クラーケンIPO申請、評価額3.1兆円で2026年上場目指す。NVIDIA好決算でビットコイン反発92,000ドル、ビットワイズXRP ETF上場、ワールドリバティに調査要請 ──【11月20日暗号資産市場の動向まとめ】

2025年11月20日、米暗号資産取引所クラーケン(Kraken)が米SEC(証券取引委員会)にIPO(新規株式公開)申請を提出しました。評価額は200億ドル(約3兆800億円)で、2026年第1四半期の上場を目指します。トランプ政権の友好姿勢を背景に、暗号資産企業の上場ラッシュが続いています。

市場では、NVIDIA(エヌビディア)の好決算を受けてビットコインが89,000ドル(約1372万円)安値から92,000ドル(約1418万円)台まで回復しました。Nasdaq総合指数が0.6%高となり、マイニング企業株が大幅上昇。AIバブル懸念が後退し、テック株と暗号資産の連鎖的上昇が起きています。

ビットワイズ(Bitwise)のXRP現物ETFがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、米国では2つ目のXRP商品となりました。初日取引高は90億円超と好調なスタートを切り、アルトコインETF市場が急拡大しています。

一方、エリザベス・ウォーレン上院議員らが、トランプ大統領一族が関与するDeFiプロジェクト「ワールドリバティ・フィナンシャル(World Liberty Financial)」に対する調査を要請。北朝鮮・ロシア関連団体へのガバナンストークン販売が国家安全保障リスクになると指摘しました。

本稿では、クラーケンIPO申請、NVIDIA決算とビットコイン反発、XRP ETF上場、ワールドリバティ調査要請、その他の重要動向について詳しく解説します。

目次

クラーケンIPO申請、評価額3.1兆円 ── 2026年第1四半期上場目指す、暗号資産企業上場ラッシュ

米暗号資産取引所クラーケンが米SECにIPO申請を提出しました。評価額は200億ドル(約3兆800億円)で、2026年第1四半期の上場を目指しています。トランプ政権の友好姿勢を背景に、暗号資産企業の上場ラッシュが続いています。

クラーケンは機密扱いのS-1フォームをSECに提出しました。資産運用会社グレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が同様の動きを発表してから1週間も経たずの提出となりました。機密扱いの提出により、財務情報などの詳細は当面非公開となります。

クラーケンの共同CEOは以前、米国での株式公開について急ぐ姿勢を見せていないと述べていましたが、今回のIPO申請は市場環境の改善を受けた判断とみられます。11月19日に発表された8億ドル(約1,232億円)の資金調達完了に続く動きで、IPO準備が本格化しています。

クラーケンIPOの意義は以下の通りです:

  1. 業界第2位の規模 – 評価額200億ドル(約3兆800億円)は、コインベース(Coinbase)に次ぐ規模。コインベースの時価総額が約500億ドル(約7兆7,000億円)前後で推移していることを考えると、業界第2位としての地位を確立します。
  2. トランプ政権下での規制緩和 – SECが2026年度検査で暗号資産監視を削除したことに象徴されるように、規制環境が大幅に改善。暗号資産企業にとってIPOの好機となっています。
  3. 上場ラッシュの象徴 – グレースケールに続くクラーケンのIPO申請は、暗号資産企業の上場ラッシュを象徴しています。Circle(サークル)やRipple(リップル)なども上場を検討しているとされます。
  4. 機関投資家の参入加速 – 上場により透明性が向上し、機関投資家が投資しやすくなります。暗号資産市場への資金流入が加速する可能性があります。

クラーケンは世界中で数千万人のユーザーを抱え、取引高では世界トップクラスです。デリバティブ取引、ステーキングサービス、カストディサービスなど、幅広いサービスを提供しています。IPOにより、さらなる事業拡大とグローバル展開を加速させる見込みです。

シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)からの2億ドル(約308億円)戦略的投資も、伝統的金融との融合を示しています。世界最大級のマーケットメイカーであるシタデルの参入は、暗号資産市場の流動性向上に寄与する可能性があります。


