2025年11月29日、日本企業による暗号資産運用が本格化しています。繊維メーカーの北紡(ホクボウ)が保有ビットコインをSBIデジタルファイナンスと連携してレンディング運用へ。大阪の住設機器メーカーASAHI EITOホールディングスがBITPOINT(ビットポイント)と提携し、イーサリアムとソラナでトレジャリー事業を開始。ステーキングや流動性提供も視野に入れています。
ビットメックス(BitMEX)共同創設者アーサー・ヘイズ氏が、ビットコインの年末25万ドル(約3,862万円)到達予測を堅持しました。先週の8万600ドル(約1,245万円)を底値とみており、米ドル流動性の底打ちと量的引き締め終了が上昇を牽引すると分析しています。
ブラックロック(BlackRock)が7~9月期に債券ファンドで自社ビットコインETF「IBIT」を買い増していたことが判明。9月末時点で1.5億ドル(約231億7,500万円)相当を保有しています。
本稿では、日本企業暗号資産運用、アーサー・ヘイズ予測、ブラックロックIBIT買い増し、テザー金保有、CME取引停止、その他の重要動向について解説します。
日本企業の暗号資産運用が本格化──北紡BTC レンディング、ASAHI EITO ETH/SOLトレジャリー開始
日本企業による暗号資産運用が本格化しています。繊維メーカーの北紡が保有ビットコインをSBIデジタルファイナンスと連携してレンディング運用へ。大阪の住設機器メーカーASAHI EITOホールディングスがBITPOINTと提携し、イーサリアムとソラナでトレジャリー事業を開始します。
北紡のビットコインレンディング運用の意義は以下の通りです。第一に、保有資産の有効活用です。北紡は石川県に本社を置く繊維メーカーで、既に一定量のビットコインを保有しています。これをSBIデジタルファイナンスに貸し出すことで、年間数%の利回りを獲得できます。売却せずに保有し続けながら、インカムゲインを得られる戦略です。
第二に、SBIグループとの連携です。SBIデジタルファイナンスは、SBIグループの暗号資産レンディング専門会社です。金融大手のノウハウと信頼性を活用し、リスク管理された環境で運用できます。カストディ(保管)、リスク管理、法令遵守など、専門性の高いサービスを受けられます。
第三に、製造業の新たな収益源です。繊維産業は成熟市場で、国内需要の伸びが限定的です。ビットコインレンディングという新たな収益源を確保することで、財務基盤を強化できます。本業以外の収益多様化戦略として注目されます。
第四に、期末時価評価課税への対応です。bitFlyerのアセットロックサービスと同様、レンディングも課税繰り延べの手段として活用できる可能性があります。税務面でのメリットも期待されます。
一方、ASAHI EITOホールディングスのETH/SOLトレジャリー事業の意義は以下の通りです。第一に、複数銘柄への分散投資です。ビットコインだけでなく、イーサリアムとソラナという主要アルトコインに投資します。ビットコインとは異なる成長性を持つ銘柄への分散により、リスク分散と収益最大化を図ります。
第二に、ステーキング運用です。イーサリアムとソラナは、Proof of Stake(PoS)コンセンサスメカニズムを採用しており、ステーキングで年間3~7%の利回りを獲得できます。保有するだけでなく、ネットワークのバリデーターとして参加し、報酬を得る積極戦略です。
第三に、流動性提供(LP)です。DeFi(分散型金融)プロトコルで流動性を提供し、取引手数料を獲得します。UniswapやCurveなどのDEX(分散型取引所)で、ETH/USDCやSOL/USDCのペアに流動性を提供し、LP報酬を得られます。
第四に、BITPOINTとの提携です。BITPOINTはSBIグループの暗号資産取引所で、企業向けサービスに強みがあります。カストディ、ステーキング代行、DeFi運用サポートなど、包括的なサービスを提供します。住設機器メーカーという本業とは全く異なる分野への進出ですが、専門家と連携することでリスクを管理しています。
