2025年12月23日、日本の暗号資産市場で歴史的な瞬間が訪れました。ビットコイン財務企業メタプラネット(Metaplanet)が12月22日に開催した臨時株主総会で、5つの議案が全て承認されました。優先株式の定款変更や発行に対する承認により、212億円(約1.37億ドル)の資金調達が可決され、21万BTC(約187億ドル、約2.9兆円)取得計画の推進が決定しました。現在の保有量は約1,700BTCですが、今回の調達により約1,400BTC追加購入が可能となり、保有量は約3,100BTCへ拡大する見込みです。
米国では、商品先物取引委員会(CFTC)に新委員長マイケル・セリグ(Michael Selig)氏が就任しました。暗号資産推進派として知られ、トランプ政権のAI・暗号資産担当特別補佐官デービッド・サックス(David Sacks)氏は、SEC(証券取引委員会)のポール・アトキンス(Paul Atkins)委員長と合わせ「ドリームチーム」と称賛しました。デジタル資産規制の体制が整ったとの見方です。コインベース(Coinbase)は予測市場スタートアップThe Clearing Companyを買収し、2026年1月完了予定です。予測市場は2030年までに1兆ドル(約155兆円)規模に成長する見込みです。
ビットコイン市場では、弱気相場に関する議論が活発化しています。オンチェーン分析企業クリプトクオント(CryptoQuant)は、BTCが実は2月から弱気相場だった可能性を指摘しました。ETFの資金流入が価格を支えていたものの、実需の「需要の空白」が確認されています。原油価格が1バレル60ドルを割り込み、需要ショックへの懸念が高まっています。一方、資産運用会社VanEck(ヴァンエック)は、ハッシュレート低下を強気シグナルと分析しています。
日本では、JPYC(日本円ステーブルコイン)の実質流通量が3.6億円へ急伸し、10日間で20%増加しました。ネットスターズが羽田空港第3ターミナルでUSDC決済の実証実験を開始します。政府は地方債のデジタル証券化に向けた法案提出を目指しています。
本稿では、メタプラネット臨時株主総会の詳細、CFTC新委員長就任と米国規制動向、BTC弱気相場議論とクリプトクオント分析、国際規制動向と日本の取り組み、その他重要トピックについて解説します。
メタプラネット臨時株主総会、21万BTC計画始動──212億円調達可決で保有3,100BTC目指す、優先株式発行・定款変更承認、ノルウェー政府系ファンドも支持
ビットコイン財務企業メタプラネットが12月22日に開催した臨時株主総会で、5つの議案が全て承認されました。212億円(約1.37億ドル)の資金調達が可決され、21万BTC(約187億ドル、約2.9兆円)取得計画の推進が決定しました。ノルウェーの政府系ファンドも支持を表明しており、日本企業のビットコイン戦略が国際的に認められています。
メタプラネット臨時株主総会の詳細は以下の通りです。第一に、5議案全て承認です。12月22日に開催された臨時株主総会で、以下の5議案が全て承認されました。(1)定款一部変更の件(優先株式の発行に関する規定の追加)。(2)優先株式の発行に関する件。(3)取締役選任の件。(4)監査役選任の件。(5)役員報酬に関する件。特に注目を集めたのは、議案1と2の優先株式関連です。これにより、メタプラネットは優先株式を発行し、212億円規模の資金調達が可能となります。
第二に、212億円調達で21万BTC計画推進です。今回承認された資金調達により、メタプラネットは以下のビットコイン取得計画を推進します。現在の保有量は約1,700BTC(約1.5億ドル、約232億円、1BTC=8.8万ドルで計算)です。212億円(約1.37億ドル)の資金調達により、約1,400BTC(1BTC=8.8万ドルで計算、実際の購入価格により変動)を追加購入できます。調達後の保有量は約3,100BTCとなる見込みです。最終目標は21万BTC(約187億ドル、約2.9兆円)の取得です。現在の保有量から21万BTCまで到達するには、さらなる大規模な資金調達が必要ですが、今回はその第一歩となります。
第三に、優先株式の仕組みです。優先株式とは、普通株式に比べて配当や残余財産分配で優先権を持つ株式です。メタプラネットは、以下のメリットを活かして優先株式を発行します。(1)普通株式の希薄化を抑制:優先株式は議決権がない(または制限される)ケースが多く、既存株主の議決権比率が大きく希薄化しません。(2)投資家への魅力:配当や残余財産分配で優先権があるため、機関投資家などが投資しやすいです。(3)柔軟な資金調達:普通株式の増資に比べ、株価への影響を抑えながら資金調達できます。メタプラネットは、この仕組みを活用して大規模な資金を調達し、ビットコイン購入を加速させます。