NVIDIA好決算でビットコイン反発、89,000ドル→92,000ドル ── マイニング企業株急騰、AIバブル懸念後退

NVIDIA(エヌビディア)の好決算を受けて、ビットコインが89,000ドル(約1372万円)安値から92,000ドル(約1418万円)台まで回復しました。11月19日のNVIDIA決算発表後、Nasdaq総合指数が0.6%高となり、マイニング企業株が大幅上昇しています。

NVIDIA第3四半期決算は、売上・利益とも市場予想を上回りました。AIバブル懸念を和らげたことで、テック株と暗号資産の連鎖的上昇が起きています。

市場への影響は以下の通りです:

  1. マイニング企業株の急騰 – IREN(アイレン)が10%高など、マイニング企業株がAIシフト恩恵で買われました。多くのマイニング企業がAIコンピューティング事業への転換を進めており、NVIDIA好決算がその可能性を裏付けました。
  2. テック株と暗号資産の相関 – 時間外取引でテック株と暗号資産関連株が上昇。AIバブル懸念の後退により、リスク資産全般に買いが入りました。
  3. 投資家心理の改善 – NVIDIA決算により、AI関連投資の持続可能性が確認され、投資家心理が改善。暗号資産市場にもポジティブな影響を与えました。
  4. 電力供給の重要性 – 専門家は電力供給の重要性を指摘し、関連投資機会を分析しました。AIコンピューティングとマイニングは大量の電力を消費するため、電力インフラへの投資が注目されています。

ビットコインの価格推移をみると、19日早朝に一時89,000ドル(約1372万円)割れとなりましたが、NVIDIA決算後に反発。20日には92,331ドル(約1423万円)まで回復し、前日比+3.4%となりました。

bitbankアナリストによると、ビットコインは1,400万円下抜けに失敗し、NVIDIA決算が予想外の好決算だったことで反発のきっかけとなりました。19日のビットコイン円は1,446万1,094円から取引が始まり、底堅い動きを見せています。

複数のアナリストは、ビットコイン急落が米政府閉鎖やAIバブル懸念とはほとんど関係がないと指摘しています。むしろ、ETFからの資金流出や12月利下げ確率の低下など、マクロ経済要因が主因とされます。

ビットワイズXRP ETF、NYSE上場 ── 米国2つ目の現物型商品、初日90億円超の取引高

ビットワイズのXRP現物ETFがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しました。カナリー(Canary)に次ぐ米国2つ目のXRP商品で、初日取引高は90億円超と好調なスタートを切りました。

ビットワイズは、新たに設定した現物XRP上場投資信託(ETF)を「XRP」というティッカーで木曜日にローンチしました。ティッカーシンボルが暗号資産そのものと同じ「XRP」であることについて、コミュニティでは賛否両論が起きています。

XRP ETF市場の拡大状況は以下の通りです:

  1. カナリーのXRPC – 米国初のXRP現物ETFとして先行上場。初日取引高は90億円超を記録し、市場の強い関心を示しました。
  2. ビットワイズのXRP – 2つ目のXRP商品として上場。欧州で展開している「GXRP」に続く商品展開です。
  3. アルトコインETF市場の急拡大 – XRPに加え、ソラナ、ドージコインなどのアルトコインETFが次々と上場。2026年は暗号資産ETFの動きが本格化する見通しです。
  4. 米政府再開の影響 – 米政府閉鎖が終了したことで、SECの審査プロセスが再開。アナリストは、米政府の再開で暗号資産ETFが一気に拡大する可能性を指摘しています。

XRPは、RippleX(リップルX)のエンジニアリング部門のトップがステーキング機能導入を考察していると説明しています。ステーキングは報酬が発生する仕組みであり、投資家からも注目を集めています。XRPにステーキング機能が導入されれば、実用性が向上し、ETFの魅力もさらに高まる可能性があります。

ただし、XRPは1週間で11%下落しており、チャートパターンは1.55ドル(約239円)へのさらなる調整を示唆しています。前週比11%安で推移しており、複数のデータが深い調整の可能性を示しています。循環供給量の約41.5%に相当する265億トークン近くが含み損の状態にあり、高値掴みした投資家の売り圧力が懸念されます。

