リップル・サークルなど5社、連邦信託銀行免許条件付き承認『ステーブルコイン連邦規制監督へ』──テザー、ユベントス買収提案10億ユーロ・株式トークン化検討。ソラナ『ファイアダンサー稼働100万TPS目指す』ジュピター7大アップグレード。インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコイン入金開始──【12月13日暗号資産市場まとめ】

2025年12月13日、米通貨監督庁(OCC)がリップル(Ripple)、サークル(Circle)、ビットゴー(BitGo)、フィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)、パクソス(Paxos)の5社に連邦認可信託銀行(National Trust Bank)免許の条件付き承認を付与しました。ステーブルコイン発行企業を連邦規制監督下に置く重要な一歩となります。米国の暗号資産業界が銀行システムに正式に統合される歴史的な転換点です。

ステーブルコイン発行企業テザー(Tether)が、イタリアサッカー名門ユベントス(Juventus)買収を提案しました。エクソール(Exor)保有の65.4%株式を現金取得後、残る株式も公開買付けし、10億ユーロ(約1,650億円)の投資を準備しています。さらに、ブルームバーグ(Bloomberg)によると、テザーは最大200億ドル(約3兆1,000億円)調達後の流動性確保のため、自社株のトークン化や買い戻しを検討していることが報じられました。

ソラナ(Solana)の新しいバリデータ・クライアント「ファイアダンサー(Firedancer)」が3年間の開発を経てついにメインネット稼働を実現しました。1秒あたり100万トランザクション(TPS)の処理を目指しています。ソラナ上のDEX(分散型取引所)アグリゲーター「ジュピター(Jupiter)」が、レンディングのオープンソース化、ステーブルコインジュプUSD(JupUSD)ローンチ、トークン検証システムVRFD拡張など7つの包括的アップグレードを発表しました。

オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループ(Interactive Brokers Group)が、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能にしました。対象となる米国顧客の一部から段階的に導入されています。伝統金融と暗号資産の統合が加速しています。

本稿では、リップル・サークルなど5社の連邦信託銀行免許、テザー動向、ソラナエコシステム、伝統金融参入、ムーディーズ格付け、その他重要トピックについて解説します。

目次

リップル・サークルなど5社、連邦信託銀行免許条件付き承認『ステーブルコイン連邦規制監督へ』──銀行システム正式統合、歴史的転換点

米通貨監督庁がリップル、サークル、ビットゴー、フィデリティ・デジタル・アセッツ、パクソスの5社に連邦認可信託銀行免許の条件付き承認を付与しました。ステーブルコイン発行企業を連邦規制監督下に置く重要な一歩となります。米国の暗号資産業界が銀行システムに正式に統合される歴史的な転換点です。

連邦信託銀行免許の詳細は以下の通りです。第一に、条件付き承認の意義です。OCCは12月12日、5つのデジタル資産企業による国法信託銀行(National Trust Bank)免許申請を条件付きで承認しました。国法信託銀行は、連邦政府から認可を受けた信託業務を行う金融機関で、OCCの監督下に置かれます。預金受入れはできませんが、資産保管(カストディ)、信託管理、決済サービスなどを提供できます。ステーブルコイン発行企業が国法信託銀行になることで、連邦規制監督下での事業が可能になり、信頼性が大幅に向上します。

第二に、承認を受けた5社の概要です。サークルはUSDC(USD Coin)を発行する世界第2位のステーブルコイン発行企業で、時価総額は約420億ドル(約6兆5,100億円)です。パクソスはPAXG(金裏付けトークン)やBUSD(Binance USD)などを発行しています。リップルは国際送金に特化したXRPを発行し、ODL(On-Demand Liquidity)サービスを提供しています。ビットゴーは機関投資家向けカストディサービスを提供し、Wrapped Bitcoin(WBTC)の発行企業でもあります。フィデリティ・デジタル・アセッツは、世界最大級の資産運用会社フィデリティの暗号資産部門で、機関投資家向けカストディを提供しています。