第四に、ノルウェー政府系ファンドが支持です。前週報道された通り、ノルウェーのノルゲ銀行投資運用会社(Norges Bank Investment Management、運用資産約180兆円)は、メタプラネットのビットコイン戦略を支持し、臨時株主総会で賛成票を投じることを明らかにしていました。世界最大級の政府系ファンドが日本企業のビットコイン戦略を支持することは、以下の意義があります。(1)国際的な信任:メタプラネットの戦略が、機関投資家レベルで認められていることを示します。(2)他の機関投資家への影響:ノルウェー政府系ファンドの動きが、他の機関投資家の参入を促す可能性があります。(3)日本企業のBTC戦略の正当性:日本企業によるビットコイン財務戦略が、グローバルスタンダードとして確立しつつあります。
第五に、CEOのコメントです。メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)CEO(最高経営責任者)は12月23日、臨時株主総会での議案承認を受けて、今後の「沈黙」を破る動きに期待が高まっています。メタプラネットは、株主総会後も具体的な資金調達スケジュールや追加購入計画の詳細を明らかにしていません。市場では、近日中に正式な発表があると期待されています。ゲロヴィッチCEOは、ストラテジー(Strategy、旧マイクロストラテジー)のマイケル・セイラー(Michael Saylor)会長と同様の積極的なビットコイン購入戦略を掲げており、「日本版マイクロストラテジー」としての地位を確立しようとしています。
第六に、日本企業のBTC戦略の広がりです。メタプラネットに続き、以下の日本企業もビットコイン・イーサリアム財務戦略を推進しています。(1)エスクリプトエナジー(旧エス・サイエンス):1000BTC目標を掲げています。(2)TORICO(東証グロース上場):イーサリアム財務戦略を発表し、株価が連日ストップ高を記録しました。堀江貴文氏(ホリエモン)も評価し、國光宏尚氏のファンドを通じて投資に関与しています。(3)Def consulting(東証上場):イーサリアムトレジャリー戦略を推進中で、ビットポイントジャパンがP2P.org(世界最大級のステーキング企業)と連携してサポートしています。日本の税制改正(分離課税20%、2028年施行)が実現すれば、さらに多くの企業が参入する見込みです。
CFTC新委員長就任・米国規制動向『デジタル資産規制の体制整う』──セリグ氏とアトキンス氏を「ドリームチーム」、コインベース予測市場買収・JPモルガン暗号資産取引検討
米商品先物取引委員会(CFTC)に新委員長マイケル・セリグ氏が就任しました。暗号資産推進派として知られ、トランプ政権のAI・暗号資産担当特別補佐官デービッド・サックス氏は、SECのポール・アトキンス委員長と合わせ「ドリームチーム」と称賛しました。コインベースは予測市場企業を買収し、JPモルガンは機関投資家向け暗号資産取引を検討しています。
米国規制動向の詳細は以下の通りです。第一に、CFTC新委員長セリグ氏就任です。マイケル・セリグ氏が12月23日(月曜日)、CFTCの委員長に正式就任しました。約1年にわたり委員長代行を務めてきたキャロライン・ファム(Caroline Pham)氏は同日に退任しました。セリグ氏は暗号資産に対して友好的な姿勢を持つことで知られています。CFTCは、暗号資産デリバティブ(先物、オプションなど)を規制する機関です。ビットコイン先物、イーサリアム先物などの承認・監督を行います。セリグ氏の就任により、暗号資産デリバティブ市場の拡大が期待されます。新しいデリバティブ商品の承認が加速する可能性があります。
第二に、サックス氏「ドリームチーム」と称賛です。トランプ政権でAI・仮想通貨担当特別補佐官を務めるデービッド・サックス氏は、マイケル・セリグ氏のCFTC委員長承認とポール・アトキンス氏のSEC委員長就任を受け、「デジタル資産規制に必要な要素がほぼ出揃った」と主張しました。サックス氏によれば、トランプ大統領が「ドリームチーム」を作ったと評価しています。セリグ氏(CFTC委員長):暗号資産デリバティブを規制、友好的な姿勢。アトキンス氏(SEC委員長):暗号資産の証券性を判断、イノベーション重視の姿勢。両氏が協力することで、暗号資産規制が明確化され、業界の発展が促進されると期待されています。CLARITY法案(デジタル資産市場透明性法)が2026年1月に上院審議入りする見通しで、規制整備が大きく前進します。
