ビットコイン6.6万ドルの正念場とゴールドマンの参入|メガバンクのステーブルコイン証券決済

2026年2月11日の暗号資産市場は、重要な経済指標の発表を目前に控え、価格の調整局面と金融インフラの歴史的な進展が同時に進行する一日となりました。ビットコイン(BTC)は心理的節目となる7万ドル(約1,050万円)を突破できず、6万6,000ドル(約990万円)台へと値を下げ、市場には警戒感が漂っています。一方で、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)によるアルトコイン関連資産の保有開示や、日本の3大メガバンクによるステーブルコインを用いた証券決済構想など、機関投資家主導の市場形成に向けた動きが加速しています。本日は、マクロ経済の緊張感と、着実に進む金融システムの変革を軸に、最新のニュースを整理してお届けします。

目次

市場動向とビットコインの「デジタル・ゴールド」論争

ビットコイン価格は週内の新安値を更新し、市場のナラティブ(物語)が大きな転換点を迎えています。

6万6,000ドル台への下落と雇用統計への警戒

ビットコインは水曜日、強気派が6万9,000ドル(約1,035万円)の抵抗帯を突破できなかったことで下落に転じ、一時6万6,500ドル(約997万円)付近まで値を下げました。本日22時30分に発表を控える米国の1月雇用統計は、今後の金融政策を占う重要指標であり、その結果次第ではさらなるボラティリティの拡大や暴落の懸念も指摘されています。アナリストの間では、現在の価格帯がサイクル上の底打ちとなるのか、あるいはさらなる下落の前触れとなるのか、意見が二分されています。

揺らぐ安全資産神話と機関投資家のエクスポージャー

グレースケール(Grayscale)の分析によれば、ビットコインが「デジタル・ゴールド」として機能するという従来のナラティブは、最近の値動きによって試練にさらされています。安全資産というよりも、高リスクのグロース資産に近い値動きを見せているとの指摘がある一方で、機関投資家の関心は依然として強固です。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は2025年第4四半期の報告書において、暗号資産関連の保有額が約23.6億ドル(約3,450億円)に達し、前四半期比で15パーセント増加したことを開示しました。ボラティリティの拡大により「買い疲れ」の兆候も見られますが、巨大資本の流入という中期トレンドは継続しています。

国内金融の変革とメガバンクのステーブルコイン構想

日本国内では、伝統的な金融機関が暗号資産技術を実経済に統合するための具体的な取り組みを開始しています。

3大メガバンクによるステーブルコイン証券決済

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクは、野村証券や大和証券らと連携し、ステーブルコインを用いて株式や債券を24時間いつでも購入できる仕組みを構築すると報じられました。2026年2月中に株式決済の実証実験を開始し、数年内の実用化を目指しています。これにより、法定通貨建てのステーブルコインを活用した即時決済が現実味を帯びており、日本の証券市場における効率性が飛躍的に向上することが期待されます。

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のアルトコイン進出

グローバル市場でも金融大手の参入が深化しています。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が、リップル(XRP)やソラナ(SOL)に関連するETF(上場投資信託)を初めて保有したことが明らかになりました。これまでビットコインやイーサリアム(ETH)に限定されていた大手銀行の関心が、より広範なアルトコインへと拡大していることは、市場の成熟を示す重要なシグナルです。

金融庁によるセキュリティ強化の方針案

こうした市場の拡大を受け、金融庁は2月10日、暗号資産交換業者向けのサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針案を公表しました。サイバー攻撃の増加を背景に、全事業者へのCSSA(暗号資産交換業サイバーセキュリティ自己診断)の義務化や、実践的な演習への参加促進が盛り込まれています。利用者の資産を保護するための「自助・共助・公助」の枠組みを強化する狙いです。

企業戦略と業界の成熟化に向けた提言

暴落や調整局面においても、業界のリーダーたちは長期的なビジョンを維持しています。

マイケル・セイラー氏の強気予測と保有戦略

ストラテジー(Strategy)社のマイケル・セイラー(Michael Saylor)会長は、約140億円分のビットコインを追加購入したことを背景に、今後4年から8年でビットコインのパフォーマンスはS&P500を上回ると予測しました。また、価格下落を受けて同社がビットコインの売却を余儀なくされるという市場の懸念に対し、「売却の懸念は根拠がない」と一蹴し、長期保有の姿勢を改めて強調しています。

投機の終焉と現実世界資産(RWA)の急成長

ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)CEOは、リスク回避的な機関投資家の参入により、個人投資家主導の「投機の時代」は終焉を迎えつつあると指摘しました。市場が成熟化する一方で、実物資産のトークン化は加速しています。特にトークン化コモディティ市場は、金の価格上昇を背景にわずか6週間で53パーセント拡大し、61億ドル(約9,150億円)を突破しました。

プラットフォームの動向と地政学的規制

主要なサービスプロバイダーの業績や、国際的な規制の動きにも注目が集まっています。

ロビンフッド(Robinhood)の決算とL2チェーン戦略

取引プラットフォームのロビンフッド(Robinhood)は、2025年第4四半期の決算を発表しましたが、暗号資産関連の収益が38パーセント減少したことなどが響き、市場予想を下回りました。一方で、同社はアービトラム(Arbitrum)上に構築したイーサリアムベースの独自レイヤー2チェーンのテストを開始しており、トークン化戦略をさらに推進する構えです。

欧州連合(EU)による対ロシア制裁の強化

地政学的な規制面では、欧州連合(EU)がロシアの制裁回避を阻止するため、同国の暗号資産事業者との取引を全面的に禁止する案を提案しました。デジタルルーブルや特定のステーブルコインも標的とされており、国際的な制裁網としての暗号資産規制が一段と厳格化する見通しです。

韓国ビッサム(Bithumb)の誤配布問題への調査

韓国では、取引所ビッサム(Bithumb)が実際には保有していない62万BTCを誤ってユーザー口座に入金させた問題を受け、金融当局による本格的な調査が開始されました。ずさんな管理体制が浮き彫りになっており、投資家保護の観点から厳しい処分が下される可能性があります。

その他の注目トピック

  • ビットバンク(bitbank)株式会社が、2月27日に開催される次世代金融カンファレンス「MoneyX 2026」のゴールドスポンサーに決定しました。
  • ソラナ(Solana)財団のリリー・リウ(Lily Liu)氏は、オープンでトークン化された資産に基づく「インターネット資本市場」の構築がブロックチェーンの真価であると提唱しました。
  • マイニング装置大手のカナン(Canaan)は、第4四半期の売上高が前年比121パーセント増と好調でしたが、市場のリスク回避姿勢により株価は下落しました。
  • スーパーボウルでの暗号資産広告が減少する中、特定の技術が広告枠を埋め尽くすことがバブル崩壊の予兆になるという過去のジンクスが、AI関連でも囁かれています。

おわりに

本日の市場は、ビットコイン価格の下落という短期的な痛みを伴いつつも、ゴールドマン・サックスによる投資対象の拡大や、日本のメガバンクによるインフラ構築といった、長期的な成長の礎が築かれた一日でした。数時間後に控える米雇用統計は、短期的には大きな荒波を呼ぶかもしれませんが、制度面での進展は着実に、暗号資産を伝統的な金融システムの一部へと変容させています。

このような局面では、目先の価格変動に一喜一憂せず、自身の投資戦略を見つめ直すことが求められます。市場は投機から実需へと着実にシフトしています。明日も、激動の市場から確かな情報をお届けします。共に冷静に、この市場の進化を見守っていきましょう。

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