第三に、ステーブルコイン連邦規制監督の重要性です。これまでステーブルコイン発行企業は、州レベルのライセンス(ニューヨーク州のBitLicenseなど)で規制されていましたが、連邦レベルの統一的な規制枠組みはありませんでした。国法信託銀行免許により、連邦政府の監督下で事業を行うことになり、以下のメリットがあります。(1)信頼性向上:連邦政府の監督下にあることで、投資家や企業の信頼が向上します。(2)全米展開:州ごとのライセンス取得が不要になり、全米で統一的にサービスを提供できます。(3)規制の明確化:連邦レベルの明確な規制枠組みにより、コンプライアンスコストが削減されます。(4)機関投資家参入:連邦規制監督下のステーブルコインは、機関投資家が投資しやすくなります。

第四に、条件付き承認の条件です。OCCは条件付き承認を行っており、各社は一定の条件を満たす必要があります。具体的な条件は公表されていませんが、一般的には以下が含まれます。(1)資本金要件:十分な資本金を保有すること。(2)準備資産管理:ステーブルコインの裏付けとなる準備資産を適切に管理すること。(3)監査体制:独立した監査機関による定期監査を受けること。(4)コンプライアンス体制:AML(マネーロンダリング対策)やKYC(顧客確認)の体制を整備すること。(5)リスク管理:市場リスク、流動性リスク、システムリスクなどを適切に管理すること。

第五に、暗号資産業界への影響です。5社の国法信託銀行化により、ステーブルコイン市場が大きく変化します。連邦規制監督下のステーブルコインは、企業間決済、国際送金、給与支払いなど、幅広い用途で利用されるようになります。銀行や決済事業者も、連邦規制監督下のステーブルコインであれば安心して取り扱えます。これにより、ステーブルコインの普及が加速します。一方、連邦規制を受けないステーブルコイン(テザーUSDTなど)との競争が激化します。USDTは世界最大のステーブルコインですが、連邦規制を受けていないため、信頼性で劣る可能性があります。

第六に、米SECのトークン化株式暗黙承認との連携です。米証券取引委員会(SEC)は、一部の株式およびその他の証券がトークン化され、ブロックチェーン上で取引されることを暗黙的に承認しました。世界最大の証券決済システムを運営するDTCC(米預託信託決済機構)のトークン化サービス承認により、株式のトークン化が本格化します。連邦規制監督下のステーブルコインと、SEC承認のトークン化株式が組み合わさることで、ブロックチェーン上で株式を24時間365日取引し、ステーブルコインで即時決済するエコシステムが実現します。

テザー、ユベントス買収提案10億ユーロ・株式トークン化検討『時価総額5,000億ドル目指す』──多角化戦略加速

ステーブルコイン発行企業テザーが、イタリアサッカー名門ユベントス買収を提案しました。エクソール保有の65.4%株式を現金取得後、残る株式も公開買付けし、10億ユーロ(約1,650億円)の投資を準備しています。さらに、ブルームバーグによると、テザーは最大200億ドル(約3兆1,000億円)調達後の流動性確保のため、自社株のトークン化や買い戻しを検討していることが報じられました。

テザー動向の詳細は以下の通りです。第一に、ユベントス買収提案です。テザーは、イタリアセリエAの名門サッカークラブ、ユベントスの買収を提案しました。ユベントスは現在、イタリアの名門財閥エクソールが65.4%の株式を保有していますが、近年は財務状況が悪化しており、売却を検討していると報じられています。テザーは、エクソール保有の65.4%株式を現金で取得した後、残る株式も公開買付け(TOB)で取得し、完全子会社化する計画です。総投資額は10億ユーロ(約1,650億円)に達する見込みです。テザーは、USDTの発行で巨額の利益を上げており、その資金を多角化投資に振り向けています。サッカークラブ買収により、ブランド価値向上やグローバル展開を加速させる狙いがあります。

第二に、株式トークン化検討の背景です。ブルームバーグの報道によると、テザーは最大200億ドル(約3兆1,000億円)調達後の流動性確保のため、自社株のトークン化や買い戻しを検討しています。テザーは非上場企業で、株式の流動性が低い状況です。大規模な資金調達を行った後、初期投資家やベンチャーキャピタルに流動性を提供する必要があります。株式をトークン化し、ブロックチェーン上で取引可能にすることで、24時間365日取引でき、流動性が大幅に向上します。また、自社株買いを行うことで、株価を支え、投資家に利益還元する狙いもあります。

