2025年11月18日、ビットコインは一時89,550ドル(約1381万円)まで急落し、9万ドル(約1388万円)を割り込みました。年初来の上昇分が完全に消失し、米国ビットコイン現物ETFの平均的投資家の損益が、ローンチ以来初めてマイナスに転じました。市場センチメントは「極度の恐怖」が継続し、デッドクロス(死の交差)が発生しています。
一方、ストラテジー(Strategy)は市場の急落局面で8,178 BTC(約742億円相当)を追加購入し、買い増しを加速させています。エルサルバドルも価格下落とIMFからの圧力の中、約1,000 BTC(約155億円相当)を追加購入し、保有高は7,474 BTCに達しました。
金融庁の金商法適用方針に対し、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の小田玄紀代表理事がCoinPostの独占取材に応じました。開示規制は分散性の高い銘柄を対象外とし、取扱銘柄の大幅減少は想定されていないと明言。分離課税実現には金商法移行が必要条件の一つとしています。
トランプ一族が世界初のトークン化ホテル開発をモルディブで発表し、DeFi大手Aave(アーベ)が最大利回り6.5%の貯蓄アプリを米国で開始する見込みです。
本稿では、ビットコイン急落とETF投資家の損失、金商法移行の詳細、逆張り投資の動向、新たなDeFiサービス、市場分析について詳しく解説します。
ビットコイン89,550ドルまで急落、ETF投資家平均損益マイナス転落 ── 年初来上昇分消失、デッドクロス発生
ビットコインは18日早朝に一時89,550ドル(約1381万円)まで急落し、9万ドル(約1388万円)を割り込みました。香港時間18日、コインベース(Coinbase)で9万ドルを割り込み、下落が拡大したことで2025年の上昇分が完全に帳消しとなりました。
米国ビットコイン現物ETFの平均的投資家の損益が、ETFローンチ以来初めてマイナスに転じました。これはETF投資家全体が平均して含み損を抱えている状態を意味します。2024年1月にビットコイン現物ETFがローンチされて以来、平均的な投資家は常にプラスの損益を維持していましたが、今回の急落により初めてマイナス圏に転落しました。
市場センチメントは「極度の恐怖」が継続しており、Crypto Fear & Greed Indexは極めて低い水準にあります。投資家の多くがパニック売りに走っており、市場心理は最悪の状態です。
Glassnode(グラスノード)のデータによると、ビットコインのデッドクロス(死の交差)が発生しました。短期移動平均線が長期移動平均線を下抜ける弱気シグナルです。ただし、過去のデータでは、デッドクロス発生後に必ずしも下落が継続するわけではなく、反転のきっかけとなることもあります。
CMEのビットコイン先物は約7カ月越しの窓埋めを達成しましたが、それでもまだ下げ止まらない状況です。bitbankアナリストによると、17日のビットコイン円は1,457万8,194円から取引が始まり、下落圧力が続いています。
ビットコインのRSI(相対力指数)は売られ過ぎを示唆しています。テクニカル分析では、主要な指標が下落トレンド減速を予想する信号を発しており、底打ちが近い可能性も指摘されています。
下落の主な要因は以下の通りです:
- 米ドル流動性の低下 – アーサー・ヘイズ氏がビットコイン下落の原因を米ドル流動性縮小と分析。ETF資金流出の背景や今後の下落および急騰シナリオを解説しています。
- ETF資金流出の継続 – CoinSharesの報告によると、暗号資産投資商品全体の先週における資金フローは約3,100億円超の純流出。2月以降最大規模となりました。投資家が20億ドル(約3,080億円)を引き揚げ、10月のピークから運用資産残高(AUM)が27%減少しています。
- マウントゴックスのBTC移動 – 破綻した暗号資産取引所マウントゴックス(Mt. Gox)が18日、約1万608 BTC(約1,470億円相当)を移動。過去の大規模移動が債権者返済に先立って実施されてきた経緯から、今回も返済準備の可能性が指摘され、売り圧力への懸念が高まりました。
- FRBのタカ派姿勢継続 – 12月FOMCでの利下げ見送り観測が引き続き市場の重石となっています。
一方、トム・リー氏とビットワイズ(Bitwise)CIOのマット・ホーガン氏は、「早ければ今週にも底打ちする可能性がある」と指摘しました。売られ過ぎの水準に達しており、反発のタイミングが近づいているとの見方です。
JVCEA小田会長が金商法移行の詳細を語る ── 分散性高い銘柄は対象外、取扱銘柄大幅減少は想定せず
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の小田玄紀代表理事がCoinPostの独占取材に応じ、暗号資産の金商法移行について詳細を語りました。金融庁が進める金商法適用方針に対し、業界団体トップとしての見解を示したものです。
