2025年11月30日、ビットコインETFが4週連続の資金流出に終止符を打ちました。週間で約7,000万ドル(約108億2,000万円)の純流入を記録し、小幅ながらも改善の兆しを見せています。11月に続いた厳しい資金流出から、ようやく反転の兆候が現れました。
ビットコインの「Coinbaseプレミアム」が数週間ぶりにプラスに転じました。1カ月近くマイナスになっていた指標が反転し、米国での買いの強さを示しています。米国市場での需要回復が鮮明になっています。
Progmat(プログマット)代表の齊藤達哉氏が、議決権付きトークン化株式で日本が世界初となる理由、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップ、DeFi・AIエージェントを見据えた将来ビジョンを語りました。日本のオンチェーン金融の未来像が明確になっています。
米SEC(証券取引委員会)のヘスター・ピアース委員が、暗号資産の自己管理と金融取引のプライバシー保護について「基本的な権利」と擁護する姿勢を示しました。
本稿では、BTC ETF流入転換、Progmat齊藤氏ビジョン、SECピアース氏擁護、Coinbaseプレミアム復活、その他の重要動向について解説します。
BTC ETF 4週連続流出に終止符、7,000万ドル流入に反転──11月の厳しい流出から改善の兆し
ビットコインETFが4週連続の資金流出に終止符を打ちました。週間で約7,000万ドル(約108億2,000万円)の純流入を記録し、小幅ながらも改善の兆しを見せています。11月に続いた厳しい資金流出の末、ようやく反転の兆候が現れました。
BTC ETF流入転換の意義は以下の通りです。第一に、4週連続流出からの脱却です。11月はビットコイン価格が史上最高値12万5,100ドル(約1,932万円)から8万ドル(約1,236万円)割れまで急落し、投資家心理が悪化していました。ETFからも大量の資金が流出し、週次で4週連続の純流出を記録していました。今週の7,000万ドル流入は、この流れが止まったことを示しています。
第二に、小幅な流入の意味です。7,000万ドルという金額は、ピーク時の数十億ドル規模の流入と比べれば小さいですが、流れの転換点として重要です。投資家が底値での買い戻しに動き始めた可能性があります。11月21日の8万600ドルを底値とみる見方が広がっており、そこから反発したビットコイン価格に追随する形で、ETFへの資金流入が再開しました。
第三に、ブラックロック(BlackRock)の存在感です。ブラックロックのIBIT(アイビット)は、11月の流出局面でも比較的流出が少なく、今週の流入でも中心的な役割を果たした可能性があります。世界最大の資産運用会社が自社債券ファンドでIBITを1.5億ドル(約231億7,500万円)保有していることが判明し、自社商品への信頼を示しています。
第四に、市場心理の改善です。暗号資産市場センチメント指数が18日間にわたり「極度の恐怖」の底に張り付いていましたが、ようやく改善の兆しが見られました。恐怖と貪欲指数が極度の恐怖から脱却し、投資家心理が正常化しつつあります。
第五に、年末ラリーへの期待です。アーサー・ヘイズ氏が年末25万ドル予測を堅持し、ARKインベスト(アーク・インベスト)のキャシー・ウッド氏が150万ドル予測を維持するなど、強気派は依然として楽観的です。ETF流入の再開は、年末に向けた反発期待を高めています。
ただし、楽観視は禁物です。7,000万ドルという流入額は、まだ本格回復には程遠い水準です。ビットコイン価格が9万ドル台を維持できるか、10万ドルを回復できるかが次の焦点です。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ確率が高まっていますが、据え置きとなれば再び流出に転じる可能性もあります。
Progmat齊藤氏が語るオンチェーン金融の未来──2028年トークン化法、DeFi・AIエージェント活用ビジョン
Progmat代表の齊藤達哉氏が、議決権付きトークン化株式で日本が世界初となる理由、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップ、DeFi・AIエージェントを見据えた将来ビジョンを語りました。日本のオンチェーン金融の未来像が明確になっています。
齊藤氏のビジョンの要点は以下の通りです。第一に、議決権付きトークン化株式で世界初です。日本は株式をトークン化し、かつ議決権も付与する制度を世界で初めて実現します。1円単位・24時間取引可能な「トークン化株式」の仕組みで、議決権や優待も得られる投資家メリット、リアルタイム株主把握など発行企業メリットがあります。