第三に、時価総額5,000億ドル目指す戦略です。テザーは、ステーブルコインUSDTの時価総額を現在の約1,400億ドル(約21兆7,000億円)から5,000億ドル(約77兆5,000億円)に拡大することを目指しています。USDT発行により得られる利益(準備資産の運用益)は年間数十億ドルに達すると推定されており、その資金を多角化投資に振り向けています。サッカークラブ買収、AI(人工知能)分野への投資、資源開発など、幅広い分野に投資を行っています。ステーブルコイン事業だけでなく、総合的な金融・投資企業への転換を図っています。

第四に、規制リスクへの対応です。テザーは、連邦信託銀行免許を取得していないため、連邦規制監督下にありません。サークルやパクソスが連邦規制監督下に入ることで、USDCなど競合ステーブルコインの信頼性が向上し、USDTのシェアが低下する可能性があります。テザーは、多角化投資により、ステーブルコイン事業への依存度を下げ、規制リスクに対応しています。また、ユベントス買収など知名度の高い投資により、ブランド価値を向上させ、信頼性を高める狙いもあります。

ソラナ『ファイアダンサー稼働100万TPS目指す』ジュピター7大アップグレード──オンチェーン金融強化、ステーブルコインジュプUSDローンチ

ソラナの新しいバリデータ・クライアント「ファイアダンサー」が3年間の開発を経てついにメインネット稼働を実現しました。1秒あたり100万トランザクション(TPS)の処理を目指しています。ソラナ上のDEXアグリゲーター「ジュピター」が、レンディングのオープンソース化、ステーブルコインジュプUSDローンチ、トークン検証システムVRFD拡張など7つの包括的アップグレードを発表しました。

ソラナエコシステムの詳細は以下の通りです。第一に、ファイアダンサー稼働です。ソラナの新しいバリデータ・クライアント「ファイアダンサー」が、3年間の開発を経てメインネットで稼働を開始しました。バリデータ・クライアントは、ブロックチェーンのトランザクションを検証し、ブロックを生成するソフトウェアです。これまでソラナは単一のバリデータ・クライアント(Agave)のみで運用されていましたが、ファイアダンサーの稼働により複数クライアント体制となり、分散性とセキュリティが向上します。ファイアダンサーは、Jump Crypto(ジャンプ・クリプト)が開発した高性能クライアントで、1秒あたり100万トランザクション(TPS)の処理を目指しています。現在のソラナは約65,000TPSですが、ファイアダンサーにより15倍以上の性能向上が期待されています。

第二に、ジュピター7大アップグレードです。ソラナ上のDEXアグリゲーター「ジュピター」が、以下の7つの包括的アップグレードを発表しました。(1)レンディングのオープンソース化:ジュピターのレンディングプロトコルをオープンソース化し、開発者コミュニティが改良・拡張できるようにします。(2)ステーブルコインジュプUSD(JupUSD)ローンチ:ジュピター独自のステーブルコインを発行します。DeFiエコシステム内での利用を促進します。(3)トークン検証システムVRFD拡張:詐欺トークンや模倣トークンを識別し、ユーザーを保護するシステムを拡張します。(4)DEX機能強化:取引速度の向上、手数料の最適化、流動性の向上などを実現します。(5)永続契約(Perpetual Contracts)改善:レバレッジ取引の機能を強化します。(6)ガバナンスシステム改革:コミュニティによる意思決定プロセスを改善します。(7)クロスチェーン対応:他のブロックチェーンとの相互運用性を強化します。

第三に、オンチェーン金融強化の意義です。ジュピターのアップグレードにより、ソラナ上のDeFi(分散型金融)エコシステムが大幅に強化されます。レンディング、ステーブルコイン、DEX、永続契約など、伝統的金融に匹敵するサービスがブロックチェーン上で提供されます。特に、独自ステーブルコインジュプUSDの発行により、ソラナエコシステム内での決済・送金が円滑になり、DeFiの利用が加速します。トークン検証システムVRFDの拡張により、ユーザーは安心してトークン取引を行えるようになります。

インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコイン入金開始──ブラジルイタウBTC 3%配分推奨、伝統金融参入加速

オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能にしました。対象となる米国顧客の一部から段階的に導入されています。ブラジルの金融機関イタウ(Itaú)がポートフォリオの1%から3%をビットコインに配分するよう推奨しました。米国のバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)やモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)も最大4%の配分を提案しています。