米民主党議員、トランプ一族ワールドリバティに調査要請 ── 国家安全保障リスクと利益相反を指摘

エリザベス・ウォーレン上院議員らが、トランプ大統領一族が関与するDeFiプロジェクト「ワールドリバティ・フィナンシャル(World Liberty Financial)」に対する調査を要請しました。北朝鮮・ロシア関連団体へのガバナンストークン販売が国家安全保障リスクになると指摘し、利益相反の懸念も表明しています。

ワールドリバティ・フィナンシャルは、トランプ大統領の息子らが関与するDeFiプラットフォームです。ガバナンストークンの販売を通じて資金調達を行っていますが、その一部が北朝鮮やロシアに関連する団体に販売された可能性が指摘されています。

ウォーレン議員らの懸念点は以下の通りです:

  1. 国家安全保障リスク – 北朝鮮やロシアに関連する団体がガバナンストークンを取得することで、プラットフォームの運営に影響を与える可能性。制裁対象国への資金流出や技術移転のリスク。
  2. 利益相反 – トランプ大統領一族が直接関与するプロジェクトであり、政策決定に影響を与える可能性。大統領職と私的利益の混同が懸念されます。
  3. 規制回避の懸念 – DeFiの性質上、従来の金融規制を回避できる可能性があり、適切な監視が必要。
  4. 透明性の欠如 – トークン販売の詳細や資金の使途について、十分な情報開示がなされていない。

トランプ政権は暗号資産に友好的な姿勢を示していますが、一族が直接関与するプロジェクトについては、利益相反や国家安全保障の観点から厳しい目が向けられています。民主党議員からの調査要請は、政治的な対立の側面もありますが、暗号資産業界の健全な発展にとって透明性と適切な規制は不可欠です。

その他の重要動向 ── ブラックロックETH ETF、ARK買い増し、バーゼル委規制見直し、ビットコイン弱気サイン

ブラックロック(BlackRock)がステーキング対応のイーサリアムETFをデラウェア州で名称登録しました。運用資産13.5兆ドル(約2京790兆円)の世界最大級の資産運用会社が、主力のイーサリアムETFに続く新商品拡大へ向けて動き出しています。ステーキング機能により、ETF保有者はイーサリアムのステーキング報酬を受け取れる可能性があります。

ARKインベスト(ARK Invest)のキャシー・ウッド氏は、暗号資産市場全体が下落する中、3つの暗号資産関連企業の株式を3,960万ドル(約61億円)分追加購入しました。今週、暗号資産株が下落する中、ブリッシュ(Bullish)、サークル・インターネット・グループ、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(Bitmine Immersion Technologies)の株式を複数のETFで買い増ししています。

バーゼル銀行監督委員会(BCBS)議長のエリック・テデーン氏は、ステーブルコインの台頭を背景に、銀行の暗号資産保有規制の見直しが必要だと発言しました。現行の厳格な資本要件の緩和が焦点となっています。フィナンシャル・タイムズによると、銀行が暗号資産を保有する際の資本規制を見直す必要があるとの認識を示しました。

ビットコインに弱気サインが出ています。週足スーパートレンド指標で「売り」シグナルが発生し、過去には77%下落した事例があります。ビットコインのスーパートレンド指標が週足チャートで「売り」シグナルとなり、これは過去の事例では弱気市場入りの始まりを示してきた現象です。

一方で、アナリストは9万ドル(約1388万円)のビットコインは「目をつぶって買う」局面と指摘しています。現在の調整局面は強気相場で最大の下落幅となっていますが、データは投げ売り領域に近づいていることを示しています。

ビットコインクジラ(大口投資家)の活動が今年最大規模になっています。市場分析プラットフォームのサンティメント(Santiment)によると、ビットコインが9万ドルを割り込む中で、クジラの取引が今年最多ペースで急増している可能性があり、売りから買いへの転換の兆しが見られます。

アブダビ投資評議会(Abu Dhabi Investment Council)が、ブラックロックの現物ビットコインETF保有を3倍近くに拡大しました。第3四半期の保有増加により、機関投資家の継続的な参入を示しています。

コインベースが12月17日に「新時代」を発表予定です。リーク情報から予測市場・株式取引機能の実装が示唆され、カルシ(Kalshi)との提携深化やブロックチェーン株式取引の展開が期待されます。