第二に、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップです。金融庁は2028年を目標に、トークン化資産に関する包括的な法整備を進めています。株式、債券、不動産、ファンドなど、あらゆる資産をトークン化できる法的枠組みが構築されます。ゆうちょ銀行のトークン化預金が不動産決済に進出するなど、実証実験が活発化しています。
第三に、DeFi(分散型金融)との融合です。トークン化された株式や債券が、DeFiプロトコルで取引されるようになります。24時間365日稼働、自動執行、透明性という DeFiの特性が、伝統的金融資産に適用されます。アムンディ(Amundi)などの欧州資産運用大手が、既にイーサリアム上でトークン化ファンドを運用し始めており、日本も追随します。
第四に、AIエージェント活用です。AIが投資家の代理人として、トークン化資産の売買、ポートフォリオ管理、リバランスを自動実行します。個人投資家でも、AIエージェントを活用することで、機関投資家並みの高度な運用が可能になります。
第五に、株式市場の民主化です。1円から株式を購入でき、24時間取引可能になることで、投資の裾野が広がります。少額投資家や若年層も参加しやすくなり、株式市場が活性化します。議決権も保有株数に応じて行使でき、企業ガバナンスへの参加も促進されます。
第六に、発行企業のメリットです。リアルタイムで株主を把握でき、IR(インベスター・リレーションズ)活動が効率化されます。配当や優待の配布も自動化され、コスト削減につながります。株主総会の運営もオンラインで簡素化できます。
齊藤氏のビジョンは、日本が暗号資産・ブロックチェーン分野で世界をリードできる可能性を示しています。規制整備、実証実験、民間企業の参入が同時進行しており、2028年の法施行に向けて着実に前進しています。トークン化株式が実現すれば、日本の金融市場は大きく変わります。
SEC ヘスター・ピアース委員「自己管理とプライバシーは基本的権利」──暗号資産擁護姿勢を堅持
米SEC(証券取引委員会)で暗号資産タスクフォースを率いるヘスター・ピアース委員が、暗号資産の自己管理と金融取引のプライバシー保護について「基本的な権利」と擁護する姿勢を示しました。
ピアース委員の主張の意義は以下の通りです。第一に、自己管理の擁護です。自己管理(セルフカストディ)とは、暗号資産を取引所などの第三者に預けず、自分のウォレットで保有することです。秘密鍵を自分で管理し、資産への完全なコントロールを持ちます。ピアース委員は、これを「基本的な権利」と位置づけ、規制当局が過度に介入すべきではないと主張しています。
第二に、プライバシー保護の重要性です。金融取引のプライバシーは、個人の自由と尊厳に関わる基本的権利です。政府や第三者に全ての取引を監視される社会は、自由な経済活動を阻害します。ピアース委員は、プライバシーコインやミキシングサービスを一律に禁止するのではなく、合法的な用途を認めるべきだと主張しています。
第三に、規制とのバランスです。自己管理とプライバシーを擁護する一方で、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪には厳格に対処する必要があります。ピアース委員は、過度な規制ではなく、リスクベースのアプローチを提唱しています。合法的な活動まで規制で縛るのではなく、違法行為に焦点を当てるべきだとしています。
第四に、「クリプトママ」としての一貫性です。ピアース委員は「クリプトママ」の愛称で知られ、暗号資産業界を一貫して擁護してきました。SECが暗号資産企業に対して厳しい規制執行を行う中、ピアース委員は業界寄りの姿勢を崩していません。この一貫性が、業界からの信頼を集めています。
第五に、トランプ政権下での影響力です。トランプ大統領が暗号資産に友好的な政策を掲げる中、ピアース委員の発言力が増しています。次期SEC委員長人事でも、ピアース委員の影響が及ぶ可能性があります。
Coinbaseプレミアム数週間ぶりプラス転換──米国での買いの強さ示す、1カ月マイナスから反転
ビットコインの「Coinbaseプレミアム」が数週間ぶりにプラスに転じました。1カ月近くマイナスになっていた指標が反転し、米国での買いの強さを示しています。
Coinbaseプレミアムとは、米国の暗号資産取引所Coinbase(コインベース)でのビットコイン価格が、他の取引所(主にバイナンスやビットスタンプ)と比べてどれだけプレミアムがついているかを示す指標です。プラスであれば米国での買い圧力が強く、マイナスであれば売り圧力が強いことを意味します。
Coinbaseプレミアムのプラス転換の意義は以下の通りです。第一に、米国投資家の買い戻しです。11月の急落局面では、米国投資家が大量に売却し、Coinbaseプレミアムは1カ月近くマイナスでした。今週プラスに転じたことは、米国投資家が底値での買い戻しに動き始めたことを示しています。
第二に、機関投資家の参入再開です。Coinbaseは機関投資家の利用が多く、プレミアムのプラス転換は機関投資家の買いを示唆します。感謝祭休暇明けの米国市場で、機関投資家が取引を再開し、ビットコインを買い増した可能性があります。
