2025年11月27日、韓国最大の暗号資産取引所Upbit(アップビット)がソラナネットワークで約47億円(445億ウォン)の不正流出被害を受けました。24銘柄が流出しましたが、全額を自社資産で補償すると即座に発表。入出金サービスは一時停止中です。
ビットコインは12月のFRB(米連邦準備制度理事会)利下げ期待を背景に9万1,000ドル(約1,405万円)まで反発。過去24時間で5.6%上昇しました。ストラテジー(Strategy)は「BTC価格が74,000ドルまで下落しても転換社債に対して5.9倍の資産を保有」と債務安全性を強調しています。
S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)がテザー社のUSDTに対する評価を最も低い「5」に引き下げました。ビットコインを準備資産として保有する割合などを懸念しています。
本稿では、Upbit不正流出、BTC反発、ストラテジー債務安全性、USDT格下げ、Upbit・ネイバー合併、その他の重要動向について解説します。
韓国Upbit約47億円不正流出、全額補償へ ── ソラナ24銘柄が標的、ホットウォレットから未承認送金
韓国最大の暗号資産取引所Upbitがソラナネットワークで約47億円(445億ウォン)の不正流出被害を受けました。24銘柄が流出しましたが、全額を自社資産で補償すると即座に発表。入出金サービスは一時停止中です。
不正流出の詳細は以下の通りです。第一に、ホットウォレットからの未承認送金です。Upbitのソラナネットワークのホットウォレットから約3,600万ドル(約55億7,000万円)相当が不正に送金されました。24種類のソラナベースのトークンが標的となり、大規模な流出となりました。
第二に、迅速な補償発表です。Upbitは流出発表と同時に「流出分は会社の準備資産を用いて全額カバーする」と即座に確約しました。この迅速な対応により、ユーザー個人資産への影響はないとしています。韓国国内シェア7割超を誇るUpbitの信頼維持を優先した判断です。
第三に、入出金サービスの一時停止です。不正流出を検知した直後、Upbitは入出金サービスを緊急停止しました。被害拡大を防ぐための措置で、復旧時期は調査完了後としています。
第四に、原因究明と再発防止です。Upbitは外部セキュリティ専門家と協力し、不正流出の原因を調査中です。ホットウォレットのセキュリティ強化、多重署名の導入、コールドウォレットへの資産移転など、再発防止策を検討しています。
この事件は、暗号資産取引所のセキュリティリスクを改めて浮き彫りにしました。ホットウォレットは利便性が高い一方、ハッキングリスクが高いという課題があります。業界全体でコールドウォレットへの資産移転やマルチシグ導入など、セキュリティ強化が求められています。
ビットコイン9万1,000ドルへ反発、12月利下げ期待 ── 過去24時間で5.6%上昇、大口売り圧力は継続
ビットコインは12月のFRB利下げ期待を背景に9万1,000ドル(約1,405万円)まで反発しました。過去24時間で5.6%上昇し、現在9万1,700ドル(約1,416万円)付近で取引されています。
反発の背景は以下の通りです。第一に、12月利下げ確率の上昇です。市場では12月FOMCでの0.25%利下げ確率が70%まで上昇しました。金利低下によるリスク資産への資金流入が期待され、ビットコインも買われています。
第二に、S&P500の最高値接近です。S&P500が最高値まで2%に迫り、リスク選好ムードが高まっています。ビットコインもハイベータのハイテク株の代替として買われる傾向があります。
第三に、ショートスクイーズの可能性です。マイナス資金調達率と大量のショート流動性ゾーンは、8万9,000ドル(約1,374万円)へのショートスクイーズ発生の可能性を示しています。ショートポジションの買い戻しが価格上昇を加速させる可能性があります。
一方、懸念材料も残ります。第一に、大口投資家の売り圧力です。クリプトクオント(CryptoQuant)のデータによると、ビットコイン価格が8万ドル(約1,236万円)まで下落した後、大口トレーダーによる取引所への送金が増加しています。最近では9,000BTCが送金され、その45%が100BTC以上の大口入金でした。平均入金額が1年ぶりの高水準に達しており、売り圧力継続の可能性があります。
第二に、需要低迷の継続です。グラスノード(Glassnode)が最新市場レポートで、ビットコインの需要低迷を指摘しました。新たな資金流入が回復するまで市場は狭いレンジで推移する可能性が高いと分析しています。
第三に、9万ドル台半ばの壁です。トレーディング会社は、ビットコインの上昇が9万ドル台半ばで壁にぶつかる可能性を指摘しています。このレベルには大量の売り注文が積み上がっており、突破には時間がかかる見通しです。