ブロック社(Block)がジャック・ドーシー率いる企業として、今後3年の財務見通しを発表しました。粗利益の年間15億ドル(約2,310億円)増加を予想し、株価が7.6%上昇。AI・暗号資産事業も強化しています。

ビットワイズ(Bitwise)の最高投資責任者は、ビットコインはサービスであるとの見方を示しました。マイクロソフト(Microsoft)と比較しながら、価値の本質を説明しています。下落相場の中でも、ビットコインの本質的価値を強調する姿勢です。

12月の米利下げ確率が33%に低下し、ビットコインは一時89,000ドル(約1372万円)割れとなりました。11月初旬には67%だった12月利下げ確率が、投資家心理の悪化とともに急落しています。

ストラテジー(Strategy)のビットコイントレジャリー戦略に逆風が吹いています。直近の暗号資産市場の調整を受け、企業によるビットコイン・トレジャリー戦略の持続性に改めて疑念が再燃。しかしマトリックスポート(Matrixport)によれば、最大手のストラテジーは依然としてS&P500指数への採用に向けた道を維持しているとしています。

第3四半期の暗号資産レバレッジが過去最高を記録しました。ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)によると、暗号資産担保借入は736億ドル(約11兆3,512億円)に急増し、このセクターで史上最もレバレッジの高い四半期となりました。

暗号資産ETFが成熟期に突入しています。IRS(米国歳入庁)とSECの措置により商品が急拡大しており、2026年は暗号資産ETFの動きが本格化する見通しです。

おわりに

2025年11月20日は、クラーケンIPO申請という歴史的なニュースが飛び込んできた一日となりました。評価額200億ドル(約3兆800億円)、2026年第1四半期上場を目指すクラーケンの動きは、トランプ政権下での規制緩和を背景とした暗号資産企業上場ラッシュを象徴しています。グレースケールに続くIPO申請は、Circle、Rippleなど他の主要企業の上場にも弾みをつける可能性があります。

NVIDIA好決算を受けたビットコイン反発は、テック株と暗号資産の強い相関を示しました。89,000ドル(約1372万円)安値から92,000ドル(約1418万円)台への回復は、AIバブル懸念の後退が暗号資産市場にもポジティブな影響を与えることを実証しています。マイニング企業株の急騰は、AIシフトの恩恵を受ける企業への関心の高さを示しています。

ビットワイズXRP ETF上場は、アルトコインETF市場の急拡大を象徴しています。米国2つ目のXRP商品として、初日取引高90億円超の好調なスタート。ソラナ、ドージコインなど、次々と上場するアルトコインETFは、2026年の暗号資産ETF本格化を予感させます。XRPへのステーキング機能導入検討は、実用性向上への取り組みとして注目されます。

ワールドリバティ・フィナンシャルへの調査要請は、トランプ一族が関与するプロジェクトに対する政治的な監視の目が厳しいことを示しています。国家安全保障リスクと利益相反の指摘は、暗号資産業界の健全な発展にとって透明性と適切な規制が不可欠であることを改めて認識させます。

ブラックロックのステーキング対応イーサリアムETF準備、ARKインベストの3,960万ドル(約61億円)買い増し、バーゼル委議長の規制見直し発言は、機関投資家の継続的な参入と規制環境の改善を示しています。一方、ビットコインの週足スーパートレンド指標「売り」シグナルや12月利下げ確率33%への低下は、短期的な弱気リスクを示唆しています。

クラーケンIPOと規制緩和は、暗号資産市場が次のステージへ進むことを示しています。NVIDIA決算による反発、XRP ETF上場、機関投資家の継続的な参入は、市場の成長基盤が維持されていることを示しています。一方、弱気サインや利下げ確率低下は、短期的な調整リスクを示唆しており、慎重な投資判断が求められます。

暗号資産投資には価格変動リスク、規制リスク、政治リスク、技術リスク、流動性リスクなど様々なリスクが伴います。特にスーパートレンド指標の弱気サインや利下げ確率の低下は、短期的な下落リスクを示唆しています。市場の構造的な変化を冷静に見守り、長期的な視点を持ち続けることが重要です。投資判断は自己責任で行い、余裕資金の範囲内で慎重に検討してください。

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