伝統金融参入の詳細は以下の通りです。第一に、インタラクティブ・ブローカーズのステーブルコイン入金です。ブルームバーグが報じたところによると、オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能にしました。対象となる米国顧客の一部から段階的に導入されており、将来的には全顧客に拡大する見込みです。インタラクティブ・ブローカーズは、180万人以上の顧客を抱える大手オンライン証券で、機関投資家やアクティブトレーダーに人気があります。ステーブルコイン入金により、従来の銀行送金に比べて迅速・低コストで資金を入金できます。国際送金の場合、数日かかることもありますが、ステーブルコインであれば数分で完了します。証券会社がステーブルコインを受け入れることで、暗号資産と伝統金融の統合が加速します。

第二に、ブラジルイタウBTC 3%配分推奨です。ブラジルの金融機関イタウが、ポートフォリオの1%から3%をビットコインに配分するよう推奨しました。イタウはブラジル最大の民間銀行で、資産規模は約5,000億ドル(約77兆5,000億円)です。同行のリサーチ部門は、ビットコインが長期的に価値を保存する資産として機能すると分析し、ポートフォリオの一部に組み入れることを推奨しました。特に、インフレ率が高いブラジルでは、法定通貨の価値が減少しやすく、ビットコインがインフレヘッジとして注目されています。

第三に、米銀行の配分提案です。米国のバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーも、富裕層顧客向けにビットコインへの最大4%の配分を提案しています。バンク・オブ・アメリカは資産規模1.7兆ドル(約264兆円)、モルガン・スタンレーは資産規模1.2兆ドル(約186兆円)の大手銀行です。これまで銀行は暗号資産に対して慎重でしたが、ビットコイン現物ETFの承認や、規制整備の進展を受けて、富裕層顧客へのビットコイン投資助言を開始しています。ただし、配分比率は控えめで、ポートフォリオの1-4%程度に留めることを推奨しています。

第四に、バンガード幹部の慎重姿勢です。一方、バンガード(Vanguard)の責任者ジョン・アメリクス(John Ameriks)氏がビットコインを人気玩具ラブブに例え、投機的資産と指摘しました。同社は暗号資産ETF取引を解禁しましたが、独自商品提供や投資助言は行わない方針を維持しています。バンガードは世界最大級の資産運用会社ですが、創業者ジョン・ボーグル(John Bogle)氏の哲学を引き継ぎ、長期・分散・低コストのインデックス投資を推奨しています。ビットコインは価格変動が大きく、長期的な価値保存に適さないとの見方です。バンガードの慎重姿勢は、伝統的資産運用会社の中でも保守的な立場を示しています。

ムーディーズ、ステーブルコイン格付けフレームワーク提案『準備資産評価』──信用力に基づき格付け付与、市場成熟化

米大手格付け会社ムーディーズ(Moody’s)がステーブルコインを評価するための新たなフレームワークを提案しました。ステーブルコインを裏付ける準備資産プールの各適格資産タイプを評価し、信用力に基づいて格付けを付与します。ステーブルコイン市場の成熟化と、機関投資家による採用促進が期待されます。

ムーディーズ格付けフレームワークの詳細は以下の通りです。第一に、格付けフレームワークの概要です。ムーディーズは、ステーブルコインを評価するための新たなフレームワークを提案しました。ステーブルコインを裏付ける準備資産プール(Reserve Assets Pool)を分析し、以下の要素を評価します。(1)資産タイプ:準備資産が現金、国債、社債、コマーシャルペーパーなど、どのような資産で構成されているか。(2)資産の質:各資産の信用力、流動性、価格変動リスクなど。(3)分散度:準備資産が特定の資産に集中していないか。(4)管理体制:準備資産の管理・保管体制が適切か。(5)監査体制:独立した監査機関による定期監査が行われているか。これらの要素を総合的に評価し、AAAからCまでの格付けを付与します。

第二に、格付けの意義です。ムーディーズの格付けにより、ステーブルコインの信用力が客観的に評価されます。機関投資家や企業は、格付けを参考にしてステーブルコインを選択できます。高格付けのステーブルコインは、信頼性が高く、安心して利用できます。一方、低格付けのステーブルコインは、リスクが高いことが明示されます。格付けにより、ステーブルコイン市場の透明性が向上し、投資家保護が強化されます。

