ビットコイン98,000ドル割れ、ETF流出8.7億ドル、24万人清算で10.9億ドル損失。XRP ETF初日5,800万ドルで2025年最高、ルクセンブルク国家ファンドBTC投資 ──【11月14日暗号資産市場の動向まとめ】

2025年11月14日、暗号資産市場は急激な調整局面を迎えました。ビットコインは98,000ドル(約1511万円)を割り込み、今年5月以来の安値を記録しました。米ビットコイン現物ETFからは8.7億ドル(約1340億円)が流出し、過去2番目の規模となりました。過去24時間で24万人以上のトレーダーのポジションが清算され、総額10.9億ドル(約1679億円)の損失が発生しています。

一方、明るい話題も。カナリー・キャピタル(Canary Capital)2003年にアメリカで摘発された投資信託の不正取引スキャンダルの中心となったヘッジファンドのこと。特に、本来禁止されている遅延取引(Late Trading)と時間稼ぎ取引(Market Timing)を行い、巨額の利益を得ていたことで知られる。詳しく見る →のXRP現物ETFが米国で上場し、初日取引高5,800万ドル(約90億円)を記録。2025年に上場した900本超のETFの中で最強の初日パフォーマンスとなりました。

国家レベルでは、ルクセンブルク財務相が国家ファンドFSILがビットコインのみに1%配分したことを明言し、欧州初の国家レベルでのビットコイン投資となりました。チェコ中央銀行も歴史上初めてビットコインを試験購入しています。

本稿では、市場急落の背景、XRP ETF上場の意義、国家レベルのビットコイン投資、円建てステーブルコインJPYCの展開、ヴィタリック・ブテリン氏のトラストレス宣言特定の組織や人物に対する信頼(Trust)を必要とせず、ブロックチェーンや暗号学的な検証によってシステムの正当性や実行を保証する設計思想。詳しく見る →について詳しく解説します。

目次

ビットコイン98,000ドル割れ、ETF流出8.7億ドルで市場急落 ── 24万人清算、10.9億ドル損失

ビットコインは11月13日夕方から14日にかけて急落し、98,000ドル(約1511万円)を割り込みました。今年5月以来の安値を記録し、24時間での下落率は4.8%となりました。今月3度目となる10万ドル(約1542万円)割れです。

11月13日、米ビットコイン現物ETFは8.7億ドル(約1340億円)の純流出を記録し、過去2番目の規模となりました。イーサリアムETFも3日連続で流出しています。米政府閉鎖が終結したにもかかわらず、需要は回復していません。

Coinglassのデータによると、過去24時間で暗号資産先物市場で24万人以上のトレーダーの合計10.9億ドル(約1679億円)分のポジションが清算されました。清算額の内訳は、ロングポジションが3.92億ドル(約604億円)となっています。

急落の背景には複数の要因があります。FRB(連邦準備制度理事会)当局者が利下げに慎重な姿勢を示したことに加え、日本取引所グループ(JPX)が暗号資産トレジャリー企業に対して規制を示唆する報道が流れ、市場心理を冷え込ませました。AI銘柄の急落と米景気懸念も波及しています。

Wintermuteの最新レポートによると、ビットコインはナスダック指数アメリカのナスダック市場に上場する銘柄の動向を示す株価指数。特に、ナスダック総合指数は、市場全体の動きを反映する指数であり、ハイテク企業や成長企業の値動きを把握する上で重要。詳しく見る →と0.8の高相関を維持していますが、株高局面で反応が鈍く、下落時のみ敏感に連動する非対称性が見られます。この負のスキューは2022年以来最高水準で、通常は市場底値圏で見られるパターンです。資金の株式市場シフトと流動性低下が背景にあります。

ビットコインは株高に反応鈍く、下落時は増幅するという特徴が顕著になっています。ナスダック上昇局面でビットコインが恩恵を受けず、ハイテク株へ資金が集中している状況です。テザー(USDT)のドミナンス(支配率)特定の市場全体における、<strong>特定の銘柄や通貨が占める時価総額の割合</strong>を示す指標。特に暗号資産市場では、<strong>ビットコイン</strong>や<strong>イーサリアム</strong>が市場全体に占める比率を指し、市場の<strong>資金の流れやトレンド</strong>を分析するのに利用される。詳しく見る →が4月以来の最高水準に達しており、暗号資産市場全体のリスク回避傾向を浮き彫りにしています。

一方、Glassnode(グラスノード)のアナリストによれば、ビットコインのクジラ(大口保有者)による売り圧力は、暗号資産サイクルの後半局面で典型的に見られる動きで、過度に懸念する必要はないとしています。サイクル後期の通常パターンとの見方です。

