2026年2月7日の暗号資産市場は、前日の絶望的な暴落から一転、歴史的な乱高下を記録する一日となりました。ビットコイン(BTC)は一時、2024年10月以来の安値となる60,000ドル(約1,000万円)の大台を割り込みましたが、そこから機関投資家による強力な押し目買いが入り、現在は11パーセント以上の急反発を見せ、65,000ドル(約1,085万円)を上回る水準まで回復しています。この劇的なV字回復の裏では、韓国の大手取引所での入力ミスに起因するフラッシュクラッシュや、中国政府による新たな禁止令など、市場を揺るがす重大な事件が相次いで発生しました。本日のまとめ記事では、これらの激動のニュースを詳細に解説します。
ビットコイン6万ドル割れからの急反発と「全面降伏」の予兆
ビットコインは一時、心理的節目である6万ドル(約1,000万円)を下回る場面がありましたが、安値圏での旺盛な需要に支えられ、力強い反発を見せています。この過程で発生した記録的な取引データとテクニカル的な視点を整理します。
ブラックロック(BlackRock)ETFの過去最高出来高
市場が極限の恐怖に包まれる中、ブラックロック(BlackRock)の現物ビットコインETF「IBIT」は、日次取引高で過去最高となる1.5兆円(約100億ドル)超えを記録しました。価格が急落する中でこれほどの流動性が発生したことは、大規模な投げ売り(パニック売り)が発生した一方で、底打ちを狙う巨大な資本が交錯したことを物語っています。一方で、この一週間でETFからは約1,080億円が純流出しており、短期的な資金の出入りが激化しています。
テクニカル指標が示す歴史的な「売られ過ぎ」
今回の急落により、ビットコインの価格は200日移動平均線を歴史的な水準で下回りました。これは新型コロナウイルス(COVID-19)ショック時やFTX(エフティーエックス)崩壊時を超える乖離幅であり、過去のデータに基づけば、相場が反転する可能性が極めて高い「全面的降伏(キャピチュレーション)」の局面にあると指摘されています。また、Google(グーグル)検索でも「Bitcoin」の検索ボリュームが急増しており、個人投資家の関心と恐怖がピークに達していることが伺えます。
韓国ビッサム(Bithumb)で10兆円規模の誤配布パニック
本日、市場のボラティリティを極限まで高めた最大の要因の一つは、韓国の大手取引所ビッサム(Bithumb)で発生した前代未聞のシステムミスでした。
62万BTCの誤送金とフラッシュクラッシュ
ビッサム(Bithumb)において、イベント報酬の配布作業中に重大な入力ミスが発生しました。本来は2,000ウォン(約220円)を付与する予定が、誤って合計62万BTC(約10兆円相当)をユーザーに配布してしまったと報じられています。この異常事態を受け、一部のユーザーが即座に売却に動いたことでフラッシュクラッシュが発生し、ビットコイン価格は一時55,000ドル(約918万円)付近まで急落しました。取引所側は異常検知から35分以内に取引を停止し、誤配布されたビットコインの99パーセント以上を回収したと発表していますが、この騒動は「FTX崩壊以来の大規模清算」を引き起こす一因となりました。
中国によるRWAトークン化とステーブルコインの包括的禁止
アジア市場に冷や水を浴びせたのは、中国政府による新たな規制強化の発表でした。
中国人民銀行(PBOC)の共同声明
中国人民銀行(PBOC)を含む8つの政府機関は、暗号資産関連活動の取り締まりをさらに強化する共同声明を発表しました。今回の措置では、現実世界資産(RWA)のトークン化および人民元建てステーブルコインの発行が明確に禁止されました。これまで一部で期待されていた「規制緩和」の可能性を打ち消す内容であり、中国国内におけるビットコインやイーサリアム(ETH)の取引、および関連事業が改めて違法であることが強調されました。これにより、アジア圏を拠点とするプロジェクトは戦略の抜本的な再考を余儀なくされています。
戦略保有企業の防衛線とマイニング業界の変革
ビットコインを大量保有する企業の動向は、投資家の不安を和らげる重要な材料となっています。
ストラテジー(Strategy)社の「8,000ドルの壁」
