エックス・マネー)が決済プラットフォームの技術責任者を募集しています。ソラナ(Solana)が協力を表明し、暗号資産統合の可能性に注目が集まります。WeChat(ウィーチャット)型スーパーアプリ実現への動きです。

野村ホールディングス(HD)、野村アセットマネジメント、野村信託銀行、BOOSTRYの4社は、国内ベンチャーキャピタル(VC)ファンドを出資対象とするセキュリティ・トークンの発行手続きを完了しました。国内初「J-Ships」活用のVCファンド型セキュリティ・トークンで、約80億円規模です。三井物産デジタルアセットマネジメント(AM)も、不動産セキュリティ・トークン(ST)を早期償還し、想定上回る年率5.0%で着地しました。

HashPort Wallet(ハッシュポート・ウォレット)は、PontaポイントをBase上のUSDCやcbBTCに交換できる「オンランプ」機能と、暗号資産をau PAYギフトカードに変換する「オフランプ」機能を開始しました。日本円ステーブルコインJPYCの保有アドレスは、1週間で2.4万増加し、8万8,288に到達しました。11月27日時点の6万4,089アドレスと比較して、急速に拡大しています。

次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長にケビン・ハセット(Kevin Hassett)氏が就任するとの予測が急上昇しています。トランプ大統領がホワイトハウスのイベントでそれとなく示唆したことが背景にあります。ハセット氏は暗号資産フレンドリーとされています。一方、投資家ケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)氏は、12月のFRB利下げはないとし、ビットコインには影響しないと述べています。

暗号資産SUI(スイ)が12月3日に1.76ドル(約273円)まで急騰し、24時間で30%の上昇を記録しました。市場拡大が背景とされています。ビットマイン(BitMine)が市場下落局面でも3日間に110億円(7,000万ドル)相当のイーサリアムを追加購入しました。同社は約373万ETHを保有し総供給量5%保有の目標に向け62%まで進捗しています。

ビットコインマイニング企業は収益性悪化で採算が取れず、危機に直面しています。11月に発生したビットコイン価格の急激な調整により、マイニングによる収益性が大幅に悪化しました。JPモルガン(JPMorgan)が12月1日に発表したレポートによると、ビットコインマイニングの収益性は11月に4カ月連続で低下しました。トランプ関連マイニング株も、一時半値の大暴落となりました。ロックアップ解除で売り殺到しました。

デジタル資産トレジャリー(DAT)企業の株価が反発を主導しており、月初の大規模なレバレッジ解消後のマーケット回復の波に乗って上昇しています。ストラテジー(Strategy)株も、12月1日の安値から約20%上昇しました。弱気派の態度が少なくとも一時的な底を示唆しています。ストラテジーCEOは「米ドル準備金でビットコイン売却回避」と配当戦略を語りました。米ドル準備金で当面の配当資金を確保し、ビットコイン売却を回避します。レンディング参入の可能性も示唆しました。

暗号資産市場において、未決済建玉と取引所全体の活動が拡大し、レバレッジ依存の強い相場環境となっています。この影響で、1日あたりの先物清算額が前回サイクルのほぼ3倍に増加しています。

台湾初のステーブルコインが2026年に発行へとなりますが、連動する通貨は未確定です。金融監督当局はトークンが連動する通貨をまだ決定していません。

【おわりに】

2025年12月3日は、バンガードの暗号資産ETF解禁とバンク・オブ・アメリカの最大4%配分推奨という、機関投資家の参入を象徴する二つの歴史的なニュースが報じられ、暗号資産市場の主流化が一層進んだ一日でした。バンガードの9.3兆ドル運用資産と5000万人超の顧客基盤、バンカメの1万5,000人超のウェルスアドバイザーが暗号資産への投資を推奨できるようになることで、富裕層や退職金口座からの巨大な資金流入が期待されます。保守的な金融機関が次々と参入する状況は、暗号資産が投機的資産から主流の投資対象へと完全に移行したことを示しています。

XRP ETFが史上2番目の速さで8億ドルに到達したことは、アルトコインETF市場の可能性を証明しました。ビットコインだけでなく、イーサリアム、ソラナ、XRPなど、多様な暗号資産がETF化され、投資家の選択肢が広がっています。リップル社の国際送金ネットワークへの期待、SEC訴訟の解決見通しが追い風となり、最大1兆円市場規模も視野に入っています。ただし、ETF流入にもかかわらず価格が下落している現象は、大口保有者の売却が影響していると考えられ、今後の動向に注目が必要です。

ビットコインの9万2,000ドル回復とボリンジャーバンド幅史上最小という二つのシグナルは、放物線的上昇の前兆を示唆しています。8万4,500ドルからのV字回復、ゴールデンクロスの点灯、9万3,000ドルからのブレイクアウト可能性など、テクニカル面でも強気材料が揃っています。グレースケールの「四年サイクル終了、2026年最高値更新」との見解も、長期的な強気相場を期待させます。

SEC アトキンス委員長のイノベーション免除導入表明は、ゲンスラー前委員長の厳格な規制姿勢からの大転換を象徴しています。議会立法を待たずに規制を前進させる方針、開示規制の包括的見直し、資金調達環境の改善重視という具体的な方針が示され、暗号資産企業の米国での事業展開が容易になります。

ブラックロック フィンクCEOのトークン化推進、クラーケンのBacked買収、欧州10銀行のユーロステーブルコイン発行計画など、RWA市場の拡大が鮮明になっています。2028年に2兆ドル規模への成長が見込まれ、株式、債券、不動産、美術品など、あらゆる資産がトークン化される時代が到来しています。バイナンス イー・ハー氏の共同CEO就任、カルシのCNN提携、CME恐怖指数導入、チェーンリンクETF上場、イーロンX Money開発、野村J-Ships、JPYC拡大など、多様な動きがありました。

機関投資家の参入加速、アルトコインETF市場の拡大、ビットコイン反発、規制環境の改善、トークン化の進展という5つの大きな流れが同時進行しています。短期的な価格変動に惑わされず、機関投資家の動向、規制整備の進展、RWA市場の成長という構造的変化を冷静に見極め、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。

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