第三に、コインベース予測市場企業買収です。米暗号資産取引所最大手コインベースが、予測市場スタートアップThe Clearing Companyを買収すると発表しました。2026年1月に完了予定です。予測市場とは、政治、スポーツ、経済などの将来の出来事に対して賭けを行う市場です。ポリマーケット(Polymarket)、カルシ(Kalshi)などが先行しています。2025年に急成長し、取引高は約400億ドル(約6.2兆円)規模へ拡大しました。コインベースは「Everything Exchange」構想を掲げており、暗号資産取引所から総合金融プラットフォームへの転換を目指しています。予測市場の買収により、以下のメリットがあります。(1)収益源の多様化。(2)ユーザーエンゲージメントの向上。(3)規制準拠のプラットフォーム提供。予測市場は2030年までに1兆ドル(約155兆円)規模に成長する見込みです。
第四に、JPモルガン機関投資家向け暗号資産取引検討かです。米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)が、機関投資家向けに暗号資産取引サービスの提供を検討していると、ブルームバーグが12月23日に報じました。JPモルガンは、以下の暗号資産関連サービスを既に提供しています。(1)JPMコイン:デジタル預金トークンで、機関投資家向けの決済・送金に利用されています。コインベースの「ベース(Base)」ブロックチェーンに移行し、24時間365日の即時決済を実現しました。(2)ブロックチェーンベースの決済システム:企業間決済などで活用されています。今回の報道によれば、JPモルガンは暗号資産の売買・保管サービスも検討しているとされます。機関投資家(年金基金、ヘッジファンド、資産運用会社など)向けに、ビットコイン、イーサリアムなどの取引を提供する可能性があります。JPモルガンのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEOは、過去にビットコインを批判していましたが、近年はトーンを軟化させています。機関投資家の需要が高まる中、サービス提供を検討するのは自然な流れです。
第五に、ブラックロック2025年の3大投資テーマにBTC ETF選定です。世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は、同社の2025年を振り返る投資総括「2025 investing wrapped」において、現物ビットコインETFが以下の3大投資テーマの1つだったと発表しました。(1)米財務省短期証券(Tビル)。(2)米大型テクノロジー株。(3)現物ビットコインETF。ブラックロックのIBIT(iシェアーズ・ビットコイン・トラスト)は、年間で約350億ドル(約5.4兆円)の資金流入を記録しました。価格が下落した局面でも資金流入が継続し、「市場の成熟の証」と評価されています。ブラックロックがビットコインETFを3大テーマに選定したことは、機関投資家による暗号資産採用が本格化していることを示しています。
第六に、トランプメディア451BTC追加購入です。ドナルド・トランプ大統領が筆頭株主を務めるトランプメディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology Group、TMTG)が、新たに451BTC(約4,030万ドル、約62億円)を取得しました。総保有額が10億ドル(約155億円)を超えたと報じられました。TMTGは第3四半期に5,480万ドル(約85億円)の純損失を計上しましたが、暗号資産戦略を継続しています。トランプ大統領は暗号資産推進派として知られており、自身の企業でもビットコイン投資を行っています。政治的なシンボルとしての意味合いもあります。
BTC弱気相場議論とクリプトクオント分析──実は2月から弱気だった?ETFが隠した需要空白、原油安が告げる需要ショック、VanEckはハッシュレート低下を強気視
ビットコイン市場では、弱気相場に関する議論が活発化しています。オンチェーン分析企業クリプトクオントは、BTCが実は2月から弱気相場だった可能性を指摘しました。ETFの資金流入が価格を支えていたものの、実需の「需要の空白」が確認されています。原油価格が1バレル60ドルを割り込み、需要ショックへの懸念が高まっています。