世界最大のビットコイン保有企業であるストラテジー(Strategy / 旧マイクロストラテジー)は、2025年度第4四半期の収支報告会を開催しました。フォン・リーCEOは、ビットコイン価格が8,000ドル(約133万円)まで下落し、かつその水準が5年から6年の長期にわたって維持されない限り、同社の転換社債の返済に問題は生じないと断言しました。現在、同社のビットコイン保有数は71.4万BTCまで拡大しており、短期間の暴落に動じない強固な財務体質をアピールしています。
メタプラネット(Metaplanet)の不変の戦略
日本のメタプラネット(Metaplanet)も、現在の価格下落の中でも「蓄積戦略に変更なし」との声明を改めて発表しました。同社の株価は直近で340円付近まで下落し、現在は含み損の状態にありますが、CEOは目標に向けた計画を推進していく姿勢を崩していません。
ビットファームズ(Bitfarms)のAIシフト
マイニング業界では、ビットファームズ(Bitfarms)が拠点。カナダから米国へ移転し、社名を「キール・インフラストラクチャ(Keel Infrastructure)」へ変更することを発表しました。同社はマイニングからAI(人工知能)コンピューティングへと事業の軸足をシフトさせており、この多角化戦略が投資家に好感されています。
米国ステーブルコイン政策とエコシステムの進化
規制環境が揺れる中、米国ではトランプ政権主導による新たな動きが見られます。
ホワイトハウスでの重要協議
ホワイトハウスは2026年2月11日に、ステーブルコインの利回り問題を巡り、銀行業界と暗号資産業界の代表者を集めた協議を再開する予定です。数カ月にわたる対立の解消を目指しており、市場構造法案の成立に向けた大きなターニングポイントになると期待されています。
ポリマーケット(Polymarket)のトークン発行準備
予測市場最大手のポリマーケット(Polymarket)を運営する企業が、米国で「POLY」および「$POLY」の商標を出願しました。これは以前から噂されていたネイティブトークンの発行とエアドロップに向けた具体的な準備と見られており、コミュニティの期待が高まっています。
日本円ステーブルコインJPYCの躍進
国内の日本円ステーブルコイン「JPYC」の総流通量が4億4,570万円を突破しました。年初の減少トレンドを脱却し、1人あたりの平均保有額も約5,400円まで増加するなど、日本国内におけるステーブルコインの実需が着実に根付いている証拠と言えます。
その他の注目トピック
- ロシア最大手銀行のスベルバンク(Sberbank)が、企業向けの暗号資産担保ローンの本格展開に向けた準備を開始しました。
- イーサリアム(ETH)は過去7日間で30パーセント下落し、年初来安値を更新する厳しい展開となっています。
- 世界最大級の取引所バイナンス(Binance)は、ユーザー保護基金(SAFU)において3,600BTCの購入を完了し、補償能力を強化しました。
- ビットワイズ(Bitwise)のホーガンCIOは、市場急落の要因を6つに分析し、底打ちの条件について見解を披露しました。
- NFTマーケットプレイスのマジック・エデン(Magic Eden)は、ディズニーやマーベルを手がけたチームと提携し、物理的なフィギュア開発を発表しました。
おわりに
本日は、ビットコインが一時1,000万円を割り込むというショッキングな場面から始まりましたが、その後の急反発やブラックロック(BlackRock)のETFに見られる圧倒的な取引高は、市場の底強さを改めて印象づけるものとなりました。韓国での前代未聞の誤配布騒動や中国の厳しい規制強化といった外部要因に揺さぶられながらも、ストラテジー(Strategy)社のように5年先、6年先を見据えた「長期の視点」を持つ重要性が浮き彫りになったと言えるでしょう。
価格の暴落は一時的な恐怖を植え付けますが、技術やインフラは着実に、より強固なものへと進化しています。目先の数字に惑わされず、各国の規制の進展や企業の長期的な動向に目を向けることが、この波乱の相場を生き抜く鍵となります。
相場の嵐はいつか止みます。その時に笑っていられるよう、冷静な判断を心がけていきましょう。明日も市場の真実をどこよりも早く、丁寧にお伝えしてまいります。