専門家の間では、この急落がどこで止まるかについて見解が分かれています。一部のアナリストは健全な調整との見方を示しており、97,000ドル(約1496万円)から95,000ドル(約1464万円)がサポートラインになる可能性を指摘しています。

XRP現物ETF米国上場、初日取引高5,800万ドルで2025年最高記録 ── アルトコイン需要再燃

カナリー・キャピタルの暗号資産XRP現物ETF(ティッカー:XRPC)が11月13日に米国で上場しました。初日取引高は5,800万ドル(約90億円)を記録し、2025年に上場した900本超のETFの中で最強の初日パフォーマンスとなりました。

ブルームバーグのアナリストによると、この数字はソラナ現物ETFの初日取引高を上回り、アルトコイン需要の再燃を示しています。XRP ETFのローンチは2025年で最も注目される暗号資産ETFの一つとなる見通しです。

ただし、ETF上場当日にXRP価格は下落しました。XRP ETFは力強い取引高で発進したものの、価格は伸び悩んでいます。「ニュースで買って、事実で売る」という典型的なパターンが見られた可能性があります。

米国政府機関の再開により、さらなるアルトコインETFの承認も期待されています。XRP ETFの成功は、他のアルトコインETFの上場を後押しする可能性があります。機関投資家がビットコインとイーサリアム以外の暗号資産にもアクセスできる環境が整いつつあります。

ルクセンブルク国家ファンドがBTCのみに1%配分、欧州初 ── チェコ中銀も試験購入、台湾は報告書準備

ルクセンブルク財務相が、国家ファンドFSIL(Fonds souverain intergénérationnel du Luxembourg)が他の暗号資産ではなくビットコインのみに1%配分したことを明言しました。欧州初の国家レベルでのビットコイン投資となります。

FSILはETF経由でビットコインに投資しており、直接保有ではなく規制された投資手段を選択しています。ビットコインのみに限定した理由として、時価総額と流動性、規制の明確性が挙げられています。他の暗号資産は規制が不透明であることから、慎重なアプローチを取っています。

チェコの中央銀行は、歴史上初めてデジタル資産を購入したと発表しました。購入したのは暗号資産ビットコインで、他にも米ドルステーブルコインとトークン化預金も保有すると説明しています。中央銀行としてのデジタル資産保有の試験的な取り組みです。

台湾政府は、自国のビットコイン保有に関する報告書を準備しており、年内に提出する見込みです。米国に続いて国家ビットコイン準備金の創設につながる可能性があります。台湾の立法委員がビットコインを国家準備資産に組み入れる提案を行い、中央銀行が研究姿勢を示したことを受けた動きです。

国家レベルでのビットコイン投資が欧州とアジアで同時に進展しており、ビットコインが国家の準備資産として認識され始めていることを示しています。ルクセンブルクは金融センターとして知られ、同国の判断は他の欧州諸国にも影響を与える可能性があります。

円建てJPYC発行額2億円突破、CircleのStableFXパートナーに採択 ── 国際送金インフラで役割拡大

JPYC株式会社は、日本円建ステーブルコイン「JPYC」の累計発行額が2億円を突破したと発表しました。正式発行から約18日間での達成です。保有者数は約3.1万人に達し、JPYC EXの口座開設数も6,000件に到達しました。

JPYCが米Circle(サークル)のオンチェーンFX網「StableFX」で日本円パートナー通貨に採択されました。USDCとの即時交換に対応し、国際送金・決済インフラで円建てステーブルコインの役割が拡大する見通しです。

Circle StableFXは、機関投資家向けのオンチェーンFX基盤であり、ArcテストネットでCircle Partner Stablecoinsプログラムが稼働を開始しました。JPYCはこのプログラムのパートナー通貨として、USDC(米ドル)との即時交換が可能になります。

従来、異なる通貨建てのステーブルコイン間の交換には、一度暗号資産や法定通貨に戻す必要がありましたが、StableFXにより直接交換が可能になります。これにより、国際送金や決済のコストと時間が大幅に削減されます。

JPYCの発行額2億円突破と保有者数3.1万人は、日本国内でステーブルコインの実用化が進んでいることを示しています。CircleのStableFXパートナー採択は、JPYCが国際的な決済インフラの一部として認識されたことを意味します。

ヴィタリック・ブテリン、トラストレス宣言を発表 ── 分散化の原則強化、利便性優先の中央集権化に警鐘

イーサリアム(Ethereum)共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏らが「トラストレス宣言(Trustless Declaration)」を発表しました。検証可能性や検閲耐性など6つの核心要件を定義し、利便性優先による中央集権化リスクに警鐘を鳴らしています。