BTC弱気相場議論の詳細は以下の通りです。第一に、クリプトクオント:実は2月から弱気相場だったです。オンチェーン分析企業クリプトクオントは12月19日、ビットコイン市場が弱気相場(ベアマーケット)に入った可能性があるとの見方を示しました。価格は10月の史上最高値12万6,000ドル(約1,953万円)から約30%下落し、現在は8万8,000ドル(約1,364万円)前後で推移しています。クリプトクオントの分析によれば、主要な需要の波が完全に消失しており、実は2025年2月頃から弱気相場が始まっていた可能性があります。2月以降、価格は上昇しましたが、それはETFの資金流入によるもので、実需(個人投資家や企業の直接購入)は既に枯渇していました。ETFが価格を支えていたため、表面的には強気相場のように見えましたが、オンチェーンデータでは需要の空白が確認されています。4年サイクルは死んだ(4 year cycle is dead)との指摘もあり、従来のサイクル理論が通用しない可能性があります。
第二に、需要の空白とは何かです。「需要の空白」とは、以下の指標で確認されます。(1)取引所への純流入の減少:投資家が取引所にビットコインを送る量が減っています。売却意欲が低下していますが、同時に新規購入も減少しています。(2)クジラ(大口保有者)の動向:大口保有者による買い増しが停滞しています。(3)マイニングハッシュレートの低下:マイナーが撤退しており、ネットワーク全体の計算能力が低下しています。(4)オンチェーン活動の減少:ブロックチェーン上での取引件数が減少しています。これらの指標が示すのは、実需が枯渇し、市場参加者が減少しているということです。
第三に、原油安が告げる需要ショックです。ここ数ヶ月で原油価格が1バレル60ドル(約9,300円)を割り込み、同時にビットコインも10月の高値12万6,000ドルから約8万9,000ドル(約1,380万円)まで下落しています。ブレント原油とWTI原油は2021年初頭以来の安値を記録しました。原油価格の下落は、以下の要因によるものです。(1)世界経済の減速:需要が低下しています。(2)供給過剰:産油国が増産しています。(3)中国経済の不調:世界最大の原油輸入国である中国の需要が減少しています。原油安は、世界経済の需要ショック(需要の急減)を示唆しています。需要ショックは、リスク資産(暗号資産、株式など)にネガティブです。インフレ率が低下しているにもかかわらず、ビットコインが下落しているのは、需要ショックが背景にあると考えられます。通常、インフレ低下は利下げ期待を高め、リスク資産にポジティブですが、需要ショックがそれを上回っています。
第四に、VanEckはハッシュレート低下を強気視です。一方、資産運用会社VanEckは、ビットコインのハッシュレート(マイニングの計算能力)が12月15日までの1カ月間で4%低下したことについて、「歴史的に逆張りの強気シグナル」と分析しました。マイナーの撤退は、価格底打ちを示唆する強気シグナルとされています。過去のデータでは、ハッシュレート低下の180日後に77%の確率で価格上昇が見られました。マイナーは、ビットコイン価格が採算割れ水準まで下落すると、マイニングを停止します。マイナーの降伏(capitulation)が発生すると、売り圧力が減少し、価格が底打ちするケースが多いです。VanEckの分析では、現在のハッシュレート低下は、今後数カ月の値動きにとって前向きな兆候になり得るとしています。
第五に、ギャラクシー:インフレ調整後は10万ドル未達です。ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)の研究者は、インフレ調整後の購買力ベースで見ると、ビットコインは「真の10万ドル」に未達と指摘しました。名目価格では10万8,000ドルまで上昇しましたが、インフレ(物価上昇)を考慮した実質価格では、過去の最高値を更新していません。2021年の最高値6万9,000ドルをインフレ調整すると、現在の価値で約10万5,000ドル~11万ドルに相当します。つまり、実質的には過去最高値をわずかに更新した程度です。ただし、日本の投資家は円安効果により米国投資家を大きく上回る実質リターンを獲得しています。円キャリートレード(低金利の円で借り入れてビットコインに投資)の典型例です。円建てでは、ビットコインは大幅に上昇しています。
第六に、Fidelity:2026年は「冬」にです。前週報道された通り、フィデリティ(Fidelity)のユルゲン・ティマー氏は、ビットコインの4年サイクルが有効で、2026年は「冬(弱気相場)」になると予測しています。クリプトクオントの「4年サイクルは死んだ」という見方とは対照的です。市場では、4年サイクルが継続するのか、新しいサイクルに移行するのかで見解が分かれています。