第三に、準備資産の重要性です。ステーブルコインの価値は、準備資産の質に依存します。高品質な準備資産(米国債など)を保有するステーブルコインは、価格が安定しており、信頼性が高くなります。一方、低品質な準備資産(低格付け社債など)を保有するステーブルコインは、価格変動リスクが高く、信頼性が低くなります。2022年のテラUSD(UST)崩壊は、準備資産を持たないアルゴリズム型ステーブルコインの脆弱性を露呈しました。ムーディーズの格付けフレームワークは、準備資産の重要性を改めて強調しています。

第四に、市場への影響です。ムーディーズの格付けにより、ステーブルコイン市場が成熟化します。高格付けのステーブルコインは、機関投資家や企業が採用しやすくなり、市場規模が拡大します。一方、低格付けのステーブルコインは、市場から淘汰される可能性があります。格付けにより、健全な競争が促進され、ステーブルコイン市場全体の質が向上します。また、格付け取得を目指すステーブルコイン発行企業は、準備資産の質を改善し、管理体制を強化する動機付けとなります。

その他重要トピック──パキスタンBinance 20億ドル国家資産トークン化、YouTube PYUSD報酬、JPYC 3億円突破、DeFi業界シタデル反論

世界最大規模の暗号資産取引所バイナンス(Binance)がパキスタンと覚書(MOU)を締結し、国家資産の最大20億ドル(約3,100億円)相当をトークン化する計画です。ロイター(Reuters)が12日に報じました。パキスタンは外貨準備不足や財政赤字に悩まされており、国家資産のトークン化により資金調達を図る狙いがあります。不動産、インフラ、天然資源などがトークン化の対象と見られています。

YouTube(ユーチューブ)が米国のクリエイターを対象とした広告収益の受取手段として、ペイパル(PayPal)が発行するステーブルコインPYUSD(PayPal USD)を導入しました。従来の銀行送金による待ち時間を短縮し、国際送金コストを削減できます。Web2プラットフォームとWeb3の融合が現実のものとなっており、ステーブルコインの実用化が加速しています。

日本円に連動するステーブルコインJPYC(JPY Coin)の総流通量が3億円を突破しました。11月下旬から12月にかけて保有者アドレス数が急増し、その後も流通総額が堅調に推移しています。日本国内でのステーブルコイン利用が拡大しており、決済や送金での実用化が進んでいます。

DeFi教育基金(DeFi Education Fund)など暗号資産業界団体が米SECに書簡を提出しました。シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)によるDeFi規制要求に反論し、自律的ソフトウェアは仲介者に該当しないと主張しています。シタデルは、DeFiプロトコルも証券法の規制対象とすべきと主張していますが、業界側は「DeFiは完全に分散化されており、中央管理者が存在しないため、仲介事業者ではない」と反論しています。DeFi規制をめぐる議論が激化しています。

主要暗号資産ウォレットのファントム(Phantom)が予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)と提携し、ウォレット内で政治、スポーツ、文化イベントの契約を可能にする新機能を発表しました。予測市場の普及が加速しています。

分散型オラクルPyth Network(ピス・ネットワーク)が、収益の一部で暗号資産PYTH(ピス)を毎月買い戻す新メカニズム「PYTH Reserve(ピス・リザーブ)」を導入します。DAO(分散型自律組織)の資金残高の3分の1程度を購入に充てる予定です。トークンの価値を支える仕組みとして注目されています。

ビットコインの短期保有者(STH)は、345日のうち229日を利益で過ごしており、年初来リターンの3分の2が含み益となっています。実現価格8万1,000ドル(約1,256万円)がカギとなっており、この水準を維持できれば強気相場が継続する可能性があります。

イーサリアム(ETH)は、クジラ(大口投資家)の実現価格に接近しており、過去に相場の底打ちを示してきた水準です。典型的なチャートパターンは5,000ドル(約775万円)への上昇の可能性を示しています。トム・リー(Tom Lee)氏の価格予想が成立するか注目されています。

ミームコイン市場の失速が続いており、暗号資産投資家のセンチメントは回復しきれていません。伝統的金融のレバレッジ投資商品の運用資産は過去最高を更新している一方で、暗号資産市場では投機的資産への需要が低迷しています。

