2026年2月19日の暗号資産市場は、規制環境の劇的な軟化と、将来的な巨大な流動性流入の予測が相次ぎ、市場全体にポジティブな緊張感が漂う一日となりました。米国証券取引委員会(SEC / エスイーシー)のアトキンス委員長が開発者向けイベントで「イノベーション免除」という新たな方針を打ち出し、業界との対話姿勢を鮮明にしました。一方で、ビットコイン(BTC)の上値を抑える構造的要因の分析が進む中、米大手銀行からは数兆円規模の資金流入を予見するレポートも発表されています。本日は、規制の転換点から技術の進化、企業の財務戦略まで、市場の行く末を占う重要トピックを網羅してお届けします。
SECアトキンス委員長の「規制免除」宣言と新たな規制の枠組み
暗号資産業界にとって長年の懸案であった規制の不透明感に対し、SEC(エスイーシー)の新たなトップから革新的な具体案が提示されました。
イノベーション免除制度の導入
SEC(エスイーシー)のアトキンス委員長は「ETHDenver(イーサデンバー)」に登壇し、Web3(ウェブスリー)プロジェクトを支援するための「イノベーション免除」制度を導入する方針を発表しました。
- この制度は、革新的なプロジェクトが一定期間、厳格な証券規制の適用を免除されながらサービスを試行できる枠組みであり、米国内での技術開発を加速させる狙いがあります。
- また、アトキンス氏は商品先物取引委員会(CFTC / シーエフティーシー)との規則の調和を進める意向も示しており、縦割り行政による弊害の解消が期待されています。
- ただし、同氏は「規制の変更は価格を回復させるためのものではなく、あくまで公正な市場形成のためである」と釘を刺しており、透明性の向上に重きを置く姿勢を強調しました。
予測市場の法的地位確立に向けた動き
規制の明確化は予測市場の分野でも進んでいます。デジタル商工会議所(The Digital Chamber / デジタル・チェンバー)は、予測市場の支援を目的とした専門部会を設立しました。これは、CFTC(シーエフティーシー)が主導する規制の枠組みを後押しするものであり、ポリマーケット(Polymarket / ポリマーケット)などのプラットフォームが、州レベルの訴訟を乗り越え、法的に確立された金融サービスとして成長するための重要なステップとなります。
市場分析|1,500億ドルの流入予測とビットコインの「天井」
価格が心理的節目で足踏みを続ける中、マクロ経済の視点からは強力な下支え要因が指摘されています。
ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)による1,500億ドルの流入予測
米大手銀行のウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo / ウェルズ・ファーゴ)は、2026年の税還付に伴い、3月末までに最大1,500億ドル(約22.5兆円)が市場へ流入するとの予測を公表しました。
- この資金流入は、ビットコインや投機的なグロース株への買い圧力を強め、市場に一時的な「YOLO相場(You Only Live Once:人生一度きりのリスク志向相場)」をもたらす可能性があるとされています。
- また、ジェーピー・モルガン(JP Morgan / ジェーピー・モルガン)のアナリストは、ビットコインのボラティリティ(価格変動率)が低下し続けている現状について、機関投資家にとって長期的な魅力が高まっていると評価しており、中期的な底堅さを裏付けています。
ビットコインの上値を抑える「天井」の正体
一方で、ビットコイン(BTC)価格が7万ドル(約1,050万円)前後で停滞している理由についても分析が進んでいます。
- 現物ETF(上場投資信託)を通じた強力な買い需要がある一方で、同規模のスポット市場での売り圧力が継続しており、これが価格の「天井」として機能している状況です。
- 過去に10万ドル(約1,500万円)付近で購入した層の戻り売りや、マイナーによる利益確定が影響していると見られており、これらの供給が吸収されるタイミングが次なるブレイクアウトの鍵となります。
イーサリアムの進化とエコシステムの光と影
主要アルトコインであるイーサリアム(ETH)を巡っては、技術的な野心と、一方で一部の投資家による撤退という対照的な動きが見られました。
イーサリアム財団による2026年開発方針
イーサリアム財団(Ethereum Foundation / イーサリアム財団)は、2026年の包括的な開発方針を明らかにしました。
- 今年の重点課題として、レイヤー2(L2)間の相互運用性の向上、安全性の強化、そしてネットワーク全体の処理能力の大幅な引き上げが掲げられています。