国際規制動向と日本の取り組み──ガーナ合法化・インドネシア29社公表・英国2027年施行・EU承認、JPYC流通3.6億円・羽田USDC実証・地方債デジタル化
国際的に暗号資産規制の整備が進んでいます。ガーナが暗号資産取引を合法化し、インドネシアが認可事業者29社を公表しました。英国は2027年に新規則を施行し、EUはデジタルユーロのオフライン版・オンライン版を承認しました。日本では、JPYCの実質流通量が3.6億円へ急伸し、羽田空港でUSDC決済実証実験が開始されます。
国際規制動向と日本の取り組みの詳細は以下の通りです。第一に、ガーナが暗号資産取引を合法化です。ガーナは、暗号資産業界を対象とする規制枠組みを整備し、暗号資産取引を合法化しました。ガーナ中央銀行総裁が発表しました。アフリカでは、ナイジェリア、南アフリカ、ケニアなどが暗号資産の規制整備を進めています。ガーナの合法化により、アフリカ大陸での暗号資産普及が加速する可能性があります。送金手数料の削減、金融包摂(銀行口座を持たない人々への金融サービス提供)などのメリットが期待されます。
第二に、インドネシア認可事業者29社公表です。インドネシアの金融サービス庁(OJK)は、国内で合法的に事業を行うことが認められた暗号資産プラットフォーム29社のホワイトリストを公表しました。インドネシアは東南アジア最大の人口(約2.7億人)を持ち、暗号資産の潜在市場として注目されています。ホワイトリストの公表により、投資家は安全なプラットフォームを選択しやすくなります。無登録業者の取り締まりが強化され、市場の健全性が向上します。
第三に、英国2027年に新規則施行です。英財務省は、金融行動監視機構(FCA)の監督下にある一連の基準を満たすことを暗号資産関連企業に義務付ける規則を策定していると、英紙ガーディアン(Guardian)が報じました。2027年に施行予定です。英国は、Brexit(EU離脱)後、独自の金融規制を整備しています。暗号資産についても、EUとは異なる規制枠組みを構築します。企業は、マネーロンダリング対策、顧客資産の分別管理、システムのセキュリティなどの基準を満たす必要があります。規制強化により、英国が暗号資産ハブとしての地位を確立する狙いがあります。
第四に、EU理事会デジタルユーロ承認です。欧州連合理事会は、欧州中央銀行(ECB)によるデジタルユーロについて、オンライン版とプライバシー重視のオフライン版の双方での導入を承認しました。デジタルユーロは、ECBが発行するCBDC(中央銀行デジタル通貨)です。オンライン版は、インターネット経由で決済に利用されます。オフライン版は、インターネット接続なしで利用でき、プライバシーが重視されます。現金に近い使い勝手を実現します。EUは、ステーブルコインや暗号資産に対抗し、デジタルユーロの導入を進めています。2026年以降、実証実験が本格化する見込みです。
第五に、JPYC流通3.6億円へ急伸です。日本円ステーブルコイン「JPYC」の最新のオンチェーンデータによると、運営保有分を除いた実質的な総流通量が拡大基調を維持しています。現在のJPYC総発行量は約14億8,500万円です。運営保有分を除いた実質流通量は約3.6億円で、10日間で20%増加しました。JPYCは、以下の用途で利用が拡大しています。(1)企業のマーケティングインセンティブ(Xキャンペーンでの配布など)。(2)ECサイトでの決済(Triaカード経由でTikTok Shopなどで利用可能)。(3)個人間送金。累計発行額は5億円を突破し、口座開設数は1万件に達しています。JPYCは、企業導入と個人利用の両面で成長を続けており、30兆円規模への拡大を目指しています。
第六に、羽田空港でUSDC決済実証です。QRコード決済ゲートウェイを手がけるネットスターズは12月23日、米ドル建てステーブルコイン「USDC」を用いた店舗支払いのサービス実証を、羽田空港第3ターミナルで近日開始すると発表しました。QRコードを活用し、インバウンド旅行客がウォレットから直接支払い可能になります。加盟店は円建てで精算される仕組みです。訪日外国人観光客(インバウンド)は、自国の通貨を円に両替する手間が省けます。ステーブルコインを使えば、為替手数料が抑えられます。店舗側は、円建てで精算されるため、暗号資産の価格変動リスクを負いません。羽田空港での実証が成功すれば、全国の観光地へ展開される可能性があります。