第五に、東証スタンダード上場企業としての先進性です。ASAHI EITOホールディングスは東証スタンダード市場上場企業です。上場企業がETH/SOLでステーキングや流動性提供を行うのは極めて先進的で、日本企業の暗号資産活用が新たな段階に入ったことを示しています。
これら2社の動きは、日本企業の暗号資産運用が「保有」から「運用」へと進化していることを示しています。ビットコインを買って保有するだけでなく、レンディング、ステーキング、流動性提供など、多様な運用手法を駆使して収益を最大化する戦略が広がっています。メタプラネットのような専業DAT企業だけでなく、本業を持つ事業会社が暗号資産を財務戦略の一環として活用し始めたことは、市場の成熟を象徴しています。
アーサー・ヘイズ年末25万ドル予測堅持、8万600ドル底値想定──流動性底打ちと量的引き締め終了が根拠
ビットメックス共同創設者アーサー・ヘイズ氏が11月27日、ビットコインの年末25万ドル(約3,862万円)到達予測を堅持しました。先週の8万600ドル(約1,245万円)を底値とみており、米ドル流動性の底打ちと量的引き締め終了が上昇を牽引すると分析しています。
ヘイズ氏の予測の根拠は以下の通りです。第一に、米ドル流動性の底打ちです。FRB(米連邦準備制度理事会)のバランスシート縮小が終了し、流動性が市場に戻り始めています。過去最長となった米政府閉鎖が終わり、財政支出が再開されることで、ドル流動性が増加します。
第二に、量的引き締め(QT)の終了です。FRBは2022年以降、インフレ抑制のためにバランスシートを縮小してきましたが、その効果が限界に達しています。2026年には量的緩和(QE)へと転換する可能性が高く、大量の資金が市場に流入します。
第三に、8万600ドルの底値想定です。ビットコインは11月21日に8万600ドルまで下落しましたが、そこから反発しています。ヘイズ氏はこの水準を底値とみており、ここから上昇トレンドが再開すると予測しています。
第四に、年末までの時間軸です。現在9万1,000ドル台のビットコインが、年末までに25万ドルに到達するには、約175%の上昇が必要です。残り1カ月余りで実現するには、1日あたり平均5%以上の上昇が必要で、極めて楽観的な予測です。
一方、慎重な見方もあります。トム・リー氏が年末25万ドル予想を軟化させ、10万ドル突破を「非常に可能性が高い」に修正したことは、市場の現実を反映しています。ARKインベストのキャシー・ウッド氏は150万ドル予測を維持していますが、これは長期的な目標であり、短期的な年末予測とは異なります。
アナリストの中には、「ビットコインが大きく上昇する可能性がある。コロナ期以来の非対称なリスク・リワード」と指摘する声もあります。現在のビットコイン価格は、将来のマクロ経済見通しとかみ合っておらず、ここから大きな上昇をみせる可能性があるとしています。
ブラックロック債券ファンドがIBIT買い増し、1.5億ドル保有──自社ETFへの信頼示す
ブラックロックが7~9月期に債券ファンドで自社ビットコインETF「IBIT」を買い増していたことが判明しました。9月末時点で1.5億ドル(約231億7,500万円)相当を保有しています。ビットコイン現物ETFへの流入はここ数日復活傾向です。
ブラックロックのIBIT買い増しの意義は以下の通りです。第一に、自社商品への信頼です。世界最大の資産運用会社ブラックロックが、自社の債券ファンドでビットコインETFを保有することは、IBITへの強い信頼を示しています。顧客に販売するだけでなく、自らも保有する姿勢は、商品の質と将来性への確信を表しています。
第二に、分散投資戦略です。債券ファンドは通常、国債や社債などの固定利回り資産に投資します。ビットコインETFを組み入れることで、ポートフォリオの分散を図り、リスク調整後リターンを向上させます。伝統的資産とビットコインの相関が低いことを活用した戦略です。
第三に、機関投資家の参入促進です。ブラックロックのような大手が債券ファンドでビットコインETFを保有することで、他の機関投資家も追随しやすくなります。「ブラックロックがやっているなら安心」という心理が働き、市場全体の信頼性が向上します。