K33リサーチは現在のビットコイン相場を「感情主導の行き過ぎ」と分析しています。過去最高値から36%下落した現在の価格乖離が長期投資家にとって魅力的なエントリーポイントと見ており、「売りは飽和領域に近づいている」としています。
ストラテジー「BTC 74,000ドル下落でも転換社債に5.9倍の資産」 ── 債務安全性強調、70年分の配当余力
ストラテジーが「ビットコイン価格が平均購入価格である74,000ドル(約1,143万円)まで下落しても、転換社債に対して5.9倍の資産を保有している」と投稿し、債務の安全性を強調しました。
ストラテジーの財務状況は以下の通りです。第一に、64万BTC保有です。同社は2025年に210億ドル(約3兆2,430億円)を調達し、約64万BTCを保有しています。平均購入価格は74,000ドルで、現在のBTC価格9万1,000ドルであれば含み益は約108億ドル(約1兆6,680億円)です。
第二に、転換社債に対する資産倍率です。ビットコイン価格が74,000ドルまで下落しても、保有BTCの価値は473億6,000万ドル(約7兆3,107億円)となります。一方、転換社債の総額は約80億ドル(約1兆2,360億円)で、5.9倍の資産カバー率を維持できます。
第三に、70年分の配当余力です。ストラテジーは「70年分の配当余力がある強固な財務基盤」を強調しています。ビットコイン市場の下落と株価急反落を受け、投資家のバランスシート懸念の払拭に動いています。
しかし、株価は68%暴落しています。ストラテジー株は年初来高値から68%下落し、MSCI指数除外リスクやビットコインETF普及によるプレミアム崩壊が影響しています。セイラー会長は投資家の懸念払拭に努めていますが、株価回復には時間がかかる見通しです。
S&PがUSDT評価を最低レベル「5」に格下げ ── BTC準備資産保有を懸念、テザー社は「誤解招く」と反論
S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)グローバル・レーティングがテザー社の米ドルステーブルコインUSDTに対する評価を最も低い「5」に引き下げました。ビットコインを準備資産として保有する割合などに触れ、判断の根拠を説明しています。
格下げの理由は以下の通りです。第一に、ビットコイン準備資産の保有です。テザー社は準備資産の一部としてビットコインを保有しており、S&Pはこれをドルペッグ維持能力のリスク要因と判断しました。ビットコイン価格の変動が準備資産の価値に影響を与え、ペッグ維持が困難になる可能性があります。
第二に、金の大量保有です。テザー社が保有する実物の金(ゴールド)は116トンに達し、韓国、ハンガリー、ギリシャの中央銀行と並ぶ規模になっています。金価格の変動も準備資産に影響を与えます。
第三に、透明性の不足です。テザー社は準備資産の詳細な内訳を公開していないため、S&Pは完全な評価が困難としています。
テザー社の反論は以下の通りです。同社はこのレポートを「誤解を招くもの」と位置付け、「USDTは完全に裏付けられており、ドルペッグを維持している」と主張しています。実際、USDTは市場で1ドルに近い価格で安定的に取引されており、大規模な脱ペッグは発生していません。
グラスノードは、ビットコインとUSDTの活動に「強い負の相関」があることを指摘しています。ビットコイン価格が上昇するとUSDTの活動が減少し、逆にビットコイン価格が下落するとUSDTの活動が増加する傾向があります。
韓国Upbitとネイバー1.5兆円規模で合併 ── 国内シェア7割超、総合デジタル金融エコシステム構築へ
韓国IT大手ネイバー(Naver)が暗号資産取引所Upbit運営のドゥナム(Dunamu)を1.5兆円規模で買収します。韓国国内シェア7割超のUpbitとネイバーペイを統合し、総合デジタル金融エコシステムを構築。2025年6月の合併発効を目指します。
合併の意義は以下の通りです。第一に、市場シェアの圧倒的優位です。Upbitは韓国国内の暗号資産取引の7割以上を占めており、ネイバーペイと統合することで、決済から投資まで一気通貫のサービスを提供できます。
第二に、米国上場の可能性です。ドゥナムはネイバーとの合併完了後、米国での上場を検討していると報じられています。ナスダック上場により、グローバルな資金調達と事業展開が可能になります。
第三に、規制対応の強化です。今回の不正流出を受けて、ネイバーの資本力とセキュリティ技術を活用し、より強固なセキュリティ体制を構築します。
リップル社RLUSD、アブダビADGMが正式認定 ── 中東での企業利用加速、法定通貨参照トークンとして
リップル社は、同社の米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」が、アブダビ金融サービス規制庁(FSRA)により「法定通貨参照トークン」として正式に認定されたと発表しました。アブダビ国際金融センター(ADGM)での中東企業利用が加速します。