小田氏は、開示規制は分散性の高い銘柄を対象外とし、取扱銘柄の大幅減少は想定されていないと明言しました。ビットコインやイーサリアムのような分散性が高く、中央管理者が存在しない暗号資産については、情報開示義務の適用が困難であるため、対象外とする方針です。
金商法移行の主なポイントは以下の通りです:
- 分散性に基づく区別 – 分散性の高い暗号資産(ビットコイン、イーサリアムなど)は開示規制の対象外。中央管理者が明確に存在する暗号資産のみが情報開示義務を負う。
- 取扱銘柄への影響 – 105銘柄すべてが一律に開示規制を受けるわけではなく、分散性に応じて対応が異なる。取扱銘柄の大幅減少は想定されていない。
- 分離課税実現への道筋 – 分離課税実現には金商法移行が必要条件の一つ。税率を現行の最大55%から20%へ引き下げるには、暗号資産を金融商品として位置づける必要がある。
- 規制の枠組みを理解した上での革新 – 小田氏は業界に対し、規制の枠組みを理解した上で革新を続けることを呼びかけました。規制をイノベーションの阻害要因と捉えるのではなく、健全な市場発展のための枠組みとして受け入れる姿勢が重要としています。
- 多くの政党が前向きに検討 – 分離課税実現について、多くの政党が前向きに検討していると認識を示しました。与野党を問わず、暗号資産市場の健全な発展に向けた議論が進んでいます。
ブロックチェーン推進議員連盟の第31回会合が11月17日に開催され、「暗号資産法制および税制」を議題に議論が行われました。木原会長は投資家保護の重要性を強調し、「分離課税実現は”重い”こと」と釘を刺しました。税率引き下げは投資家にとって朗報ですが、それに伴う投資家保護の強化も必要との認識です。
業界からの猛反発に対し、小田氏の発言は現実的な落としどころを示唆しています。分散性の高い銘柄を対象外とすることで、ビットコインやイーサリアムのような主要暗号資産は引き続き取引可能であり、市場への影響は限定的となる見込みです。
ストラテジー8,178 BTC追加購入、エルサルバドル1,000 BTC購入 ── 逆張り投資家の押し目買い加速
市場の急落局面で、ストラテジーとエルサルバドルが大規模な押し目買いを実施しました。弱気相場でも長期的なビットコイン価値を信じる投資家が買い増しを加速させています。
ストラテジーは月曜日に8,178 BTC(約742億円相当)を追加購入したと発表しました。数週間にわたり400〜500 BTC規模の購入が続いていましたが、マイケル・セイラー会長の企業が大規模な暗号資産投資を再開しました。市場の下落を買いのチャンスと捉え、積極的に買い増しを進めています。
エルサルバドル政府は市場下落局面で約1,000 BTC(約155億円相当)のビットコインを追加購入し、保有高は7,474 BTCに達しました。今年最も激しいビットコイン売りの中で、その戦略を強化しています。
エルサルバドルは2025年1月にビットコインの法定通貨地位を撤廃しましたが、ブケレ政権は戦略的準備資産としての蓄積を継続しています。IMF(国際通貨基金)からの圧力がある中でも、ビットコイン戦略を維持する姿勢を示しました。
ビットコイン下落の中でクジラ(大口投資家)が買い増しを加速させています。ビットコイン価格が今週低迷し、火曜日には89,550ドル(約1381万円)まで下落する中、ビットコインのクジラの数が急増しています。一方で小口投資家の数は減少しており、資産が大口投資家に集中する傾向が見られます。
逆張り投資の背景には、以下の要因があります:
- 長期的な価値への信念 – ストラテジーのセイラー会長は、ビットコインが長期的に価値を保存する資産として優れていると確信しています。短期的な価格変動は気にせず、買い増しを継続する姿勢です。
- 売られ過ぎの認識 – テクニカル分析でRSIが売られ過ぎ水準に達しており、反発のタイミングが近いとの判断。
- 市場の恐怖を利用 – 「恐怖の時に買い、貪欲の時に売る」という投資格言に従い、市場が極度の恐怖に陥っている時こそ買いのチャンスと捉えています。
- 分散投資とドルコスト平均法 – 定期的に一定額を購入することで、価格変動リスクを分散させる戦略。
トランプ一族、世界初トークン化ホテル開発をモルディブで発表 ── 不動産投資の新基準
トランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)とDAR Globalが世界初のトークン化ホテル開発をモルディブで発表しました。ブロックチェーン技術を活用した新たな不動産投資モデルとして注目されています。
エリック・トランプ氏は、このトークン化された高級リゾート開発計画が、トークン化不動産投資の「新たな基準」を打ち立てる可能性があると述べました。初期投資家向けにトークン化される仕組みで、小口投資家もリゾート開発に参加できるようになります。