第七に、政府地方債デジタル化へです。政府が地方自治体の発行する地方債について、デジタル証券(セキュリティ・トークン)での発行に向けた準備に乗り出す方針を固めたと12月23日、日経新聞が報じました。来年の法案提出を目指しています。デジタル証券とは、ブロックチェーン技術を活用して証券をトークン化したものです。地方債をデジタル証券化することで、以下のメリットがあります。(1)発行・管理コストの削減。(2)流通市場の活性化。(3)個人投資家の参入促進。日本政府は、デジタル証券市場の育成を成長戦略の一環として位置付けています。地方債のデジタル化が実現すれば、他の証券(株式、社債など)のデジタル化も加速する可能性があります。
その他重要トピック──バイナンス和解後も疑惑口座1.4億ドル移動・ストラテジーBTC購入見送り・ソラナKora発表・ビットマインETH400万突破・トークン化米国債50倍
バイナンスが2023年和解後も疑惑口座による1.4億ドル(約217億円)の取引を防げなかったとFTが報道しました。ストラテジーは7億4,800万ドル(約1,160億円)の株式売却でドル準備金を拡充しましたが、ビットコイン購入を見送りました。ソラナ財団が手数料代行サービス「Kora」を発表し、ビットマインのイーサリアム保有量が400万ETH(約118億ドル、約1.8兆円)を突破しました。
その他重要トピックの詳細は以下の通りです。第一に、バイナンス和解後も疑惑口座移動です。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、バイナンスが2023年に米国当局と総額43億ドル(約6,665億円)の和解を結び管理体制の強化を約束した後も、疑わしい口座による暗号資産の資金移動を継続的に認めていた可能性があると報じました。13の口座が2021年以降17億ドル(約2,635億円)を移動し、そのうち1.4億ドル(約217億円)は和解後の取引です。テロ資金調達との関連も指摘されています。バイナンスは「当時制裁対象ではなかった」と反論していますが、管理体制の実効性に疑問が呈されています。規制当局による監視が継続される見込みです。
第二に、ストラテジーBTC購入見送り・現金準備拡充です。ストラテジー(Strategy、旧マイクロストラテジー)は先週、約450万株の普通株を売却し、7億4,800万ドル(約1,160億円)の現金を調達しました。現金準備金を21億9,000万ドル(約3,395億円)に引き上げる一方、ビットコイン購入を一時停止しました。ストラテジーは、これまで積極的なビットコイン購入を続けてきましたが、今回は現金準備を優先しました。理由は以下が考えられます。(1)ビットコイン価格の下落:8万8,000ドル前後で推移しており、さらなる下落を待っている可能性があります。(2)資金調達の柔軟性確保:現金準備を厚くすることで、今後の購入タイミングを自由に選択できます。(3)市場の不透明感:年末年始の流動性低下や、マクロ経済の不透明感から、慎重な姿勢を取っています。ストラテジーの購入停止は、市場にとってネガティブなシグナルと受け止められています。
第三に、ソラナ財団Kora発表です。ソラナ財団が12月23日に発表した「Kora(コラ)」により、ユーザーはSOL(ソラナの基軸通貨)を保有せずにUSDCなど任意のトークンで取引手数料を支払えるようになります。従来、ソラナブロックチェーン上で取引を行うには、手数料としてSOLを保有する必要がありました。新規ユーザーにとって、SOLを事前に購入する手間がハードルとなっていました。Koraは、手数料代行の仕組みです。ユーザーがUSDCで支払いを行うと、Koraが自動的にUSDCをSOLに変換し、手数料を支払います。ユーザーは、SOLを意識せずに取引できます。この仕組みにより、ソラナの利便性が大幅に向上し、新規ユーザーの参入が促進されます。
第四に、ビットマインETH400万突破です。イーサリアムを中核資産として保有するトレジャリー企業のビットマイン(Bitmine)が、最新の4,000万ドル(約62億円)規模の購入を受け、イーサリアム保有量が今週400万ETH(約118億ドル、約1.8兆円、1ETH=2,960ドルで計算)を超えました。ビットマインは、メタプラネットのイーサリアム版とも言える企業です。TORICOと同様に、イーサリアム財務戦略を推進しています。イーサリアムは、ステーキング報酬(年利約3-5%)を得られるため、保有するだけで収益が発生します。DeFi(分散型金融)の中心であり、レンディング(貸付)やイールドファーミング(利回り獲得)などで運用益を得られます。ビットマインの積極的な買い増しは、イーサリアムの将来性への強い信念を示しています。