米国で暗号資産業界と労働組合が対立しており、401(k)退職年金口座への暗号資産導入をめぐり議論が激化しています。労働組合は「教員らの退職後の安全を脅かす」と主張し、暗号資産法案に反対しています。

メタプラネット(Metaplanet)のサイモン・ゲロビッチ(Simon Gerovich)社長とビットコイン戦略責任者のディラン・ルクレア(Dylan LeClair)氏が、「Bitcoin MENA 2025」における対談で、同社の劇的な事業転換と日本市場の特性を活かした財務戦略について語りました。企業規模200倍の道のりが明らかになっています。

中国人民銀行(PBoC)が13ヶ月連続で金の購入を続けており、外部貨幣需要がビットコインにも流入する可能性があります。世界第2位の経済大国である中国が他国の干渉を受けにくい資産を選好しており、ビットコインの「デジタルゴールド」としての価値提案が補強されています。

利下げでもビットコインが下落した理由は、ハイテク株との連動が強まっているためです。FRBによる25ベーシスポイントの利下げとパウエル議長による追加利上げ否定のシグナルにもかかわらず、ビットコインは上昇の勢いを欠き、一時9万ドル(約1,395万円)を下回る展開となりました。市場の一部では流動性懸念が高まっています。

おわりに

2025年12月13日は、リップル・サークルなど5社の連邦信託銀行免許条件付き承認が発表され、米国の暗号資産業界が銀行システムに正式に統合される歴史的な転換点となりました。ステーブルコイン発行企業が連邦規制監督下に置かれることで、信頼性が大幅に向上し、機関投資家や企業による採用が加速します。サークルのUSDC、パクソスのPAXG、リップルのXRP関連サービス、ビットゴーのWBTC、フィデリティのカストディサービスが、連邦政府の監督下で提供されることになります。全米で統一的にサービスを提供でき、規制の明確化によりコンプライアンスコストが削減されます。これにより、ステーブルコインの普及が加速し、企業間決済、国際送金、給与支払いなど、幅広い用途で利用されるようになります。

テザーの多角化戦略が加速しています。ユベントス買収提案10億ユーロ、株式トークン化検討、時価総額5,000億ドル目指す戦略など、ステーブルコイン事業だけでなく、総合的な金融・投資企業への転換を図っています。連邦規制監督下に入らない選択をしたテザーは、多角化投資により規制リスクに対応し、ブランド価値を向上させています。

ソラナエコシステムの拡大が続いています。ファイアダンサー稼働により100万TPS処理を目指し、ジュピターの7大アップグレードによりオンチェーン金融が強化されます。レンディングのオープンソース化、ステーブルコインジュプUSDローンチ、トークン検証システムVRFD拡張など、包括的な機能強化により、ソラナは次世代ブロックチェーンとしての地位を確立しつつあります。

伝統金融参入が加速しています。インタラクティブ・ブローカーズのステーブルコイン入金開始、ブラジルイタウのビットコイン3%配分推奨、米銀行の最大4%配分提案など、暗号資産と伝統金融の統合が進んでいます。一方、バンガード幹部の慎重姿勢も見られ、伝統的資産運用会社の中でも意見が分かれています。

ムーディーズのステーブルコイン格付けフレームワーク提案により、市場の成熟化が進みます。準備資産の質を客観的に評価し、信用力に基づいて格付けを付与することで、投資家保護が強化され、健全な競争が促進されます。

パキスタンBinance 20億ドル国家資産トークン化、YouTube PYUSD報酬、JPYC 3億円突破、DeFi業界シタデル反論、ファントム予測市場、Pyth買い戻し、BTC短期保有者利益、ETH 5,000ドル可能性、ミームコイン失速、401(k)対立、メタプラネット対談、中国金購入、ハイテク株連動など、多様な動きがありました。

リップル・サークルなど5社の連邦信託銀行免許、テザー多角化、ソラナ拡大、伝統金融参入、ムーディーズ格付けという5つの大きな流れが、暗号資産市場の構造変化を示しています。連邦規制監督の確立、事業多角化、技術革新、伝統金融統合、市場成熟化という本質的な変化を冷静に見極め、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。

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