第三に、市場の地域格差です。米国以外の市場では、まだ売り圧力が残っている可能性があります。Coinbaseプレミアムがプラスということは、米国市場が他地域より強気であることを意味します。米国がビットコイン市場を牽引する構図が鮮明になっています。
その他の重要動向──英国税務報告拡大、北朝鮮AI活用、DeFi TVL急落、金 vs BTC、アムンディ
英国は2026年から国内の暗号資産プラットフォームに対し、英国居住者のすべての取引を報告することを義務付ける方針を示しました。暗号資産報告フレームワーク(CARF)の対象範囲が国内取引にも拡大され、税務当局がアクセスできるようになります。
北朝鮮の国家的な支援を受けたハッカーたちが、AI活用で暗号資産犯罪を進化させています。Upbitハッキングでも、北朝鮮のハッカー集団ラザルスグループの関与が疑われています。AIを使ったフィッシング、ソーシャルエンジニアリング、マルウェア開発が高度化しており、セキュリティ対策の強化が急務です。
DeFi(分散型金融)セクターは、10月初旬以降、TVL(預かり資産総額)が550億ドル(約8兆5,800億円)減少し、1,780億ドル(約27兆7,680億円)から1,230億ドル(約19兆1,880億円)に落ち込みました。しかし、これは心配し過ぎなくてよいとの見方があります。ビットコイン価格下落に伴う評価額減少が主因で、実際のユーザー離れではないためです。
金(ゴールド)は2025年、価格動向だけでなく、投資家の信頼感においてもビットコインを上回っています。流動性、取引環境、信用という3つの面で、金が優位に立っているとの分析があります。ビットコインETF発売後も、金ETFへの資金流入が続いており、伝統的な安全資産としての地位は揺るぎません。
欧州最大級の資産運用会社アムンディが、ユーロ建てキャッシュファンドにおいてトークン化シェアクラスをイーサリアム上で発行しました。24時間365日の運用が可能になり、投資家は従来型とトークン化の両方でファンドにアクセスできます。欧州でもトークン化が実用段階に入っています。
おわりに
2025年11月30日は、ビットコインETFが4週連続流出から7,000万ドル流入へと反転し、市場の転換点を迎えた重要な一日でした。流入額は小幅ですが、11月の厳しい流出局面からの脱却は、投資家心理の改善を示しています。Coinbaseプレミアムの数週間ぶりプラス転換は、米国市場での買いの強さを明確に示しており、機関投資家の参入再開を示唆しています。ETF流入とCoinbaseプレミアムという2つの重要指標が同時に好転したことは、ビットコイン市場が底を打った可能性を高めています。
Progmat齊藤氏が語るオンチェーン金融の未来像は、日本が暗号資産・ブロックチェーン分野で世界をリードできる可能性を示しています。議決権付きトークン化株式で世界初、2028年トークン化法施行、DeFi・AIエージェント活用という明確なロードマップは、日本の金融市場を大きく変える potential を持っています。1円から24時間取引可能な株式市場、リアルタイム株主把握、配当・優待の自動配布など、投資家と発行企業の双方にメリットがあり、株式市場の民主化と効率化が同時に実現します。ゆうちょ銀行のトークン化預金、bitFlyerのアセットロックサービス、北紡・ASAHI EITOの暗号資産運用など、日本企業の取り組みが加速しており、2028年に向けて実証実験と制度整備が着実に進んでいます。
SEC ヘスター・ピアース委員の「自己管理とプライバシーは基本的権利」という発言は、規制当局内部にも暗号資産を擁護する勢力が存在することを示しています。「クリプトママ」として一貫して業界を支持してきたピアース委員の影響力は、トランプ政権下でさらに高まる可能性があります。自己管理、プライバシー保護、リスクベース規制という原則は、暗号資産の本質的価値を守る上で極めて重要です。過度な規制は innovation を阻害し、合法的な活動まで制限してしまいます。
英国の税務報告拡大、北朝鮮のAI活用による犯罪進化、DeFi TVL 550億ドル急落、金 vs ビットコイン論争、アムンディのトークン化ファンドなど、多様な動きがありました。規制強化とセキュリティリスクという課題に直面しながらも、トークン化の実用化は着実に進んでいます。
市場は転換点を迎えつつあります。ETF流入再開、米国買い復活、市場心理改善という3つの好材料が揃いましたが、本格回復には至っていません。12月のFOMC、年末ラリーの有無、2026年の展望など、注視すべき要素は多数あります。短期的な価格変動に惑わされず、ETF動向、規制整備、トークン化進展、機関投資家動向という構造的変化を冷静に見極め、長期的な視点で市場と向き合ってください。リスク管理を徹底し、余裕資金の範囲内で投資を行いましょう。