- また、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin / ヴィタリック・ブテリン)氏は、予測市場が単なるギャンブルから、消費者の価格安定を実現する「ヘッジ手段」へと進化すべきであると提唱し、技術の社会的な役割の再定義を求めています。
ETHZilla(イーサジラ)の暴落とティール氏の撤退
一方で、イーサリアムを財務資産として保有する戦略を採っていたETHZilla(ETHZilla / イーサジラ)の株価が、ピークから97パーセント暴落するという衝撃的な事象が発生しました。
- これに伴い、著名投資家のピーター・ティール(Peter Thiel / ピーター・ティール)氏率いるファウンダーズ・ファンド(Founders Fund / ファウンダーズ・ファンド)が、保有していた全株式を売却し、完全に撤退したことが判明しました。
- 個別の企業の失敗はあったものの、機関投資家によるイーサリアム採用自体は主流化しつつあり、米・加の銀行大手によるビットマイン(Bitmine / ビットマイン)への投資急増も同時に確認されています。
企業の財務戦略とIPOブームの再来
暗号資産に関連する企業のIPO(新規株式公開)が、かつてない規模で加速しています。
2025年のIPO調達額は140億ドルに到達
最新の調査レポートによれば、暗号資産関連企業のIPOによる資金調達額は、2025年に前年比40倍となる140億ドル(約2.1兆円)に達しました。
- サークル(Circle / サークル)やビットゴー(BitGo / ビットゴー)などが既に上場を果たしているほか、2026年にはクラーケン(Kraken / クラーケン)やレジャー(Ledger / レジャー)といった業界の巨人がIPOを果たすとの期待が高まっています。
- 日本国内でも、SBI VCトレード(SBI VC Trade / エスビーアイ・ブイシートレード)が東証スタンダード上場の北紡(Hokubou / ホクボウ)と提携し、法人向けのビットコイン取引・保管サービスを開始するなど、上場企業による暗号資産活用の裾野が広がっています。
バイナンス(Binance)とAave(アーベ)のガバナンス
世界最大手の取引所バイナンス(Binance / バイナンス)のリチャード・テンCEOは、前CEOのCZ(チャンポン・ジャオ)氏が依然として「重大な決定」に関与し続けていることを明らかにしました。また、DeFi(分散型金融)大手のAave(アーベ / アーベ)は、ブランド収益の100パーセントをDAO(分散型自律組織)に還元する新戦略「Aave Will Win」を提案し、トークンホルダーへの利益還元を強化する方針です。
技術革新とその他の重要動向
AIとの融合や各国の税制など、業界の周辺環境も激しく動いています。
ロボット犬による自律決済の実証
サークル(Circle / サークル)とオープンマインド(OpenMind / オープンマインド)は、ロボット犬「Bits(ビッツ)」がUSDCを用いて、人間の介入なしに自律的に充電料金を支払うデモンストレーションを公開しました。これは「マシン経済(マシン・エコノミー)」の実現に向けた象徴的な一歩となります。
注目のニュース一覧
- オランダの未実現利益課税案:オランダ下院は、暗号資産を含む資産の未実現利益に対して36パーセントの税率を課す新税案を可決し、波紋を広げています。
- AI共著コードの脆弱性:DeFiプロトコルのムーンウェル(Moonwell / ムーンウェル)でAI(Claude 4.6)との共著コードに設定ミスが見つかり、約2.6億円が流出する事件が発生。AI活用開発のリスクが浮き彫りとなりました。
- 日本の分離課税移行への期待:片山さつき財務相による「20パーセント申告分離課税」への言及が、国内投資家のセンチメントを強く下支えしています。
おわりに
本日の市場は、SECの姿勢軟化やウェルズ・ファーゴによる巨額流入予測など、中長期的な成長を確信させるニュースが目立ちました。ビットコインの上値が重い現状は、まさに過去の負債を清算し、次なる飛躍に向けたエネルギーを蓄えている期間と言えるでしょう。イーサリアム財団による着実な開発ロードマップや、企業IPOの急増といった事実は、この業界が成熟のフェーズに入ったことを物語っています。
AI共著コードのミスや一部企業の暴落といったリスクは依然として存在しますが、それらを克服しながらインフラは着実に強固になっています。皆さんも、目先のチャートに一喜一憂せず、こうした制度や技術の「構造的な変化」を注視し、自身の投資戦略に反映させてみてください。明日もまた、激動の市場から確かな真実をお届けします。
止まない雨はありません。共にこのエキサイティングな市場の進化を追い続けていきましょう。