この認定により、RLUSDは中東の金融ハブであるアブダビで正式に利用可能となります。企業間決済や国際送金など、ビジネス用途での活用が期待されます。リップル社は中東市場を重要な成長エリアと位置づけており、今回の認定は大きな前進です。
タイ当局、ワールド(Worldcoin)に120万件虹彩データ削除命令 ── サム・アルトマン支援プロジェクトに業務停止
タイ個人情報保護委員会が、サム・アルトマン氏支援の生体認証プロジェクトWorld(旧Worldcoin)に対し、暗号資産と引き換えに虹彩スキャンデータを収集した行為が個人情報保護法違反として、120万件のデータ削除と業務停止を命令しました。
世界各国でも同様の規制措置が相次いでおり、生体認証データの収集に対する懸念が高まっています。Worldは虹彩スキャンによる本人確認システムを提供していますが、プライバシー侵害のリスクが指摘されています。
その他の重要動向 ── グレースケールZEC ETF、トム・リー予想後退、ハセット次期FRB議長候補、メタプラネット急騰
グレースケールがジーキャッシュ(Zcash)トラストを現物ETFへ転換する方針を示しました。プライバシーコインに連動する初の投資商品となる可能性があります。
ビットマインのトム・リー会長が、強気一辺倒で推してきた「年末ビットコイン25万ドル(約3,862万円)」予想をついに後退させました。最新の発言では、年末に向けて10万ドル(約1,545万円)超は「非常に有力」としつつ、過去最高値12万5,100ドル(約1,932万円)を再び突破するかについては「たぶん(maybe)」に留めました。
ホワイトハウスの経済アドバイザーで、暗号資産に理解を示すケビン・ハセット氏が、ジェローム・パウエル氏の後任としてFRB次期議長の最有力候補として浮上しています。
メタプラネット株価が一時400円へ急騰し、前日比6.5%高を記録しました。ビットコイン価格反発に連動した動きです。
日本円ステーブルコインJPYCの保有者が6万人を突破しました。1週間前と比較して2倍以上の規模となっており、急速なユーザー拡大を見せています。
おわりに
2025年11月27日は、韓国Upbitの47億円不正流出という重大事件が発生しましたが、即座の全額補償発表により市場への影響は限定的でした。この迅速な対応は、暗号資産取引所の信頼維持において極めて重要な判断です。一方、セキュリティリスクの顕在化は業界全体の課題を浮き彫りにしました。コールドウォレットへの資産移転、マルチシグ導入、準備金積立など、多層的なセキュリティ対策が不可欠です。
ビットコインの9万1,000ドルへの反発は、12月利下げ期待という明確な材料に支えられています。しかし、大口投資家の売り圧力継続、需要低迷、9万ドル台半ばの壁という三重苦が待ち受けています。K33リサーチが指摘する「感情主導の行き過ぎ」が修正され、売りが飽和領域に達するまで、レンジ相場が続く可能性が高いでしょう。
ストラテジーの債務安全性強調は、64万BTC保有企業としての財務基盤の堅牢性を示しています。BTC価格が74,000ドルまで下落しても転換社債に対して5.9倍の資産を保有するという事実は、短期的な株価下落に動揺する投資家への強いメッセージです。しかし、68%の株価暴落は、ビットコインETF普及によるDAT企業プレミアム崩壊という構造問題を反映しています。
S&PによるUSDT格下げは、ステーブルコインの準備資産に対する規制当局の scrutiny が強まっていることを示しています。ビットコインや金といったボラティリティの高い資産を準備資産に組み込むことへの懸念は正当です。透明性向上と保守的な資産運用が求められています。
Upbitとネイバーの1.5兆円合併、リップル社RLUSDのアブダビ認定、タイによるWorldへのデータ削除命令、グレースケールZEC ETF転換、トム・リー予想後退、ハセット次期FRB議長候補浮上など、多様な動きがありました。特にハセット氏のFRB議長就任は、暗号資産に友好的な金融政策への転換を意味し、市場にとって大きなプラス材料となる可能性があります。
メタプラネットの400円急騰、JPYC保有者6万人突破など、日本市場も活発です。規制整備、機関投資家参入、実用化加速という三つの波が、暗号資産市場を成熟させつつあります。短期的な価格変動に惑わされず、この構造変化を冷静に見極め、リスク管理を徹底しながら、長期的な視点で市場と向き合ってください。
※暗号資産投資には価格変動リスク、流動性リスク、規制リスク、セキュリティリスクなど様々なリスクが伴います。Upbit不正流出のようなセキュリティ事件、ストラテジー株価68%暴落、USDT格下げなど、市場環境は極めて不安定です。投資判断は必ずご自身の責任で行い、余裕資金の範囲内で慎重に検討してください。