第四に、IBITの成長です。IBITは2024年1月の上場以来、急速に資産を拡大しています。ブラックロック自身が買い増すことで、流動性が高まり、取引コストが下がります。好循環が生まれ、さらなる資金流入につながります。
テザー116トン金保有で中央銀行級、ウルグアイマイニング事業停止──エネルギーコスト高騰で
世界最大のステーブルコイン発行企業テザー(Tether)が116トンの金を保有し、中央銀行以外で世界最大の金保有者となりました。第3四半期に26トンの金を購入し、韓国やハンガリーの国家準備金に匹敵する規模です。一方、エネルギー料金をめぐり当局との合意に至らず、ウルグアイでのビットコインマイニング事業を停止しました。
テザーの金保有の意義は以下の通りです。第一に、準備資産の多様化です。テザーはUSDT(テザー)の準備資産として、米ドル現金、米国債、ビットコイン、金など多様な資産を保有しています。金は数千年の歴史を持つ価値保存手段で、インフレヘッジとして機能します。
第二に、中央銀行級の保有量です。116トンは韓国、ハンガリー、ギリシャの中央銀行と並ぶ規模で、民間企業としては異例です。テザーの財務力と戦略的視野の広さを示しています。
第三に、USDTの信頼性向上です。S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)がUSDTを最低評価「5」に格下げしましたが、テザー社CEOはこれを一蹴しています。金を大量保有することで、準備資産の質を向上させ、批判に対抗する狙いがあります。
一方、ウルグアイマイニング事業停止の背景は以下の通りです。第一に、エネルギーコスト高騰です。ウルグアイ当局との電力料金交渉が不調に終わり、事業継続が困難になりました。マイニングはエネルギー集約型事業で、電力コストが収益を左右します。
第二に、戦略的撤退です。テザーは7月にブラジルでのマイニング計画を発表していました。ウルグアイから撤退し、より有利な条件のブラジルに集中する戦略と考えられます。
CME11時間取引停止、データセンター冷却障害──ビットコイン先物含む全商品が影響
世界最大の先物取引所運営会社CMEグループ(CME Group)が28日、データセンターの冷却システム障害により11時間以上にわたり先物取引を停止しました。株式、債券、商品、通貨の先物取引が中断され、トレーダーからは批判の声が上がっています。
CME取引停止の影響は以下の通りです。第一に、市場への影響です。CMEは世界最大の先物取引所で、ビットコイン先物、イーサリアム先物、S&P500先物、金先物など、多様な商品を扱っています。11時間の停止により、価格発見機能が停止し、投資家はヘッジや投機ができませんでした。
第二に、冷却システム障害という技術的問題です。データセンターは大量のサーバーを稼働させるため、膨大な熱を発生します。冷却システムが停止すると、サーバーがオーバーヒートし、システムダウンします。CMEほどの大手でも、こうした障害が発生することは、インフラの脆弱性を示しています。
第三に、トレーダーの批判です。CMEは11月21日にも暗号資産先物・オプション取引で過去最高の79万4,903件を記録するなど、取引量が急増していました。重要な局面での11時間停止は、トレーダーに大きな損失をもたらした可能性があります。
その他の重要動向──IMFトークン化警告、トランプ事業問題視、暗号資産株急伸、市場センチメント改善
IMF(国際通貨基金)が資産トークン化のメリットとリスクを解説しました。自動取引による「フラッシュクラッシュ」の可能性や断片化の問題を指摘し、米SECなどの当局も規制を協議中です。トークン化市場という新たな現象を解説する動画を公開し、利点を認めつつ新たなリスクに言及しています。
米下院司法委員会は、ドナルド・トランプ大統領の暗号資産関連事業を問題視しています。大統領職の責任や健全性を取り戻すために、議会による改革を早急に行う必要があると主張しています。利益相反の懸念が指摘されています。
ビットコインとイーサリアムの価格回復に伴い、暗号資産関連株が28日に急伸しました。ビットマイン(BitMine)は5日間で27%上昇し、クリーンスパーク(CleanSpark)は55%の上昇を記録しています。