第五に、トークン化米国債50倍に急拡大です。トークン化された米国債は、ニッチな実験から70億ドル(約1,085億円)市場へ成長しました。2024年以降、約50倍に急拡大しています。機関投資家によるオンチェーン利回り獲得の主要な推進力となりつつあります。トークン化米国債とは、米国債をブロックチェーン上でトークン化したものです。24時間365日取引可能で、決済が即時に行われます。少額から投資でき、分割保有が容易です。ステーブルコインと組み合わせて、効率的な運用ができます。機関投資家は、暗号資産市場でリスクを取らずに安定した利回りを得る手段として、トークン化米国債を活用しています。市場規模は今後さらに拡大する見込みです。
第六に、Securitizeトークン化株式オンチェーン取引です。トークン化証券プラットフォームを手がけるSecuritize(セキュリタイズ)は、2026年第1四半期に、上場株式をネイティブにオンチェーンで取引できる、初の規制準拠プラットフォームを立ち上げると発表しました。「本物の」トークン化された株式を、ブロックチェーン上で直接取引できます。従来のトークン化株式は、実際の株式の「裏付け」として発行されるケースが多く、完全にオンチェーンではありませんでした。Securitizeは、規制当局の承認を得て、完全にオンチェーンでの取引を実現します。株式市場のブロックチェーン化が加速する可能性があります。
おわりに
2025年12月23日、日本の暗号資産市場で歴史的な瞬間が訪れました。メタプラネットが臨時株主総会で5議案全てを承認し、212億円の資金調達が可決されました。21万BTC取得計画の推進が決定し、現在の約1,700BTCから約3,100BTCへの拡大が見込まれます。ノルウェーの政府系ファンドも支持を表明しており、日本企業のビットコイン戦略が国際的に認められています。メタプラネットに続き、エスクリプトエナジー、TORICO、Def consultingなど日本企業による暗号資産投資が広がっています。
米国では、CFTC新委員長にマイケル・セリグ氏が就任し、トランプ政権のデービッド・サックス氏はSECのポール・アトキンス委員長と合わせ「ドリームチーム」と称賛しました。デジタル資産規制の体制が整い、CLARITY法案が2026年1月に審議入りする見通しです。コインベースは予測市場企業を買収し、JPモルガンは機関投資家向け暗号資産取引を検討しています。ブラックロックは2025年の3大投資テーマにビットコインETFを選定し、機関投資家による暗号資産採用が本格化しています。
ビットコイン市場では、弱気相場に関する議論が活発化しています。クリプトクオントは、BTCが実は2月から弱気相場だった可能性を指摘し、ETFの資金流入が価格を支えていたものの実需の「需要の空白」が確認されています。原油価格が1バレル60ドルを割り込み、需要ショックへの懸念が高まっています。一方、VanEckはハッシュレート低下を強気シグナルと分析し、ギャラクシーはインフレ調整後は10万ドル未達と指摘しました。Fidelityは2026年を「冬」と予測しており、市場では4年サイクルの有効性について見解が分かれています。
国際的には、ガーナが暗号資産取引を合法化し、インドネシアが認可事業者29社を公表しました。英国は2027年に新規則を施行し、EUはデジタルユーロのオフライン版・オンライン版を承認しました。日本では、JPYCの実質流通量が3.6億円へ急伸し、10日間で20%増加しました。羽田空港でUSDC決済の実証実験が開始され、政府は地方債のデジタル証券化に向けた法案提出を目指しています。
その他、バイナンスが和解後も疑惑口座の資金移動を防げなかったとの報道、ストラテジーのビットコイン購入見送り、ソラナ財団のKora発表、ビットマインのイーサリアム保有400万ETH突破、トークン化米国債の50倍急拡大など、重要な動きが続いています。
市場は、機関投資家の本格参入(メタプラネット・米国規制整備・ブラックロック)と弱気相場懸念(クリプトクオント・原油安)という光と影が交錯する状況です。短期的には需要の空白と流動性低下に警戒が必要ですが、長期的には規制明確化と機関投資家採用により市場が成熟に向かう過程にあります。メタプラネットの212億円調達可決は、日本企業による暗号資産投資が本格化していることを示しています。投資家は、短期的な価格変動に一喜一憂せず、ファンダメンタルに基づいた長期的な視点を持つことが重要です。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行ってください。良い一日をお過ごしください。