トラストレス宣言では、以下の6つの核心要件が定義されています:

  1. 検証可能性(Verifiability) – すべての取引と状態が独立して検証可能であること
  2. 検閲耐性(Censorship Resistance) – 誰もが差別なく取引できること
  3. プライバシー(Privacy) – ユーザーの金融活動が保護されること
  4. 分散性(Decentralization) – 単一障害点がないこと
  5. オープンソース(Open Source) – コードが公開され監査可能であること
  6. 相互運用性(Interoperability) – 異なるシステム間で機能すること

ブテリン氏は、トラストレスこそがイーサリアムの本質であり、信頼できる中立性を達成する唯一の方法だと強調しています。利便性を優先して中央集権的なソリューションを採用することは、ブロックチェーンの根本的な価値を損なうと警告しています。

この宣言の背景には、DeFi(分散型金融)やレイヤー2ソリューションの一部が、ユーザー体験の向上を理由に中央集権的な設計を採用する傾向があることへの懸念があります。ブテリン氏は、短期的な利便性のために長期的な分散化を犠牲にすべきではないと主張しています。

トラストレス宣言は、イーサリアムコミュニティが分散化の原則を再確認し、中央集権化への誘惑に抗するための指針となることが期待されています。

米エモリー大学、グレースケールBTC ETF投資を倍増 ── 5,200万ドル保有、機関投資家の強気継続

米ジョージア州のエモリー大学が、グレースケール(Grayscale)のビットコインETFへの強気姿勢を明確にしています。11月13日に提出された13F報告書によると、第3四半期にビットコインETFへの投資をさらに強化し、5,200万ドル(約80億円)相当を保有しています。投資額を倍増させました。

大学基金が暗号資産ETFへの投資を拡大していることは、機関投資家の間でビットコインが長期的な資産配分の一部として認識されていることを示しています。市場の短期的な変動にもかかわらず、機関投資家は強気姿勢を維持しています。

ARKインベスト(ARK Invest)もステーブルコインUSDCの発行企業サークル(Circle、ティッカー:CRCL)の株価が90ドルを下回る中、同社株の買い戻しを再開しました。キャシー・ウッド氏率いるARKインベストは、押し目買いの機会と判断しています。

グレースケールIPO申請、21シェアーズが1940年法準拠の暗号資産指数ETF上場

暗号資産資産運用企業グレースケールは、IPO(新規株式公開)登録届出書を米SECに提出しました。非公開でIPO申請を行ってから約4カ月後に公開されました。市場が構築されれば株式のトークン化も検討していく意向を示しています。

暗号資産取引所クラーケン(Kraken)は、米国での株式公開について急ぐ姿勢を見せていません。政策環境の改善や市場の回復を受けて他の暗号資産企業がIPOに動く中でも、同社は慎重な立場を維持しています。共同CEOは、適切なタイミングを見極めると述べています。

21シェアーズ(21Shares)が投資会社法(1940年法)準拠の暗号資産インデックスETF2本を米国で上場しました。TTOPとTXBCは、ビットコイン、イーサリアム、ソラナなど主要デジタル資産への分散投資を提供します。機関投資家向け「ゴールドスタンダード」のETF構造を採用しています。

1940年投資会社法の枠組みは、より厳しい規制と監督を伴いますが、機関投資家にとってはより信頼性の高い投資手段となります。21シェアーズの新しい暗号資産指数ETFは、デジタル資産への分散投資に対して、より伝統的なファンド監督体制へ移行する動きとみられます。

BNYメロンがステーブルコイン準備金MMF立ち上げ、Cash AppがUSDC対応へ

大手銀BNYメロン(BNY Mellon)がステーブルコイン発行者向けのマネー・マーケット・ファンド(MMF)「BSRXX」立ち上げを発表しました。ジーニアス法(GENIUS Act)対応の準備金ファンドとなります。

ステーブルコイン発行者は、発行額と同額の準備金を保有する必要があります。BNYメロンのMMFは、この準備金を運用するための安全で流動性の高い投資手段を提供します。ジーニアス法は米国のステーブルコイン規制法案であり、同法に準拠した準備金運用が求められています。

ジャック・ドーシー氏が率いるブロック(Block)は、モバイル決済アプリ「キャッシュアプリ(Cash App)」でステーブルコインの送受信が可能になると発表しました。2026年初頭にも実装される見込みです。5,600万人が利用する決済アプリがUSDCに対応することで、ステーブルコインの実用化が大きく進展します。