トークン化不動産投資のメリットは以下の通りです:
- 小口投資の可能性 – 従来は数億円規模の資金が必要だった高級リゾート開発への投資が、トークン化により小口から可能になる。
- 流動性の向上 – 不動産は流動性が低い資産ですが、トークン化により二次市場での取引が可能になり、流動性が向上する。
- 透明性の確保 – ブロックチェーン上で所有権が記録されるため、権利関係が明確で透明性が高い。
- グローバルな投資機会 – 世界中の投資家がボーダーレスに投資できる。
トランプ一族と暗号資産業界の結びつきは強まっており、政治的な影響力と暗号資産技術の融合が進んでいます。トランプ政権下で暗号資産に対する規制環境が改善されるとの期待から、こうしたプロジェクトが増加する可能性があります。
Aave、米国で高利回り貯蓄アプリ開始 ── 最大利回り6.5%、最大100万ドル残高保護
DeFi大手Aaveが一般ユーザー向け貯蓄アプリ「Aave App」を米国で提供開始予定です。最大利回り6.5%、最大100万ドル(約1億5400万円)の残高保護、自動積立機能など、従来の銀行預金(平均0.4%)を大幅に上回る利便性を提供します。
Aave Appの主な特徴は以下の通りです:
- 高利回り – 米ドルステーブルコインUSDCで最大6.5%の利回りを提供。従来の銀行預金の平均0.4%を大幅に上回る。
- 銀行入金対応 – 銀行口座から直接入金可能。暗号資産取引所を経由する必要がなく、一般ユーザーにとって使いやすい。
- 残高保護 – 最大100万ドル(約1億5400万円)の残高保護を提供。スマートコントラクトのリスクに対する保険が付帯される。
- 自動積立機能 – 定期的に自動で積立ができる機能を搭載。
- ユーザーフレンドリーなインターフェース – DeFiの複雑さを隠し、銀行アプリのような使いやすさを実現。
Aaveは世界最大規模の分散型暗号資産レンディングプラットフォームであり、その信頼性と実績により、一般ユーザーへの普及が期待されます。従来のDeFiは技術的な知識が必要で、一般ユーザーには敷居が高かったものの、Aave Appは銀行アプリのような使いやすさを実現することで、DeFiの大衆化を目指しています。
App Storeで提供される予定で、iPhoneユーザーが簡単にアクセスできるようになります。DeFiの利便性を一般ユーザーに提供することで、暗号資産エコシステムの拡大が期待されます。
その他の動向 ── ヴィタリックのKohaku、グレースケールDOGE ETF、Cboe無期限先物、ARK投資、量子リスク
イーサリアムのブテリン共同創設者がプライバシー保護ツール「Kohaku(コハク)」を新たに紹介しました。Railgun(レールガン)連携やゼロ知識証明で匿名性を強化する開発ロードマップを解説しています。イーサリアムのプライバシー機能を大幅に向上させる取り組みです。
グレースケール(Grayscale)のドージコイン(Dogecoin)ETFが11月24日にも取引開始となる見通しです。ヴァンエック(VanEck)は17日にステーキング対応のソラナETFをローンチしました。米国で3つ目となるステーキング機能を備えたソラナ上場投資信託(ETF)であり、さらに複数のアルトコイン連動型ETFが市場参入を控えています。
Cboe(シカゴ・オプション取引所)が暗号資産ビットコインとイーサリアムの無期限先物取引を12月15日に開始します。米国規制下でポジションのロールオーバーを不要にする継続先物を提供します。
ARKインベスト(ARK Invest)がブリッシュ(Bullish)株を買い増ししました。キャシー・ウッド氏率いるARKインベストは月曜日、暗号資産取引所ブリッシュへのエクスポージャーを拡大し、株価が過去最安値を更新する中で1,020万ドル(約16億円)相当の株式を買い増しました。暗号資産関連株の下落局面で投資を拡大しています。
暗号学者アダム・バック氏が量子コンピュータによる脅威について「20〜40年は安全」との見解を示しました。ビットコインは少なくとも今後20〜40年は量子的な脅威にさらされないと述べ、NIST承認のポスト量子標準を適時に採用できると付け加えました。一方、専門家の間では5〜10年以内のリスクを指摘する声もあります。
イーサリアムが3,000ドル(約46万2000円)割れとなり、8月の史上最高値4,956ドル(約76万4000円)から40%の調整が進みました。これを受け、強気相場が終わったのではないかとの警戒感が広がり、セクター全体でリスクオフのムードが強まりました。
XRP保有者の41.5%が含み損状態にあります。アナリストによれば、XRPが近く明確な反発を見せられなければ、さらに下落する可能性があります。XRPトレーダーは現物ETFの連続ローンチに期待しており、機関投資家による資金流入の可能性を見込んでいます。