暗号資産市場センチメントに改善の兆しが見られました。18日間にわたり主要センチメント指数の底に張り付いていた暗号資産市場が、わずかながら「極度の恐怖」から脱却しました。
XRPは2.80ドルが射程圏に入り、複数のテクニカル・オンチェーン指標が強気継続を示唆しています。イーサリアムICO参加の古参勢が売却する一方で、上位1%の大口保有者は静かにETH買い増しを続けています。
スイス連邦参事会が26日、暗号資産税務情報の国際自動交換開始を2027年に延期すると発表しました。法的枠組みは2026年1月に施行されますが、パートナー国との調整が完了していないため実施は見送られます。
Upbitハッキングについて、韓国当局が北朝鮮のハッキンググループ「ラザルス」の関与を疑っており、本格調査を開始しています。
おわりに
2025年11月29日は、日本企業による暗号資産運用の本格化を象徴する一日となりました。北紡のビットコインレンディング運用とASAHI EITOホールディングスのETH/SOLトレジャリー事業開始は、日本企業の暗号資産活用が「保有」から「運用」へと進化していることを明確に示しています。製造業という本業を持ちながら、SBIグループやBITPOINTという専門家と連携し、レンディング、ステーキング、流動性提供など多様な手法で収益を最大化する戦略は、暗号資産が企業財務の新たな選択肢として定着しつつあることを物語っています。メタプラネットのような専業DAT企業だけでなく、事業会社が暗号資産を財務戦略に組み込む動きは、市場の成熟と実用化の加速を意味しています。
アーサー・ヘイズ氏の年末25万ドル予測堅持は、流動性底打ちと量的引き締め終了という明確な根拠に基づいています。8万600ドルを底値とみる分析は説得力がありますが、残り1カ月で25万ドルに到達するには175%の上昇が必要で、極めて楽観的です。トム・リー氏が予測を軟化させる中、ヘイズ氏が強気姿勢を維持することは、市場に多様な見解が存在することを示しています。ARKインベストの150万ドル予測、アナリストの「コロナ期以来の非対称なリスク・リワード」指摘など、長期的には強気派が優勢ですが、短期的な実現可能性には疑問符がつきます。
ブラックロックの債券ファンドによるIBIT買い増しは、世界最大の資産運用会社が自社商品に対して強い信頼を持っていることを示しています。顧客に販売するだけでなく、自らも保有する姿勢は、IBITの質と将来性への確信を表しており、機関投資家の参入を促進する効果があります。伝統的な債券ファンドにビットコインETFを組み入れる分散投資戦略は、暗号資産が伝統的金融商品と融合していく未来を予感させます。
テザーの116トン金保有は、中央銀行級の規模であり、民間企業としては異例です。USDT準備資産の多様化と質の向上により、S&Pの最低評価に対抗する狙いがあります。一方、ウルグアイマイニング事業停止は、エネルギーコスト管理の難しさを浮き彫りにしました。ブラジルへの集中という戦略的撤退は、効率性を重視した判断です。
CMEの11時間取引停止は、世界最大の先物取引所でも技術的障害が発生することを示しました。データセンター冷却システムという基礎的なインフラの脆弱性が、市場全体に影響を与える現実は、金融インフラの重要性を再認識させます。取引量急増の局面での停止は、トレーダーに大きな損失をもたらした可能性があり、インフラ強化が急務です。
IMFのトークン化フラッシュクラッシュ警告、トランプ大統領暗号資産事業への議会の懸念、暗号資産株急伸、市場センチメント改善、XRP強気継続、ETH大口買い増しなど、多様な動きがありました。規制整備、政治的課題、市場回復の兆しが混在する状況です。
日本企業の運用本格化、機関投資家の参入加速、インフラの課題、規制の模索という多面的な展開が進んでいます。短期的な価格変動に惑わされず、企業の実務的な活用、制度の整備、技術の進化という本質的な変化を冷静に見極め、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。