キャッシュアプリは、米国で広く利用されている決済アプリであり、個人間送金や株式投資、ビットコイン購入などの機能を提供しています。ステーブルコインのサポート追加により、より迅速かつ低コストな送金が可能になります。

その他の動向 ── 予測市場Polymarket×UFC、イーサリアム苦戦、リミックスポイント決算

分散型予測市場プラットフォームのPolymarket(ポリマーケット)は、世界最大の総合格闘技団体「UFC」およびその親会社TKOと独占的な公式予測市場として提携したと発表しました。スポーツ分野での予測市場の拡大を示しています。

イーサリアムは苦戦を続けています。イーサが4,000ドル(約61万6000円)を回復できずにいるのは、オンチェーン活動の弱まり、手数料の低下、そしてソラナなどのアルトコインETFとの競争が原因となっています。2025年末までに強気転換できるかは、4つの重要な要素にかかっています。

Glassnode(グラスノード)とKeyrock(キーロック)のデータによると、ビットコインとイーサリアムは「異なる貨幣圏」で動いているとの分析が示されました。ビットコインは貯蓄中心の資産へ、イーサリアムは高速なユーティリティ基盤へと変化しており、この乖離が構造的リスクだと評価するアナリストもいます。

リミックスポイント(Remixpoint)は11月14日、2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~9月30日)の連結決算を発表しました。保有する暗号資産の評価益が大きく寄与し、純利益は9.6倍となりました。ビットコイン評価益で業績が大幅に改善しています。

ネイルサロン「FASTNAIL」を運営するコンヴァノ(Convano)は11月13日、2026年3月期第2四半期決算を発表しました。暗号資産関連事業を含むインベストメント部門で黒字転換を達成しています。

おわりに

2025年11月14日は、暗号資産市場が急激な調整局面を迎えた一日となりました。ビットコインは98,000ドル(約1511万円)を割り込み、ETFから8.7億ドル(約1340億円)が流出、24万人以上が清算されて10.9億ドル(約1679億円)の損失が発生しました。FRBの慎重姿勢、JPXの規制示唆報道、AI銘柄急落と米景気懸念が重なり、市場心理を冷え込ませました。

一方、XRP現物ETFの米国上場は明るい話題です。初日取引高5,800万ドル(約90億円)で2025年最高記録を樹立し、アルトコイン需要の再燃を示しました。機関投資家のアルトコインへのアクセスが拡大しています。

ルクセンブルク国家ファンドのビットコインのみへの1%配分、チェコ中銀の試験購入、台湾の報告書準備は、ビットコインが国家の準備資産として認識され始めていることを示しています。欧州初の国家レベル投資は、他の欧州諸国にも影響を与える可能性があります。

円建てJPYCの発行額2億円突破とCircleのStableFXパートナー採択は、日本のステーブルコインが国際決済インフラの一部として認識されたことを意味します。国際送金・決済での役割拡大が期待されます。

ヴィタリック・ブテリン氏のトラストレス宣言は、利便性優先の中央集権化への警鐘です。分散化の原則を再確認し、ブロックチェーンの根本的な価値を守る指針となることが期待されます。

米エモリー大学のグレースケールBTC ETF投資倍増、ARKインベストのサークル株買い増しは、機関投資家が短期的な変動にもかかわらず強気姿勢を維持していることを示しています。

グレースケールのIPO申請、21シェアーズの1940年法準拠ETF上場、BNYメロンのステーブルコイン準備金MMF、Cash AppのUSDC対応は、暗号資産市場の成熟化とインフラ整備が進んでいることを示しています。

市場は急落と新たな展開が同時進行しています。短期的な価格変動に一喜一憂せず、国家レベルの投資、インフラ整備、機関投資家の動向という構造的な変化を見極めることが重要です。Glassnodeが指摘するように、クジラの売りはサイクル後期の通常パターンであり、過度に懸念する必要はないかもしれません。

暗号資産投資には価格変動リスク、流動性リスク、規制リスク、技術リスクなど様々なリスクが伴います。特に急激な価格変動時には、レバレッジ取引の清算リスクが高まります。投資判断は自己責任で行い、余裕資金の範囲内で慎重に検討してください。市場の変動を冷静に見守り、長期的な視点を持ち続けましょう。

※暗号資産投資には価格変動リスク、流動性リスク、規制リスク、技術リスク、清算リスクなど様々なリスクが伴います。特に急激な価格変動時には、レバレッジ取引のポジションが清算され、大きな損失を被る可能性があります。国家レベルの規制動向や機関投資家の動きも市場に大きな影響を与えます。投資判断は必ずご自身の責任で行い、余裕資金の範囲内で慎重に検討してください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

  • URLをコピーしました!
目次