暗号資産マイニング企業HIVEデジタル・テクノロジーズ(HIVE Digital Technologies)が、最新四半期で過去最高の売上高となったことで株価が上昇しています。年央のビットコイン上昇に乗ったマイニング企業の好調ぶりが続いています。
伝説的投資家スタンリー・ドラッケンミラー氏が運営するデュケイン・キャピタル(Duquesne Capital)が、ブロックチェーン融資企業フィギュア・テクノロジー・ソリューションズ(Figure Technology Solutions)の株式を120億円相当取得しました。
バイナンス(Binance)創業者CZ氏が米司法省への約6,650億円の罰金返還時に米国再投資を表明しました。トランプ大統領からの恩赦後、民主党議員からの腐敗疑惑批判に対し、感謝と慎重さのバランスを強調した発言として注目されています。
ソラナ保有企業フォワード・インダストリーズ(Forward Industries)がナスダック上場企業として、約367億円相当のSOLをコインベース・プライム(Coinbase Prime)に移動させました。売却か社内再編成かは不明です。
自称「IQ276」のキム・ヨンフン氏は、暗号資産ビットコインの価格は今後45日間で22万ドル(約3,388万円)に到達すると予想しました。明確な根拠は示していませんが、世界最高のIQ記録保持者として価格を予想すると主張しました。
楽天(Rakuten)が乃木坂46公演でNFTチケットのリセールを実施します。同社が運営するNFTチケットのリセールプラットフォーム「みんなのチケット」において、公式リセールを開始します。
JPYC株式会社がDigital Platformerと共同検討を開始し、地方金融機関との連携を目指しています。北國銀行と共に日本初の預金型ステーブルコイン「トチカ」の技術支援を手がけるデジタルプラットフォーマーと協力し、地域決済との相互連携を進めます。
おわりに
2025年11月18日は、ビットコインが89,550ドル(約1381万円)まで急落し、ETF投資家の平均損益がローンチ以来初めてマイナスに転じた歴史的な一日となりました。年初来の上昇分が完全に消失し、デッドクロス発生で市場センチメントは極度の恐怖に陥っています。
JVCEA小田会長の独占インタビューは、金商法移行の詳細を明らかにしました。分散性の高い銘柄は開示規制の対象外とし、取扱銘柄の大幅減少は想定されていないとの説明は、業界の懸念に一定の回答を示しています。分離課税実現には金商法移行が必要条件であり、規制の枠組みを理解した上での革新が求められています。
ストラテジーの8,178 BTC追加購入、エルサルバドルの1,000 BTC購入は、市場の急落局面での逆張り投資の典型例です。弱気相場でも長期的なビットコイン価値を信じる投資家が、売られ過ぎの水準を買いのチャンスと捉えています。クジラの買い増し加速と小口投資家の減少は、資産が大口投資家に集中する傾向を示しています。
トランプ一族の世界初トークン化ホテル開発は、ブロックチェーン技術を活用した不動産投資の新基準を打ち立てる可能性があります。小口投資の可能性、流動性の向上、透明性の確保、グローバルな投資機会など、トークン化不動産投資のメリットが実証される注目のプロジェクトです。
Aaveの高利回り貯蓄アプリは、DeFiの大衆化に向けた重要な一歩です。最大利回り6.5%、最大100万ドル残高保護、銀行入金対応など、従来の銀行預金を大幅に上回る利便性を提供します。ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、一般ユーザーへのDeFi普及が加速する可能性があります。
ヴィタリックのKohaku、グレースケールDOGE ETF、Cboe無期限先物、ARK投資、量子リスク議論など、市場の急落の中でも技術革新とインフラ整備は着実に進んでいます。イーサリアムのプライバシー強化、アルトコインETFの拡大、先物市場の充実、機関投資家の参入継続が、長期的な市場発展の基盤を形成しています。
市場は深刻な調整局面にあり、ETF投資家が初めて平均損失を抱える状況となりました。しかし、ストラテジーやエルサルバドルのような長期投資家の買い増し、Aaveのような新サービスの登場、トランプ一族のトークン化プロジェクトなど、市場の成長基盤は維持されています。
暗号資産投資には価格変動リスク、規制リスク、技術リスク、流動性リスクなど様々なリスクが伴います。特に現在のような急落局面では、冷静な判断が求められます。市場の恐怖に流されず、ファンダメンタルズと長期的な視点を持ち続けることが重要です。投資判断は自己責任で行い、余裕資金の範囲内で慎重に検討してください。市場の構造的な変化を見極めながら、冷静な投資判断を心がけましょう。
